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新世紀最終戦争  作者: 007
第5章 開戦

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戦線崩壊

ヨーロッパ合衆国によるロシア連邦侵攻は順調に進展していた。亜細亜条約機構が亜細亜条約第2条を発動し、対ヨーロッパ合衆国大同盟により南北アメリカ諸国も宣戦布告を行ったが、だからといってヨーロッパ合衆国の侵攻が弱まる事は無かった。

寧ろより激化したともいえる程にヨーロッパ合衆国軍は侵攻を強めた。大日本帝国等の国々は宣戦布告を行ったが、地理的に即座に部隊を展開出来る訳でも無かった。各国軍は準備と派遣を行っていたが、時間はどうしても必要であった。

だがその時間はどうしてもヨーロッパ合衆国に有利となる結果となってしまった。2048年10月1日午前3時15分から始まったヨーロッパ合衆国によるロシア連邦侵攻は甚大な被害をロシア連邦に与えた。午前10時には亜細亜条約機構緊急総会で亜細亜条約第2条の発動が全会一致で決まり、亜細亜条約機構と対ヨーロッパ合衆国大同盟はヨーロッパ合衆国に宣戦布告した。

しかし現状ではロシア戦線にはヨーロッパ合衆国軍とロシア連邦軍しか対峙しておらず、時間が必要となっていたのである。

ヨーロッパ合衆国は世界から宣戦布告を受け第三次世界大戦勃発となったが、焦る事なく寧ろロシア連邦侵攻を更に激しくする事にしたのである。


それは当然の判断ともいえた。時間が経てば亜細亜条約機構軍は必ず援軍として現れるからだ。時間との勝負ともいえた。シャーロット大統領は空軍に対して燃料気化爆弾の使用を許可し、ロシア連邦軍の防衛線を躊躇無く粉砕するように命令した。命令を受けてヨーロッパ合衆国空軍はステルス戦略爆撃機アスガルドに、燃料気化爆弾を搭載してロシア連邦に向けて出撃させた。

地上ではヨーロッパ合衆国陸軍とロシア連邦陸軍が激しく戦っており、凄惨な光景が広がっていた。ヨーロッパ合衆国陸軍の主力戦車ニーズヘッグと、ロシア連邦陸軍のT-19戦車は凄まじい砲撃戦を展開していた。主砲は5ミリしか違わないが、ロシア連邦陸軍のT-19戦車が装備する125ミリ超電磁砲はヨーロッパ合衆国陸軍の主力戦車ニーズヘッグを、効果的に撃破していた。125ミリ超電磁砲は大日本帝国陸軍が主力戦車である45式戦車に搭載した為に、亜細亜条約機構共通規格として亜細亜条約機構加盟国の陸軍戦車のサイズとなった。

互いに電磁装甲を装備している為に何十発は耐え切れるが、投入する戦車数がヨーロッパ合衆国陸軍の方が多かった。その為にT-19戦車も次第に撃破される数が増えていき、全体的に戦線は押され気味となっていったのである。しかも空戦はヨーロッパ合衆国空軍が勝利し、航空優勢はヨーロッパ合衆国の物になっていた。

ヨーロッパ合衆国空軍の空襲は激しくなっていき、ステルス戦闘攻撃機ミッドガルドとニヴルヘイムの2機種は、ロシア連邦陸軍のT-19戦車を次々と撃破していった。ヨーロッパ合衆国陸軍も戦闘ティルトジェットである、マーナガルムを投入して地上攻撃に当たらせていた。

ロシア連邦陸軍は歩兵戦闘車と自走レーザー砲を投入して何とか対空迎撃を行っていたが、ヨーロッパ合衆国海軍機動部隊の超電磁砲と巡航ミサイルの飽和攻撃により、奮戦虚しく壊滅させられてしまった。戦線の至る所に空白地帯が発生したが、ヨーロッパ合衆国軍は何故か留まるだけであった。

それを受けて危険を察知したロシア連邦陸軍の現場指揮官は、全部隊に対して後退を命令した。現場指揮官はヨーロッパ合衆国が純粋水爆を使用するとは流石に思わなかったが、通常兵器で最大の威力を有する燃料気化爆弾が使用されると判断したのである。

その為に全部隊に燃料気化爆弾が使用される恐れあり、として後退を命令した。だがその後退命令は一歩遅かった。後退を開始したロシア連邦陸軍の頭上に、ヨーロッパ合衆国空軍戦略爆撃機アスガルドが投下した燃料気化爆弾が降り注いだのであった。



『ヨーロッパ合衆国空軍戦略爆撃機アスガルドによる燃料気化爆弾投下は、第三次世界大戦の壮大なるプロローグともいえるものになった。通常兵器では最大の威力を有する燃料気化爆弾の投下は、ロシア連邦軍の守備部隊を地上から文字通り消し去った。

航空優勢がヨーロッパ合衆国の手中にあり、地上部隊の迎撃体制が壊滅状態であった為の悲劇であった。現場指揮官は国防省にも後退を報告しており、[燃料気化爆弾の使用の恐れあり]とも断言していた。その為に国防省は現場部隊との連絡が途絶え、燃料気化爆弾による凄まじい数のキノコ雲が林立していても、核攻撃だと早とちりする事は無かった。

だが現実を直視すれば被害は甚大であったのである。ヨーロッパ合衆国空軍による燃料気化爆弾攻撃は、ロシア連邦軍の防衛線を確実に粉砕していた。しかも守備部隊まで消滅してしまった。圧倒的なる殲滅戦に、ロシア連邦軍の戦線は完全に崩壊したのであった。』

広瀬直美著

『新世紀最終戦争』より一部抜粋

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