外国の『リサイクラー』依頼:中国編②誘拐未遂事件発生
「お手洗いに行ってくるね」
「OK」
皆に伝えトイレに向かう。今は政府施設に戻り凛風さん達が情報整理しているのを待っている。この後食事に行く予定だ。トイレを済ませた後部屋に戻ろうとすると
「すみません、真白さん」
女性が話しかけてくる。たしか中国政府にいた人だ。
「どうしたんですか?」
「実は凛風国家主席より施設内のごみも処理してほしいと依頼がありまして私があんなにすることになりました」
「いいですよ」
女性の案内で施設内を進む。うん?このまま進むと駐車場に出るな。
「ごみは駐車場にあるんですか?」
「外にあるんですが駐車場から出たほうが近いんです」
駐車場の脇にある部屋に入ると中には黒い服を着た男性数名と金の指輪を両指に着けた緑色のスーツを着た小太りの男性がいた。誰だ?
「動かないで」
「え?」
案内してくれた女性が背後から首筋にナイフを当ててくる。ああ、嫌な予感がしたんだよね。
「よくやった、詩夏。おまえが『リサイクラー』とかいう変なスキルの持ち主だな。全く余計なことをしてくれた。せっかく何の問題もなく政府から災害金を引き出せたのに」
「あんたは?」
「言葉には気を付けろよガキ。俺は暁東、おまえが勝手に解体した木材加工所の持ち主だ。詩夏から話をきいて、ここで待機してたんだ。まさか証拠資料が取り出されるとは。本当に余計なことしてくれる。だけどお前のスキルは色々利用できそうだ。俺のために使わしてやるよ」
「嫌だね」
「フン、そんな生意気なこと言えるのはいまだけだぞ。いうこと聞かせる方法なんてたくさんあるんだから。知ってるんだぞ、お前自体には戦闘力がないんだろう?いつまで耐えれるかな?」
「暁東様、こちらを」
「それが契約書か、こっちに渡せ」
詩夏が書類が入った封筒を投げようとする。チャンス。
「不用心すぎ」
「え?」
俺は詩夏の顔面に頭突きを食らわせた後、頭を下にずらし危険域から脱出。潮に体を逸らしている詩夏の右腕を取り暁東へ向けて投げる。
「お前!」
「もういいよ」
「OK」
俺が声を掛けると凛・エルたちが『テレポート』で現れ、中国政府の役員たちがすぐに暁東たちを拘束する。
「ぞうぞ、凛風さん」
「ありがとう」
「いつの前に連絡を取ってたんだ」
「異国の地で一人だけ連れ出されるなんて怪しすぎだろ?通話状態にしてるよ」
通話状態の携帯電話を見せる。事前に凛達とも相談していたが、一人だけ連れ出されたらすぐに携帯電話を掛けること。電話が切れる・俺の方から合図するとエルの『テレポート』で移動するという段取り。
「まさか身近に内通者がいたなんてね。ちょうどよかったわ、このまま警察へ連れていきなさい」
「はい」
最後まで暴れていたが連れ出されていく暁東達。それを見送った後、凛風さんはこちらを向き頭を下げる。
「本当にごめんなさい」
「無事だったからいいですよ」
「それは結果論よ。いろいろ見直さないといけないわ」
「とりあえずお腹がすいたんで食事いきません?」
「ええ、そうね。全品の中華食べさせてあげる」
こうして中国での依頼を終える。




