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『リサイクラー』の安全設定と現状での評価

19:00


「「ただいま」」


 検証テストに一区切りついたので日葵姉ちゃんの車で送ってもらう。家族構成は祖父・祖母・父・母の5人家族。父さんは本の編集者、母さん・じいちゃん・ばあちゃんは実家の1階で飲食店 (10:00~18:00まで水・日は定休日)を経営している。


「おかえりなさい、良ちゃん・日葵ちゃん。もうご飯はできてるわよ。話は食べながら教えて頂戴」


 2階のリビングにはすでに家族全員がそろっていて、テーブルには料理が並べられている。


「日葵から良太のスキルが珍しいから調査対象になったって聞いたけど?」

「うん。良ちゃんのスキルは『リサイクラー』、特殊系のカテゴリーで素材を謎のポイントに変換できるの。変換できるのは今の所紙のみね。でもスキルを使っていけば変換できる種類は増えるみたい。そこらへんはこれからの調査次第」


日葵姉ちゃんからメモの切れ端を渡してきたので、スキルで消滅させる。


「これは便利ね。紙だとなんでも消せるのかしら?」

「今日の調査では

・材質は何でもよくて

・一度に消せる量はノート一冊ぐらい

・紙に半分以上濡れや汚れがついているとスキルの対象外。ただし新聞や雑誌・カラーコピーなどは対象内

ってことが分かったわ」

「良太自身に疲れはないの?」

「うん、大丈夫」

「それならよかった。でも疲れてきたら調査を止めてもらうのよ。日葵ちゃんも気を付けてあげてね?」

「任せて。大事な甥に無理はさせないから」


夕食をとった後、自室でゆっくり体を休める。今日は大変だった。まさか未知のスキルが発現するなんて。でもこのスキル、戦闘系じゃないけどあれでしょ?ゴミ掃除のスキル。日常じゃ大活躍じゃん。


そういえば明から連絡来てたっけ。“電話出来る?”とLineを送るとすぐに通知が入る。


「明?」

「良太、心配してたんだぞ。で、どうなったんだ」

「それがさあ・・・」


その日は日付が変わるまで明と話して就寝。


翌日、目を覚ますと誰かに抱き着かれていた。この感触は日葵姉ちゃんだな。隣を見るとやっぱり日葵姉ちゃん。気持ちよさそうに寝ている。慣れた手つきで日葵姉ちゃんの拘束から抜け出しリビングに降りる。


目覚めた日葵姉ちゃんとともに研究等に向かい、昨日のスキル検証の続きを行う。


「良ちゃん、処理総量は戻った?」

「うん。今朝起きたら0%に戻ってたよ」

「なら、今日はどのくらい変換できるのか総量を確かめてみましょうか?こっちに来て」


案内された部屋にはたくさんの紙や段ボールが雑多に置かれている。


「昨日私たちが帰った後、近隣の部署の紙系のごみ全部集めてもらったのよ。これだけあれば総量が分かるでしょ?あと昨日は一度に変換できる量を大雑把に両手で収まるぐらいって決めてたけど今日は具体的な量まで測定しよう」


職員の人が重さをはかったサンプルへ手をかざしスキルを発動していく。何度か繰り返しどうやら一度に5kg紙を消せるようだ。次は総量を確かめていたところ、脳内に声が響く


『『リサイクラー』がレベルアップしました。一度に変換できる量・変換範囲・変換総量UP。新たに以下の素材を変換できます。一つ選んでください

・木片

・プラスチック

・金属』


「え?」

「どうしたの?良ちゃん?」

「今、『リサイクラー』がレベルアップしたんだけど、新しく処理できる素材を3つの中から選べるんだって」

「え?ほんと?」

「うん。あ、でも時間制限がある。10分だって。選ばなかったらランダムで決められるみたい」

「わかったわ。素材候補を教えて」


 3つの候補を伝えるとその場にいた職員が全員集まり相談を始める。2分後


「良ちゃんは何でもいいのよね?」

「うん」

「だったらプラスチックを選んで」


日葵姉ちゃんの指示でプラスチックを選択。すると脳内の表記に

スキル対象素材

プラスチック


プラスチックが追加されており、処理総量も0%に戻った。どうやら処理総量はレベルが上がると同時に0%に戻るようだ。ただしレベルアップしたのでまた1から能力の確認をしないと。


「次は変換範囲の確認ね。良ちゃん変換してみてくれる?」


 紙の束に向けて手を掲げる。すると手から円形状に何やら空間が広がっていく。その空間はある一定の範囲で止まり動かない。その状態で変換してみると空間内の紙がごそっとなくなる。


「あれ!」


だけど1束だけ残っている。俺の目には“所有者有”って赤字で表示されている。


「どうしたの?限界で残っちゃった?」

「いや、この紙の束だけ所有者有って表示されて処理できないんだ」

「え?」


 日葵姉ちゃんはすぐに紙の束を確認してどこかに電話をかける。数分後部屋に一人の男性が入ってきて紙の束を確認。するとこちらに近づいてきて


「君が見つけてくれたんだね。ずっと探してたんだよ。ありがとう」


お礼を言って部屋から出ていく。


「ずっと疑問に思ってたのよ。『リサイクラー』が処理する素材には何らかの法則があるって。まさか所有者の意思をスキルが判断してるなんてね。これなら危険性は減るわ」

「どういうこと?」

「これから話すのはもしもの話。良ちゃんがするなんて思ってないからね。もし良ちゃんが本屋に行って店全体に『リサイクラー』をかけたら、もし郵便局にスキルを使ったらどうなる?問答無用で商品や重要書類なども全部消滅しちゃうかもしれないっていう懸念もあったの。でも今回の結果で所有者の破棄した素材だけを対象とするみたい。すこし検証してみようか?」


 日葵姉ちゃんは隣の部屋に行って、すぐ戻ってくる。手元には数枚の紙。その紙を地面に置いたあと。


「良ちゃん、スキル使って」

「うん」


俺がスキルを使うと2枚だけが紙が残る。やっぱり“”所有者有“って表示がある。日葵姉ちゃんが残った紙を確認する。


「やっぱりね。隣の部屋で用意したから良ちゃんは知らないけど、この2枚だけはデータまとめに使おうと思ったメモなのよ。このスキルまだまだ秘密がありそうね。調査を進めるわよ」


そして数日後


「大体わかったわね『リサイクラー』。もしかするといろいろ頼むかもしれないけど明日から学校に行ってもらっていいわよ。ご苦労様、良ちゃん」


ふう、やっと終わった。明日は金曜日久々に学校に行ける。



研究棟内会議室


会議室には能力管理庁の役員・各種関係者さらに能力庁大臣:波頭末次まで来ている。これから発表するのは久々に発見されたアンノーンの調査結果とランク付けの方針。


「私真白日葵が発表させていただきます。今回発現したアンノーンのスキル名は『リサイクラー』、所有者は真白良太。スキルの概要は

・対象の素材をポイントに変換する

・レベルアップによりスキル効果の範囲・処理総量・変換素材の対象増加を確認

・レベルアップにはスキル使用回数・量が関係

・変化範囲は自身で調整が可能。現在畳15枚高さ5m、重量は40kgまで一度に対処可能

・一日の処理総量はおよそ5t。日をまたぐことで0に戻ります

・対象素材はレベルアップ時に増加するときがあり、時間制限10分でランダムに選ば

れた3つの選択肢の中から一つ選びます。現在の適応素材は

プラスチック

木材

となっており、候補の中には他に野菜/肉/金属などもありました。またそれぞれの素材にも適応範囲がありレベルアップとともに緩和されていきます。

・スキルの効果範囲の選別ですが所有者の意思、紙を例に挙げますと同じ内容を書いた紙でも必要だと思ったら“”所有者有“と表示されスキルの対象外、いらないと思ったらスキルの対象となり変換されます。これらの判断はスキル自体が独断で判断しているようです。

・スキル使用時、所有者にはデメリットはなく処理総量100%まで達してもスキルが使えなくなるだけでした。

以上が報告となります」


みんなが沈黙する中、波頭末次が口を開く。


「これはまたすごいスキルだな。このまま成長すれば日本のごみ問題が解決するぞ」

「現状でも利用価値が高く、色々手伝ってほしいところです」

「ああ、だが彼はまだ学生だ。学業を優先してもらい手伝ってもらおう。もちろん報酬は出す。間違っても圧力で従わせたりしないように。とても貴重な人材だ」

「はい、わかっております」

「そこら辺の話は総理と進めよう。さて彼のランクだがどうしようか?」

「Sランクが妥当だと思われます。今後の活躍次第では各国へSSランクの申請も必要かと」

「やはりそうか。皆も問題ないか・・・うむ、儂も同じ意見だ。となると護衛の件も考えないといけないな。この話は総理と進めよう。これより『リサイクラー』及び所持者真白良太の案件は政府預かりとする。のちに専門の部署を立ち上げるが日葵君、能力研究者として入ってくれるか?」

「はい、お任せください」


こうして本人の知らないところで日本史上5人目のSランクかつ戦闘職以外では初のSランクが誕生した。



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