外国の『リサイクラー』依頼:アメリカ編②新スキル 資源抽出:プラスチック
「日葵姉、次はどっち?」
「右回りで生きましょ。ドット・ハックを目指して」
「OK。エル、お願い」
アメリカの技術者と相談している日葵姉に今後の解体方針を聞いて次の場所へ。目指すは次のアトラクション:ドット・ハック。ドット・ハックはVR型のアトラクションで電脳体としてインターネットに侵入してウイルスと戦う。
エルの転移で次の場所に移動すると
「魔物の反応あり。数は3」
察知系スキル持ちの人の声が響く。眼前には3体の3mほどのスライムがフヨフヨうごめいている。
「少年、下がってなさい」
軍服を着たアメリカ人が俺達の前に並ぶ。今回の依頼では戦闘面に関してアメリカ軍の精鋭が対応してくれる。俺の前に建った胸元にいくつかの勲章をつけた渋めのおじさんがピストルを構えスライムに撃つ。
スライム型の魔物は銃や斬撃などの攻撃は取り込まれてしまうが、放たれた弾丸がスライムに当たった瞬間スライムは全身を凍り付かせる。そのスライムに向けて他の軍人の人が一斉に銃弾を浴びせる。
魔物を倒した後解体を終えると『リサイクラー』のスキルレベルが上がる。今度は何が解体範囲に含まれるんだろう?ん?
「どうしたの、良ちゃん?」
「スキルレベルが上がった」
「!?どんな選択肢が増えたの?」
「いや、今回は新しいスキル『資源抽出:プラスチック』を覚えた」
「資源抽出?どんなスキル?」
「リサイクラー発動後、特定の資源を取り出せるんだって」
「どんな感じで取り出せるのかしら?試してみてくれる?」
「うん」
近場にあったゴミ箱に向けて『リサイクラー』を発動。このごみ箱はプラスチック製だからゴミ箱だけ残るのか?
『資源抽出:プラスチックをONにしますか?』
頭の中で選択肢が浮かぶ。はいを選択すると『リサイクラー』処理後、足元に四角い塊が出現する。拾ってみるとそれは半透明なプラスチック製のブロック。
「良ちゃん、どう?」
「こんなのが出てきた。多分プラスチックだよね。でも色が抜けてる?」
日葵姉に出てきた物質を渡すと他の研究者と一緒に叩いたり・削ったりして色々試している。
「これはプラスチックを形成する時の一番最初の段階のペレットを固めた者ね。この状態のプラスチックを熱で溶かして変形するのよ」
「へえ、じゃあなるべく資源抽出した方がいいの?」
「ええ。専門の企業に渡せば大喜びされるわよ」
「わかった」
いつも通り最大領域で解体すると隣に1m四方のプラスチックのブロックが大量に出現する。うーん、結構散らばるから袋か籠に入らないかな?
『資源抽出の放出箇所は指定できます』
あ、できるんだ。
時間は進み翌日アメリカのとある政府研究施設
「大統領、ようこそ」
「うむ、良太のプラスチックブロックに関して何かわかったんだって?」
「はい、結果から言いますとこのブロック素晴らしいです。まず硬さの調整が容易にできます。このブロックを溶かし液体に変化した後、その液体を一定温度まで上げて冷却することでプラスチックの固さを調整できます。もちろん液体なので型に流すことで簡単に形成できるので現状の形成機で使用可能です。さらに着色に関しても布などと同じく液体状の時に染料を加えることで容易に色を変えることができます」
「そうか。今回回収したプラスチックの量はどのくらいだった?」
「2トンですね」
「この情報を他の4か国に伝えてこの資源の扱いについて相談するべきだな。きちんとしないと大問題になるぞ」
「わかりました。直ちに研究データをまとめます」




