支援到着
ヨーロッパ合衆国陸軍はシャーロット大統領の命令により侵攻を激化させたが、トルコ陸軍の壮絶な反撃を受けて一時的に退却していった。ヨーロッパ合衆国陸軍にとっては屈辱的な選択であったが、被害は大きく一度後退させて部隊の再編を行う必要があったのだ。
だがそれはシャーロット大統領を更に激怒させる結果になった。大統領官邸で一時退却を報告されたシャーロット大統領の怒りは凄まじいものであった。侵攻部隊の総司令官を解任すると言い出し、国防大臣を筆頭に閣僚達の必死の説得にようやく解任は回避された。だが閣僚達もトルコ侵攻にここまで時間がかかるとは思っていなかった為に、シャーロット大統領の怒りは理解出来た。
予想外にも程がある。これが率直な感想であった。トルコ軍は簡単に撃破出来ると予想しており、侵攻も短期間で完了すると思っていた。だがそれがどうであろうか。国境線は瞬時に突破出来たが、第2防衛線でトルコ軍の壮絶な反撃を受ける事になった。その為に甚大な被害を受け侵攻部隊の総司令官は、一時的な退却を全部隊に命令したのであった。これによりヨーロッパ合衆国陸軍はトルコ国境線付近まで退却し部隊の再編を行うと同時に、後方からの増援派遣を実行したのである。
トルコにとってもヨーロッパ合衆国陸軍の一時的退却は渡りに船であった。第2防衛線にて何とか侵攻を食い止めた事により、軍の動員を行い体制を整える事を最優先にしていた。ここに両国は動員を行うという目的により、戦闘は一時的に停止していた。ヨーロッパ合衆国にとっては屈辱的であり、トルコにとっては貴重な時間稼ぎとなったのである。
『ヨーロッパ合衆国はトルコ国境線付近まで退却すると、部隊の再編を開始した。トルコ軍による壮絶な反撃はヨーロッパ合衆国陸軍に多大なる被害を与えていた。その被害は凄まじく侵攻した20個師団での合計した死傷者数は、1個師団丸々に相当するのである。これはヨーロッパ合衆国陸軍にとっては衝撃であった。完全に格下だと思っていたトルコ陸軍の攻撃により、ここまでの被害を受けたのだ。これは国防省の見込みとは全く違うものになった。しかも被害が甚大な割には国境線を突破出来ただけであり、第2防衛線で侵攻は食い止められ国境線付近まで舞い戻る始末であった。完全に作戦失敗といえる程の失態だった。
その為に国防省内では一時的に退却すると判断した侵攻部隊の総司令官の判断は適切であったと判断されたのである。シャーロット大統領はあまりにも不甲斐ない結果に侵攻部隊の総司令官を解任しようとしたが、閣僚達が必死になって説得を行い解任は回避された。それだけ一時的に退却するという事は想定されていなかったのである。まさに想定外であった。まさかの一時的退却により、ヨーロッパ合衆国国防省は大騒ぎとなった。この事態に陸軍の動員を行い、トルコ国境線に増援として送り込む事になった。次なるトルコ侵攻にヨーロッパ合衆国国防省は陸軍を合計50個師団投入する事を決定し、空軍と海軍の緊密した連携で挑む事にしたのである。
だがトルコも万全を期して待ち構えていたのであった。第2防衛線を守り切ったトルコ陸軍だったが、それは薄氷を踏むような勝利であった。第2防衛線に配備された部隊は被害が甚大であり、物資も枯渇寸前であった。海軍はヨーロッパ合衆国海軍機動部隊に全滅させられており、空軍も凄まじい被害を受けていた。ヨーロッパ合衆国陸軍が一時的に退却したのはトルコ軍にとっても、軍の再編を行う貴重な時間稼ぎとなったのである。第2防衛線の死守に於いて合計8個師団に及ぶ死傷者数を出していた。ヨーロッパ合衆国軍の侵攻を食い止められたが、甚大な被害であった。
空軍も大量に撃墜されていた。ヨーロッパ合衆国空軍の誇る第8世代戦闘機のステルス戦闘攻撃機ミッドガルドとステルス戦闘攻撃機ニヴルヘイムにより、トルコ空軍の第7.5世代戦闘機は次々と撃墜された。トルコ空軍の保有するステルス戦闘攻撃機も遠隔操縦機ではあるが、太陽発電衛星を保有していない為に大規模電池とレーザーガトリングガンを装備していなかった。そしてそもそもの機体性能もヨーロッパ合衆国空軍の2機種に一歩劣っていたのである。だがそれでもトルコ空軍は意地を見せてミッドガルドとニヴルヘイムを撃墜していた。その撃墜もヨーロッパ合衆国国防省は想定外であり、慌てふためく有様であった。
そのようなトルコに大日本帝国からの軍事支援が鉄道輸送によりもたらされた。これによりトルコ軍は体制を立て直す事にし、軍の動員を更に推し進めた。トルコ軍は全力を挙げて第2防衛線を死守する事を決め、ヨーロッパ合衆国軍に出血を強いる事による厭戦気分の拡大を狙ったのだ。それに大日本帝国以下亜細亜条約機構と中南米諸国の支持と支援がある為に、例え長期戦になっても戦い抜けるとの判断があったのである。』
広瀬直美著
『新世紀最終戦争』より一部抜粋




