【プロットタイプ】ダーリン
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
気狂い、鏡花の恋。
だからこそ、本気で嘘をつき、本気で演技をする。
だから全て本当。
俺と鏡花が『恋』のある関係になる事は有り得ない。其れは天変地異が起きようが、宇宙が消滅しようが決して。けれども『演技』の上ならば幾らでも成れる。其れが『鏡花』という女だった。
一時期、彼奴は恋愛感情を学ぶ為に、俺を想い人に設定して全力で恋をした事がある。
――私がどれだけ貴方を思っても、貴方が私の一番になる事はない。
――どれだけ私をすり潰して、貴方に捧げたとしても、貴方は私の事を見ることさえしない。
――狡い!! 狡い!! 狡い狡い狡い狡い狡い狡い狡い狡い!!
髪を指で掻き乱し、金切り声を上げる。狼狽と焦燥が綯い交ぜになった表情だった。そして其れは新たな波を引き起こし、俺にぶつけられる。
――うっ……うぅ……うぅぅぅ!! あ゛あ゛あ゛あ゛ぁあ!! 好きなのに!! 愛しているのに!!
その時の涙は演技とは思えない程、本気だった。気狂いの恋だった。
其れから数週間。俺を居ないものとして扱った。だる絡みをする事は愚か、挨拶する事さえしなかった。そうして全ての役を自分の中から消し飛ばした後、また何でもない顔で笑った。
――おはよう。瑠衣たぁん? なぁに? そんな怪訝な顔してぇ。
甘ったるい猫撫で声が張り付いて離れなかった。
翌日、鏡花は部活を休んだ。風邪の様だった。
「『狂人』という言葉は鏡花の為にあると思ってる」
部活中に俺が話題を提供した事に驚きを感じえないと言った様に、諭羅は大きく目を見開いた。けれども下界に降りたのはこの一瞬。直ぐに上界に戻って微笑みを浮かべた。
「確かに、鏡花は常軌を逸してる。本音を言うと、創作部よりも演劇部に所属した方が向いていると思っている。……あんなに全力で演技が出来るなら、なおの事」
俺と鏡花の『仮』の関係を知っていた諭羅は何とも悲しげな顔でそう言った。比較的まともな神経をしている此奴からは、やはり理解から最も程遠い生き物なのであろう。
けれども演劇ではきっと駄目なのだ。彼奴は俺と同じ、全て自力で何かを残したい人種だから。
だからこそ、俺は彼奴の人生を担っているし、彼奴も俺の人生を担っている。
「ダニー・カリフォルニアが聞きたいな……」
あの時の約束から、瑠衣は鏡花の、鏡花は瑠衣の人生を背負う事を決めてます。
プロポーズよりも重たい約束です。
だから鏡花の演技には全力で付き合います。
普段冷静な瑠衣が本気の感情込めたレスバするのは、鏡花だけです。
体調壊す程、役に入り込み、終われば全て消去。
でも残った絞りカスが今の鏡花を作ってそうなんですよ。
『私の人生、全部貴方にあげる。だから貴方の人生、全部私に頂戴』
こんな言葉が様々な恋愛の物語、曲にあります。
瑠衣は『ダニー・カリフォルニア』でしたが、鏡花は別の曲を浮かべたんじゃないかな。
※曲名には著作権がと及ばないそうで、載せさせて戴きました。