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新世紀最終戦争  作者: 007
第4章 荒れる世界

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広がる動揺

ヨーロッパ合衆国シャーロット大統領の最後通牒に全世界は、様々な反応を見せた。



『亜細亜条約機構加盟国は、ヨーロッパ合衆国の一方的な傍若無人な最後通牒を完全に無視する事にし、大日本帝国と共にヨーロッパ合衆国の侵略戦争に対抗すると高らかに宣言したのである。

現に侵攻を受けつつあるアフリカ諸国は徹底抗戦を宣言し、かつてのヨーロッパ諸国による侵略と植民地支配の再来だとヨーロッパ合衆国を声高に非難した。歴史を繰り返すヨーロッパ人の浅はかさも痛烈に非難したのである。

だが目に見えて狼狽えていたのが、アメリカ西岸連邦以外の南北アメリカ大陸の諸国である。ヨーロッパ合衆国の侵攻と地球統一政府設立という一大事に、中南米諸国のみならずカナダとアメリカ合衆国も対ヨーロッパ合衆国大同盟に参加するに至った。大日本帝国陣営であった中南米諸国は予想通りの行動であったが、カナダとアメリカ合衆国の参加は世界に大きな衝撃を与えていた。

カナダは新世紀冷戦になってから一貫して中立を維持してきたのである。かつて加盟していたイギリス連邦と連邦王国が、イギリスのヨーロッパ合衆国参加により解散した事により完全なる共和国となって以後、中立政策はカナダの国家方針であった。だがヨーロッパ合衆国の地球統一政府設立を目標とした侵攻に、カナダは危機感を強め対ヨーロッパ合衆国大同盟に参加する事を決めたのである。

アメリカ合衆国は新世紀日米戦争での完膚なき敗北により、経済が崩壊していたが陣営的にはヨーロッパ合衆国に与する事は無かった。大日本帝国とは微妙な距離感を保っていたが、ヨーロッパ合衆国の野望には対抗する決意を固めた。

だがその決意も虚しくヨーロッパ合衆国シャーロット大統領の最後通牒に、アメリカ西岸連邦を除く南北アメリカ大陸の国々は狼狽えてしまったのである。しかしそれも無理も無い話であった。軍事力という点ではヨーロッパ合衆国に対して圧倒的に劣勢であったのだ。

その軍事力の差から攻撃をしないとのシャーロット大統領の宣言は、対ヨーロッパ合衆国大同盟に参加しての対立という決意が揺らぐのは仕方なかった。そしてヨーロッパ合衆国があらゆる手段を用いるという宣言が、特に狼狽えてしまう原因でもあった。

対ヨーロッパ合衆国大同盟が結成されたにも関わらず、その成果がシャーロット大統領の宣言で御破算になろうとしていた。これを受けて大日本帝国叶総理は、南北アメリカ大陸各国の動揺を収める事を最優先にする事にしたのである。』

広瀬直美著

『新世紀最終戦争』より一部抜粋



2048年9月2日。大日本帝国帝都東京首相官邸では叶総理が緊急閣議を開催していた。大日本帝国による地球統一政府設立が支持され、対ヨーロッパ合衆国大同盟が結成された矢先にシャーロット大統領の最後通牒が突き付けられた。その最後通牒によりアメリカ西岸連邦を除く南北アメリカ大陸の各国が狼狽えていたのが判明したのである。

叶総理はまず国防大臣に、ヨーロッパ合衆国の人造人間について質問した。尋ねられた国防大臣は現状判明している事について説明を始めた。人造人間は偵察衛星で判断する限りは、17世紀頃の戦列歩兵に似た運用が成されていると語った。しかし数体の人造人間は機敏な動きをしている事から、第8世代ジェット戦闘機と同じく遠隔操縦型人造人間であると推測される、と国防大臣は語った。

そして機敏な動きをするのは上限が決まっている事から、1人1体を遠隔操縦し残りの人造人間は自動追尾で追従した動きをすると推測出来ると説明したのである。それはAI開発を世界的に放棄している為に仕方ない措置であるといえ、我が国が開発中の『二足歩行機動兵器』も遠隔操縦型である為に辿り着く答えは同じといえます、そう国防大臣は語ったのである。

叶総理は『二足歩行機動兵器』については何時になれば実戦投入出来るのか尋ねた。

国防大臣は生産ラインの最終調整中でありそれが整い次第、1ヶ月以内には大量生産を開始すると明言した。その答えを聞いた叶総理は安心したように頷いた。だが叶総理は別の心配をしていたのである。

対ヨーロッパ合衆国大同盟は結成されたがその参加国では、大日本帝国を筆頭に亜細亜条約機構加盟国しかまともな軍事力を有してはいなかった。現にヨーロッパ合衆国と戦っているアフリカ諸国は劣勢であり、南北アメリカ大陸の国々もヨーロッパ合衆国に比べると圧倒的に劣勢であった。

そこで叶総理はある決断をする事にした。

アフリカ諸国を見捨て時間稼ぎとして、亜細亜条約機構と南北アメリカ大陸諸国の統一戦線とする。そう宣言したのである。その宣言に閣僚達には動揺が広がった。当然であろう。対ヨーロッパ合衆国大同盟を結成したばかりのアフリカ諸国を見捨てると言ったのである。外務大臣は慌ててその方針に反対した。

だが叶総理は冷静に説明した。亜細亜条約機構はヨーロッパ合衆国とのヨーロッパマフィアに関するいざこざから、軍の動員体制は整っているが南北アメリカ大陸諸国は整っていない。それなら現にヨーロッパ合衆国が侵攻しているアフリカ諸国に時間稼ぎをして貰い、南北アメリカ大陸諸国の動員体制を整える事こそが優先される。南北アメリカ大陸諸国なら軍の規格は大日本帝国と共通である為に、軍事支援も可能であるのが最大の利点だと、叶総理は語った。

しかも軍事支援を行うとなれば、南北アメリカ大陸諸国の動揺も収まり、その為には断腸の思いながらアフリカ諸国は捨て石にするしかない、そう叶総理は語った。

そう言われると外務大臣は現実的な選択肢では、叶総理が正しいと判断するしか無かった。この為に大日本帝国の方針は、アフリカ諸国を時間稼ぎの捨て石にして、南北アメリカ大陸諸国の動員体制を整えるとなったのである。

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