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新世紀最終戦争  作者: 007
第4章 荒れる世界

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対抗演説

ヨーロッパ合衆国シャーロット大統領による演説は世界に衝撃を与えた。ヨーロッパ合衆国の地球統一政府設立が大々的に宣言されたのである。しかも黄色人種や黒人は愚かなる劣等民族と言われ、中東は邪教徒と断言されたのだ。恐るべき思想の押し付けである。自らの白人とキリスト教を崇高な地位に高め、黄色人種や黒人、ユダヤ教イスラム教等は邪教徒だと唾棄したのである。

シャーロット大統領の演説にヨーロッパ合衆国は一致団結してその地球統一政府設立に向けて突き進む事を決めたが、大日本帝国を筆頭に亜細亜条約機構は断固として反対する事を決めた。それはシャーロット大統領の演説の翌日、2048年8月23日に叶総理の呼び掛けで開催された亜細亜条約機構緊急総会で満場一致で可決された。反対表明は素早く行われ、その後叶総理は緊急閣議を開催したのである。


大日本帝国帝都東京首相官邸閣議室で開かれた緊急閣議では、閣僚達は全員怒りに震えていた。当然であろう。あのように大々的に愚かなる劣等民族と言い捨てられて、怒りを感じない方が間違いであった。全てはヨーロッパ合衆国シャーロット大統領の驚くべき宣言に原因があったのだ。その閣僚達以上に怒りに震えていたのは叶総理である。恐るべき思想の押し付けで、人種差別発言も甚だしいものであった。マスコミやSNSではナチスドイツの再来だと大々的に断じていた。それ程までにインパクトのある宣言であったのである。

叶総理としては今回のヨーロッパ合衆国シャーロット大統領の宣言に、どのような態度を取るかそれを決定する為の閣議としていた。既に地球統一政府設立という目標を掲げ、全世界に宣戦布告したと同じ意味がシャーロット大統領の宣言にはあった。直接名指しで大日本帝国と亜細亜条約機構とも戦争すると発言しており、ヨーロッパ合衆国の地球統一政府設立に向けた決意は揺るぎないものであると判断していた。

叶総理は断固としてヨーロッパ合衆国の戦争に立ち向かうと宣言した。そしてヨーロッパ合衆国の地球統一政府設立を、自分達が行うべきだとも言い切ったのである。

その言葉に閣僚達は驚いたが、ある意味で当然の判断だとも考えた。ヨーロッパ合衆国の戦争に立ち向かうには自分達が、その地球統一政府設立を目指すべき目標になるのは正しい選択であった。しかも亜細亜条約機構というほぼ世界の半分を傘下に収める組織の指導的立場に大日本帝国はある為に、実現の可能性は高かった。その為に閣僚達は叶総理の提案を受け入れたのである。

叶総理は自らの考えが実現すると分かり、感謝の言葉を述べた。そしてヨーロッパ合衆国シャーロット大統領の演説に対抗する演説を行う事にしたのである。



叶総理の緊急記者会見が行われた。

『国民の皆さん、大日本帝国内閣総理大臣として重大な発表を行います。我が国はヨーロッパ合衆国の[明白なる使命]とやらに、断固として反対します。私達黄色人種や黒人を劣等民族と決め付け、ユダヤ教徒やイスラム教徒を邪教徒と断言する。そのような時代錯誤も甚だしい差別思想を有するヨーロッパ合衆国に、地球統一政府という人類史上初の大事業を成し遂げさせる訳にはいかないのです。

そもそもヨーロッパ合衆国の現状の侵攻こそが彼の国の本質であり、地球統一政府設立というのはただの御題目に過ぎず自分達の侵攻を正当化させているだけです。その観点から言えばヨーロッパ合衆国の標榜する地球統一政府は、ヨーロッパ合衆国とそれ以外の地域という事になりかねません。かつてのローマ帝国を継承したと宣伝していたわりには、その思想はローマ帝国とはかけ離れています。寛容クレメンティアが王政・共和政・帝政という政体こそ違え、ローマが一貫して通し続けた方針です。だからこそ地中海を内海たらしめ、一大帝国を築き上げたのです。

その寛容クレメンティアが先日のシャーロット大統領の宣言には、全くありませんでした。言ってしまえば言い訳だけでした。そう捉えるとヨーロッパ合衆国の地球統一政府設立という[明白なる使命]は、断固として反対するのです。

そこで私は更に宣言します。地球統一政府設立は大日本帝国主導で行います。ヨーロッパ合衆国の悪夢のような地球統一政府では無く、寛容クレメンティアを掲げた人類初の大事業です。その為にまずはヨーロッパ合衆国との戦争に備えないといけません。ヨーロッパ合衆国は我が国と亜細亜条約機構と戦争をすると宣言しました。

ヨーロッパ合衆国がやるというなら、受けて立つしかありません。もはや世界は完全に二分されます。ヨーロッパ合衆国か私達大日本帝国か、その二択です。そして勝利した国が地球統一政府を主導する事になります。世界の皆さんの賢明な判断をお待ちしております。』

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