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オメガとアルファ

 異形の鬼から生還した俺たちはシグナルに戻ってきた。

 島根隊長のご遺体はシグナルで対処するのが決まりだ。

 家族や友人を数人呼んで小さなお葬式をする。


「第二部隊どうなるんだろうね」

「大丈夫だ、 現在の隊長の記憶を消して、 新しい隊長にシフトチェンジできるから」

「え、 じゃ、 隊長が死んだら私たちも記憶消されちゃうの!?」

「そうだ」


 え~嫌だ~と未来は俺の腕にしがみ付く。

 報告書を書いているので、 邪魔で仕方ない。


「隊長に特別な感情を抱いているヌークも多いですし、 妥当な処置ですね」

「いっつも茜は淡々として!僕はどっちでもいいけど......」


 俺は煙草を取り出して火を点ける。

 報告書が出来れば、 かなりの確率で会議室に呼ばれるため吸いだめする。

 煙を肺いっぱいに吸う。

 吸殻を見て、 なぜ鬼は灰になるんだ?

 分からないことが起きすぎて頭がパンクしそうだ。

 タブレットから通知がくる。

「至急 会議室にくるように」とのことだ。

 送った報告書が原因なのは分かっている。


「俺、 会議室に行ってくるわ」

「いってらっしゃーい」


 自室にヌークを置いて、会議室に向かう。

 向かっている最中頭の中には、 異形の鬼のことだけ考えていたら会議室に着いた。


「失礼します」

「シママキ隊長、 任務帰りにすまない」


 誠局長と柊総隊長が座っていた。

 誠局長は物腰柔らかな人だ。

 滅多なことがない限り激高することはない。


「報告書は読んだぞ」

「異形の鬼がでたらしいな」


 誠局長と違って柊総隊長は厳しい方だ。

 何かぼろを出せば見逃さず突いてくる人だ。

 はっきり言おう!苦手な人だ!

 誠局長はタブレットで、ドローンが撮影した映像をスクリーンに出力する。


「鬼が共食いしたのは間違いないね?」

「はい」

「鬼はどう変わったのかな?」

「まず、体の大きさが違いました。 そして、 体温も他の鬼より高いように感じました」

「動画だと俊敏な動きをしているね」


 実際も速かったですと返す。


「今後も出る可能性はあるか?」

「分かりませんが、 高確率ででると思われます」

「では、通常の鬼をオメガ、 異形の鬼をアルファと名付ける」

「その方が区別つきやすいですな」

「アルファが出たらすぐに応援要請をするように」


 残りの決定事項はこちらで会議をして決めるため自室に戻って良いと言われ、背中を向ける。


「お前は死ぬなよ」


 誠局長は今日惨い死に方をした島根隊長の事を悲しんでいるのだ。

 この人はいつも何十人の部下を亡くしていき、 その度に傷ついている。


「大丈夫ですよ!俺のヌークは最強ですから」


 俺は会議室を出て、 自室に向かう。

 ずっとアルファの事を考えていた。

 何故、 共食いをするのか、 あの力はなんなのか、 人間を食べても変化の無さ。

 俺の頭の中が鬼でいっぱいなのはいつもの事だ。

 あの日からずっと―。


「まだいたのか」

「いいじゃん!僕がいる事で、 減るもんでもないし」

「そうですよ~ずっと待ってたのに~」


 タブレットから音がなる。


「出動命令だ」

「はーい」












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