衝撃的宣言
2048年8月22日。ヨーロッパ合衆国による中東アフリカ諸国侵攻から、1週間が経過した。ヨーロッパ合衆国軍の圧倒的な戦力により、中東アフリカ諸国は劣勢状態であった。侵攻の矢面に立たされたアルジェリア・リビア・エジプト・キプロス・レバノンは既に全土が占領されていた。ヨーロッパ合衆国は更なる増援を送り込み、侵攻の拠点として活用しようとしていた。その為にヨーロッパ合衆国は陸軍工兵部隊を大挙送り込み、各種インフラと軍事施設の復旧作業を行った。しかもヨーロッパ合衆国中の建設業者も派遣し、復旧作業を依頼する程であった。
各種インフラと軍事施設の復旧作業と並行してヨーロッパ合衆国軍は、モロッコ・チュニジア・イスラエル・ヨルダンへの侵攻を開始した。その侵攻速度は速いの一言に尽きるものであった。かつてのナチスドイツによる電撃戦の再来と呼ぶべき速さだった。
そのあまりにも速過ぎる侵攻速度に中東アフリカ諸国は、体制を整えるのもままならない状況にあった。突然のヨーロッパ合衆国による侵攻を受ける事になった中東アフリカ諸国は、何とか一致団結してヨーロッパ合衆国の侵攻に対抗しようとした。だがその圧倒的な戦力差に、全てが後手後手に回っていたのである。
それは大日本帝国と亜細亜条約機構加盟国にも同じ事がいえた。何とか中東アフリカ諸国を支援しようとしたが、ヨーロッパ合衆国の侵攻速度の速さに対応が追い付かなかったのである。
大日本帝国は叶総理の命令により何とか軍事支援を行おうとした。国防省は会議を開き兵器の直接供与を含めて大規模な軍事支援について協議を進めた。国防省外局の軍需庁と国内軍需企業の担当者も会議に参加し、陸軍兵器の量産体制は万全に整っていると国防省担当者に返答した。
だが兵器の生産ラインは整っているとはいえ、中東アフリカ諸国はヨーロッパ合衆国規格の兵器である為に、大日本帝国の兵器を直接供与して運用出来るかが問題であった。兵器は運用する者の練度を高めてこそ、その効率を最大限に発揮する事が出来るのである。
その点でいうと今のヨーロッパ合衆国の侵攻速度から考えて、中東アフリカ諸国に訓練時間を確保出来る保障は無かった。そうなると兵器の直接供与は無駄になる可能性が高かったのである。そこで僅かでも即物的に支援出来る可能性が高いとして、燃料・軍用トラック・医療品の直接供与が決定された。以上の物品なら規格が違うという事も無く、受け取る中東アフリカ諸国も混乱する事が無いのが最大の利点であった。
その方針は叶総理に説明されると、即座に承認された。そうと決まれば軍需庁と軍需企業は軍用トラックの大量産を開始する手筈を整え、財務省も臨時予算の編成に着手した。外務省は何とか中東アフリカ諸国に接触し、支援の内容について伝達した。
伝えられた中東アフリカ諸国も兵器の規格が違う為に、即座に役立てる燃料・軍用トラック・医療品の直接供与には素直に感謝した。だがヨーロッパ合衆国の侵攻速度が速過ぎる為に、出来る限り早期の支援を求めた。それを大日本帝国は当然と判断し、早期の支援実現に向けて動き出した。亜細亜条約機構加盟国も大日本帝国に習い、同様の支援を行うように関係機関は行動を開始したのである。
大日本帝国と亜細亜条約機構加盟国が中東アフリカ諸国に何とか軍事支援を行おうとする中で、ヨーロッパ合衆国シャーロット大統領の緊急記者会見が開かれる事になった。ヨーロッパ合衆国ドイツ州ミュンヘンの大統領官邸でその緊急記者会見が行われたのである。
『ヨーロッパ合衆国国民の皆さん、そして全世界に向けて我がヨーロッパ合衆国を代表して宣言します。ヨーロッパ合衆国は地球統一政府設立に向けて、断固とした決意で行動を開始します。既にトルコはヨーロッパ合衆国による併合が完了し、中東アフリカ諸国も現在併合を行いつつあります。地球統一政府という崇高な目標に向けて、ヨーロッパ合衆国軍は中東アフリカ地域に存在する無法者政府を打倒するべく行動しているのです。地球統一政府設立はヨーロッパ合衆国に課せられた[明白なる使命]なのです。その為には数多くの苦難が待ち受けている事でしょう。ですが地球統一政府設立を達成するには、世界中の国々をヨーロッパ合衆国に併合しないといけないのです。そうです。大日本帝国を筆頭に亜細亜条約機構もです。大日本帝国との戦争は苦しいものになるでしょう。それでもやり遂げないといけないのです。愚かなる劣等民族である黄色人種に地球の主導権は渡すわけにはいかないのです。私達白人こそが地球統一政府という主導権を握り、地球の人類の明るい未来を創り出すのです。その為に現在の中東アフリカ諸国侵攻が行われています。愚かな劣等民族である黒人と中東の邪教徒は一掃されなければなりません。それは紛れもない、ヨーロッパ合衆国の[明白なる使命]なのです。偉大なるヨーロッパ合衆国による地球統一政府設立は今ここに開始されたのであります。』
記者会見場のみならず、ヨーロッパ合衆国全土に万雷の拍手が轟いた。




