外国の『リサイクラー』依頼:アメリカ編③ラーメンとアメリカ軍の敬礼
「さあ、遠慮せず食べてくれ」
俺達は午前中の解体処理を終え、ワイリーさん御用達のラーメン屋に来ている。いろいろ職務で忙しいワイリーさんは午後からは別行動となるので昼食位は一緒に食べないかと誘われたからだ。前日に何が食べたいか聞かれたのでお任せで頼んだところ招待されたのがおしゃれなラーメン屋。
ワイリーさんはラーメンが好きで、このラーメン屋は彼のなじみの店でVIP質も作られている。国務での食事会ではドレスコードなどが必要な格式の高いお店を利用するが、今期はプライベートノンビリ食事できるところをたのんだ。
「それにしてもリョウタのスキルは凄いな。ここまでエコロジカルでビッグスケールなスキルは見たことない。なあ、ロゼ?」
「ええ。いままでは『テレポーター』などでガレキや廃棄物を移動、焼却できるものは『パイロキネシス』系の能力で、薬液などは『アクアキネシス』などで分離して処理してたわ。でも処理できる量は少量でたくさんの能力者が必要だったし、すべての廃棄物を処理できなかったわ」
「人件費、処理速度、処理時の汚染物質の皆無、一部資源・所持品の回収など様々なん点からリョウタのスキルはトップレベル。時間があったら午後からも見たかった」
能力について話しているとラーメンが届く。俺が頼んだのは醤油ラーメン。麺は細麺、トッピングには鴨肉・ほうれん草・モヤシ・煮卵。まずはレンゲでスープを一飲み。昔ながら鶏ガラにしっかりとした醤油の味さらにほのかに感じる胡椒の風味。次は麺
ズズズズ
ツルツルとすすり易くコシもありスープがよく絡んでいる。
「どうだ、リョウタ?」
「おいしいです。最初ラーメンって聞いた時は見た目だけ豪勢で味はそこまで期待しててなかったけど、日本で食べた本格派の味に負けてない。トッピングもオーソドックスより外してるけど以外にあってて驚いた」
「だろ?俺もアメリカで日本で食べた本格的な味を食べれないかと探していたらここでを見つけたんだ。リョウタは醤油味が好きなんだな?」
「はい」
「俺はあさっりとんこつ味だな。たまにこってり味を食べるけど」
「あまり食べ過ぎるのはだめよ、ワイリー」
「わかってるよ、ロゼ。俺も長生きしたいからな」
「おじさんは気を付けないと毎日食べるからね」
「わかってるって、エル」
ん?
「エルとワイリーさんは親戚関係なのか?」
「知らなかったのか?エルは俺の兄貴の娘で姪に当たるんだ。俺とロゼは幼馴染でよくエルと3人で遊んでた」
「エルもいい出会いがあったのね。ここまで親密になっているなんて思わなかったわ」
「リョウタは話しやすいし、考えがしっかりしてるからすぐに仲良くなったよ」
ラーメン屋を後にした後はワイリー大統領夫妻・安斎大統領夫妻と別れ、アメリカ軍の人と一緒に解体処理を進める。
「全員一度離れろ」
クライス大佐の命令でアメリカ軍の隊員がキングスライムから離れる。このキングスライムはこの遊園地の最後の解体場所:巨大ジェットコースターについていたこの遊園地の主。
アメリカ軍が引いた後、キングスライムの右側にエルが現れアメリカ軍の攻撃で露出した核に向けて帯電している警棒を振り下ろす。その一撃でコアに大ダメージを与え、コアは再びスライムの体に取り込まれる。
あとはこれを繰り返すだけ。スライムの鉄砲水や触手の攻撃は凛の結界で防げるから油断しなければ大丈夫。それから10分後キングスライムは破裂して消滅する。最後に周囲に薬液を散布するが俺の『リサイクラー』の前では無意味。3回『リサイクラー』で処理することで遊園地内部の解体は全て終了。
「日葵姉、外枠はどうする?」
「解体していいわよ」
「OK」
最後に遊園地の外枠も解体してアメリカでの解体作業は終了。辺りは夕日に染まっておりどうにか夜までには解体作業は終わった。うーん、解体後は更地が広がっていて見通しが良くなるんだよね。そんな景色を楽しんでいるとクライス大佐含めアメリカ軍の人達が一列に並び
「マシロリョウタ殿に敬礼」
ビシっ
「一体何?」
「此度は仲間のドッグタグ及び遺品を回収していただきありがとうございます。これで遺族の方々に最後の遺品を渡すことができます。軍一同この御恩は忘れません」
「あのね、軍に所属している人はどこで死んでもいいように遺書代わりにドッグタグを持ってるの。もし仲間の誰かが死んだらこのドッグタグを回収して埋葬してあげるのよ。でもいままでこの遊園地のドッグタグは薬品汚染がひどくて回収できなかったの。それが今回の解体作業で全て回収できたから皆リョウタに恩を感じてるのよ」
「もう一度敬礼」
ビシッ
初のアメリカ解体最後の光景はアメリカ軍一同によるきれいな敬礼だった。




