エルの日本観光:京都編②
「ビューティフォー、絶景ね」
次は清水寺。京都観光は基本京都駅を経由して各名所に行くので5重の塔・稲荷神社・清水寺のルートを1日で周るのは難しい。でもエルのおかげで各箇所観光が終われば『テレポート』で京都駅に帰ればいいのでもう1か所ぐらいは周れそうだ。
凛のおかげで依頼中にこのぐらいの高さは見慣れたものだが、廃墟と清水寺の景色では全く違う。さまざまな大きさの樹木に川の光の反射によるきらめきを眼下に川のせせらぎを聞く。
清水寺の帰り道、京都駅には戻らず安寧坂を歩く。
「オオ、ここは色とりどりのワガシが置いてますね」
「こっちはウサギ・こっちは狸ね。猫や椿・ボタンもあるわ」
エルが気になったのは色とりどりの和菓子をショーケースに並べた和菓子専門店。
「このさわやかな味は何ですか?オレンジのような違うような」
「ちょっと待ってね・・・これは柚子ね。みかんと同じ柑橘系だけど、ピューレとかソースでかき氷とかケーキに使われるわね」
「ああ。これがユズですネ」
かき氷屋にも寄って
「リン、そっちのフルーツもり食べてイイデスカ?」
「いいわよ。そっちのあずきスペスシャルも食べていい?」
「OK。はい、ぞうぞ」
凛とエルは二人でお互いのかき氷を食べ合いっこしている。幸せそうだ。
「フルーツの味が口中に広がるネ。リョウタ、そっちの宇治金時も食べさせて」
「え?」
エルが口を開けて待っているので、抹茶の粉が多くかかっている部分をスプーンですくいエルの口元に持っていく。エルはパクッと一口で食べると口の中で味を確かめ
「ウン、このほろ苦い抹茶味が美味しいね。リョウタ、はい、オカエシ」
俺の前にあずきのかき氷が乗ったスプーンが差し出される。躊躇してエルの表情を見たがニコニコしている。が、俺が口に含まないと少し怒った表情でさらに口元に近づけてくる。アメリカなら常識なのかもしれない。俺は諦めて口を開きエルのスプーンを口に含む。
「どう?美味しい?」
コクコク
「ならよかった。」
「良太、私のも食べて」
今度は凛がかき氷の乗ったスプーンを差し出してくる。
そんなこともあったかき氷屋をを後にして、安寧坂を歩いているとふと気になったことをエルに尋ねる。
「そういえばエル?」
「ナンデすか?」
「たまに『テレポート』の事故について聞くけど、アレってどういうことなの?」
「ああ、その話デスネ。まず基本情報として『テレポート』は座標を把握して移動します。もちろんこの座標の把握はスキルランクが高いほど遠距離を把握します。そんな『テレポート』ですが座標元に人や屋台・建物があると座標ずれが起こってその周辺に飛ばされます。この時運が悪いと地面・コンクリート・空・水・液体の中などに飛ばされて事故に合うんです」
「エルは大丈夫なの?」
「私はブックマーク機能がありますから。ブックマークでテレポートする時は世界地図が頭に浮かんで、現在使ってるブックマーク地点のリストから選択してテレポートします。この時テレポート先の風景も事前に確認できるので安全にテレポートできるんです」
「へぇ、ゲームみたい」
「感覚的にはそうですね」




