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甘く溶かされる



 リリアの瞳がゆっくりと揺れる。

 エドワードの唇が再び降ってくるのを感じた瞬間、彼女は思わず顔を背けた。


「っ……もう、嫌です……」


 小さく囁いた声には、拗ねたような色が滲んでいた。

 しかし、エドワードは微笑を深めるだけだった。

 まるで「甘えたことを言うな」と言わんばかりに、すっとリリアの顎を指先で捕らえる。


「本当に?」

「……っ」


 その問いかけが、思いのほか甘く響いたせいで、リリアは息を呑んだ。

 そして、その隙を見逃さなかった彼は、再び唇を重ねてきた。


「っ……!?」


 ゆっくりと押し開かれる唇。

 彼の舌が入り込んできた瞬間、じんわりと熱が広がっていく。


「んっ、んぅ……!」


 執拗に絡め取られ、唾液すらも分け合うように味わわれる。

 湿った音が微かに響き、背筋をざわりと震わせた。

 ふいに、エドワードの手が彼女の腰を引き寄せる。

 くっついた身体の熱が、余計に思考を鈍らせた。


(……こんなの、おかしい……のに……)


 普段のエドワードは、冷静で知的で、いつも余裕のある笑みを浮かべている。


 けれど今は——


 リリアを貪るように口づけを繰り返す彼は、いつもの凛とした姿とはまるで違っていた。


「……っ、ぁ……」


 熱を持った舌が絡まり、離れる気配がない。

 息が苦しくなるほど深く、何度も確かめるように繰り返される口づけに、抗う気力すら削がれていく。


「ふ……ぅ、んっ……」


 啄むような口づけが続いた後、ゆっくりと唇が離れる。

 薄く光るリリアの唇を見下ろしながら、エドワードは指先でそっと拭う。


「やっぱり、甘いね」


 彼の声は低く、どこか愉しげだった。


「……っ、ひどいです……」


 リリアは顔を真っ赤にしながら、恨めしげに睨む。

 しかし、エドワードはまるで意に介さず、彼女の頬に手を添えて微笑んだ。


「ひどくなんてないよ。ただ、僕はリリアが可愛すぎて、止まらなくなるだけだ」

「そ、それがひどいんです……!」

「ふふ……」


 そのやりとりさえも愛おしいとばかりに、エドワードは優しくリリアの髪を撫でる。

 そして、耳元でそっと囁いた。


「……でも、君がもう逃げないって言うなら、今すぐやめるよ」

「……っ」


 それは甘い誘惑だった。


(逃げないって……そんなの、無理に決まってる……)


 だって、こんな風に囚われてしまった以上、逃げる以外の選択肢なんて——


 けれど、彼女の躊躇いを見透かすように、エドワードはにっこりと微笑む。


「——なら、まだまだ続けようか」

「えっ、ちょ、ま——っ!」


 再び深く口づけられ、リリアの抗議は全て呑み込まれてしまうのだった。

次の話は15時に更新予定です!

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