大日本帝国支持
この話にてヨーロッパ合衆国陸軍に、架空戦記らしい秘密兵器が登場します。ある程度はその開発理由も添えていますので、そこまでトンデモ兵器にはならない筈です……
大日本帝国にも後々、登場させます。
叶総理の対抗演説は世界各国の支持を集めた。ヨーロッパ合衆国か大日本帝国かの単純な二択は大日本帝国が選ばれたのである。
対抗演説終了後には亜細亜条約機構加盟国が全て大日本帝国支持を明確に表明し、ヨーロッパ合衆国では無く大日本帝国による地球統一政府設立に賛成した。更には中南米諸国やアメリカ合衆国も大日本帝国支持を発表し、中立国のカナダもヨーロッパ合衆国では無く大日本帝国を支持すると断言した。
ヨーロッパ合衆国による侵攻を現在進行系で受けている、中東アフリカ諸国も大日本帝国支持を発表した。これにより世界は大日本帝国支持を発表した国と、ヨーロッパ合衆国という、人類史上初めての完全なる色分けが行われた事になった。
かつての新世紀日米戦争でアメリカ合衆国は世界的に孤立したが、それでも終始中立国として貫き通した国々も存在した。だが今回はヨーロッパ合衆国以外の国々は完全に、大日本帝国支持を明確に表明したのである。しかも宗教的にはヨーロッパ合衆国寄りとみられていたバチカン市国でさえも、シャーロット大統領の演説の後は距離を置く事態になっていた。
バチカン市国は国家としての地理上周囲をヨーロッパ合衆国イタリア州に囲まれている為に、完全にヨーロッパ合衆国と敵対する事も無く、ヨーロッパ合衆国も宗教的にバチカン市国侵攻という事は有り得ない選択肢だが、政治的には距離が出来る事になってしまった。
世界各国からの支持を得た叶総理は、再び亜細亜条約機構緊急総会を開催する事にした。しかも亜細亜条約機構加盟国のみならず、中南米諸国・アメリカ合衆国・カナダ・中東アフリカ諸国も招待する事にしたのである。ヨーロッパ合衆国シャーロット大統領は地球統一政府設立を[明白なる使命]と言い切り、世界各国を併合すると断言したのである。
既に第三次世界大戦は勃発していると言って良い状況であったのだ。このまま座視していてはヨーロッパ合衆国の侵攻は世界に拡大し、無惨に併合される国が増えるばかりである。そこで『対ヨーロッパ合衆国大同盟』ともいえる、大同団結を行う事を叶総理は呼び掛けたのだ。
この呼び掛けに各国は大いに賛同した。しかも各国議会はこの国家危急の事態に、『対ヨーロッパ合衆国大同盟』を承認する決議まで行ったのである。これにより議会承認が各国で先に行われた事になり、後は亜細亜条約機構緊急総会で首脳陣が『対ヨーロッパ合衆国大同盟』に調印するだけになった。
だがこの間に幾ら急いでも各国は1週間は必要になり、亜細亜条約機構緊急総会も2048年9月1日に開催される事になったのである。しかしこの期間はヨーロッパ合衆国に侵攻を加速させる結果となってしまった。
叶総理の対抗演説とその後の世界各国の大日本帝国支持表明は、シャーロット大統領を激怒させていた。[明白なる使命]を理解出来ない愚か者、と怒るシャーロット大統領は国防大臣に侵攻を加速させるように強く命令した。命令を受けた国防大臣は中東アフリカ諸国侵攻という2方面作戦の現状を打破するべく、中東戦線を終わらせる事にした。アフリカ大陸は広大な為に、中東を優先するのは当然の判断であった。
国防大臣はアフリカ戦線は現状の80個師団のままとして、中東戦線に大規模な増援を送る事にした。中東戦線に100個師団を増援として送り込み150個師団体制にすると共に、秘密兵器の投入を行う事を決めたのである。その秘密兵器はシャーロット大統領にも許可を貰い、大々的に投入される事になった。
秘密兵器とは『遠隔操縦型人造人間』である。かつて2024年に大日本帝国とヨーロッパ合衆国でそれぞれ開発中であった、AI搭載無人機が暴走した事件『AI騒乱』が勃発した。それぞれが海軍と空軍の総力を挙げて撃墜したが、AI兵器の暴走という大惨事を前に人類側は恐怖に陥ったので。そして大日本帝国とヨーロッパ合衆国のみならず世界各国が国際条約を締結し、AI搭載兵器の開発を全面的に破棄する事が決定した。それによりAI開発は行われる事が無くなり、第8世代ジェット戦闘機は遠隔操縦型の無人機となったのである。
その遠隔操縦技術を利用してヨーロッパ合衆国は、陸軍兵器としての人造人間開発を行っていた。
人口5億8300万人を誇ると言っても、中華連邦とインドという世界1・2の人口の国が亜細亜条約機構に加盟している以上は、ヨーロッパ合衆国は人的資源で劣勢であった。その為に軍で1番人員を必要とする陸軍を補完するべく、『遠隔操縦型人造人間』は開発が開始されたのである。AIの暴走を防ぐという目的で遠隔操縦型が採用された。
後方基地でゲーム機のコントローラーで操作され、『リアルFPS』とも部内では言われていた。1人の兵士で1個師団分2万体の操作が行われる。人造人間には高性能マイクロチップが挿入されており、兵士の操作する人造人間に完全に追従する事になる。AI制御では無い為に高度な作戦は出来ないが、ヨーロッパ合衆国軍以外が敵だとインプットしている為にある程度の自律戦闘は可能である。状況に応じて操作切り替えが可能で、効率よく運用する事が可能であった。
当初は戦車等の機甲車輌も遠隔操縦型にするように、寧ろそちらを遠隔操縦型にした方が良いのでは無いかという意見が多かった。だが死傷者数、損耗率では歩兵部隊の方が高い為に『遠隔操縦型人造人間』の開発となったのである。
そして100個師団の増援と『遠隔操縦型人造人間』を投入した中東戦線は、恐るべき速さで侵攻が進む事になったのである。




