第2次宇宙開発計画
お気付きだと思いますが、他に投稿している小説にも共通してますが本編に入る前の『前史』が長いです。しかも読みやすいように、1話辺り2000文字前後にしてますので更に話数は長くなりそうです。
まだ暫く本編までお待ち下さい。
『きぼう』が完成し、『第5次国防力整備計画』も完遂された。
『第5次国防力整備計画は大日本帝国軍をより強大な軍隊へと進化させた。海軍は新世紀日米戦争を戦い抜き名実共に世界最強となった、連合艦隊空母機動部隊が一気に3個も増強された。イージス原子力空母大和級を4〜6番艦を建造し、紀伊・尾張・播磨と命名した。空母機動部隊を構成する艦艇も一斉に建造されイージス巡洋艦金剛級・イージス駆逐艦陽炎級・攻撃型原子力潜水艦親潮級・高速戦闘支援艦摩周級が建造された。ミサイル打撃巡洋艦長門級は新世紀日米戦争が勃発する前は将来的に退役させる予定であったが、アメリカ合衆国海軍空母戦闘群との戦いで見せた圧倒的な打撃力に方針は撤回された。既存の空母機動部隊に配備されている長門級は延命改修が行われ、増強される空母機動部隊用に3隻が新造された。空母艦載機も85式艦上戦闘攻撃機烈風を近代化改修した、05式艦上戦闘攻撃機烈風改に更新した。更には鎮守府の増設と太平洋の領海が拡大した事から海上保安庁の負担を減らす為に、海防艦東京級と哨戒艦海龍級が大量に建造された。
空軍は2008年に第5世代ジェット戦闘機として開発された08式ステルス戦闘機閃電が実用化され運用が開始された。08式ステルス戦闘機閃電は第5世代ジェット戦闘機に分類される世界初のステルス戦闘機である。ミサイルや爆弾の胴体内搭載などによるステルス特性や、ミリタリー推力での超音速巡航能力を特徴としている。ステルス性能は極めて高く更には大日本帝国独自のドクトリンにより機体の機動性は圧倒的な能力があった。胴体内搭載だけで無く従来機同様に、主翼や胴体にもウェポンベイはあり兵装搭載量は極めて高い。任務に応じてステルス能力を優先するか、兵装搭載量を優先するかを使い分ける。世界最高クラスの戦闘能力を持つとされる89式戦闘爆撃機紫電改を全て代替する為に、大量生産体制が取られ一時は機体能力の高さから生産費が1機辺り130億円と見積もられたが、最終的には量産効果により1機辺り85億円にまで低下した。更には大鳥島(ウェーク島)・ハワイオワフ島・ミッドウェー島・ジョンストン環礁・彩帆島(サイパン島)・大宮島(グアム島)・トラック諸島夏島・マーシャル諸島クェゼリン環礁にそれぞれ空軍基地が建設される事になった。航空方面隊の増設も行われ西太平洋一帯の航空管制も担う事になった。
陸軍と海兵隊は新兵器は無かったがハワイオワフ島・彩帆島・大宮島・トラック諸島夏島に基地を新設。方面軍と海兵両用作戦部隊を新設し増強した。
第5次国防力整備計画により大日本帝国軍は大軍拡を行った。陸軍は現役35万人から50万人に増員され、予備役も10万人から20万人に増員された。海軍は現役25万人から30万人に、予備役3万人から5万人に。空軍は現役18万人から20万人に、予備役1万人から3万人に。海兵隊は現役10万人から13万人に、予備役3万人から5万人にそれぞれ増員された。現役総員88万人予備役込の総兵力105万人を有する大日本帝国軍だったが、第5次国防力整備計画により現役総員113万人予備役込の総兵力146万人に拡大したのである。』
広瀬直美著
『新世紀最終戦争』より一部抜粋
2009年1月20日。通常国会初日の所信表明演説に於いて大泉総理は、第5次国防力整備計画完遂によるトラック宇宙基地建設を開始すると発表した。建設計画は『第2次宇宙開発計画』として策定された。第一期、第二期工事15年間による工事によって一辺12キロメートル、総面積約150平方キロメートルと言う途方もない大きさの浮体構造物をトラック環礁に建造し、そこで未来に向けての歩みを行う事となった。『現代の万里の長城』とヨーロッパのマスコミが揶揄したこの巨大施設を建設してしまうと言うのは、ごく普通に考えれば無茶を通り越して無謀かと思われた。新世紀日米戦争に敗北したアメリカ合衆国にしてみれば、ただ呆然と傍観するしかなかった程だ。だが大日本帝国は大真面目だった。何しろ、これを創り上げれば自分たちの懐はさらに豊かになるからだ。
しかもこの建設計画は第一期、第二期工事の予定であり、2030年までにはさらにひと回り大きくされる事が予定され、基地工事としての最終工程が終わる第四期工事が完成すればその規模は一辺約20キロメートル、400平方キロメートルという途方もない大きさ(大阪市と同規模)になる予定だった。『太平洋の湖』と称された巨大な珊瑚礁でかこまれたトラック環礁、最大長100キロメートルに達する巨大な環礁のほぼど真ん中にこの構造物の建設は行われる事になっていた。基本構造は石油採掘船のような箱型の構造物そのものが単に環礁内の海面に浮かび、自らが生み出す自重そのものとその箱の中に海水を引き入れ、それを慎重に制御する事で安定を図るという画期的なものだった。関連産業に対する国内での技術蓄積と、さらなる利益を求めた企業の莫大な研究投資がこれを可能としたのだ。
『第2次宇宙開発計画』はその後の衆参両院で可決され、2009年3月1日には正式に計画が始動した。