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新世紀最終戦争  作者: 007
第3章 暗雲

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方針確認

2048年7月15日。叶総理の要請により、亜細亜条約機構緊急総会が開かれた。ヨーロッパ合衆国からの経過報告ではあいも変わらずヨーロッパマフィアの拠点を捜査中、という報告しかされていなかった。それを受けて叶総理はヨーロッパ合衆国は時間稼ぎをしていると判断していた。

しかもたちの悪い事に表向きは日欧首脳会談の共同声明にあるように、ヨーロッパマフィアの取り締まりを行っているというアピールはしているのだ。芸が細かい事に、警察による拠点突入の映像まで経過報告には添付されていた。だがどの映像ももぬけの殻である拠点に突入しており、報告は決り文句の拠点を捜査中で締められていた。

叶総理はI3を筆頭に大日本帝国の諜報機関全てに対して、ヨーロッパ合衆国の動向を調査するように命令した。それを受けてI3等は活発に動き出し、気になる情報を入手した。まずはI3はヨーロッパ合衆国が軍の動員と予備役の招集を行っている事が判明した。それは物資面からも顕著に現れており、何かしらの行動を起こすのは明らかであった。

そして空軍の偵察衛星はその誇る衛星コンステレーションを動員して、ヨーロッパ合衆国をつぶさに偵察した。だがこれはお互い様であるがヨーロッパ合衆国による衛星妨害により、撮影は難航した。これは飛行船を利用して妨害剤を散布している為であった。それでも何とか撮影出来た衛星画像を分析すると、ロシア連邦国境にある軍が活発に動いているのが確認出来た。それはただただ軍事演習か侵攻か判断出来なかったが、I3の情報も合わせると傍観するには危ない事態であった。これを受けて叶総理は亜細亜条約機構緊急総会開催を要請したのである。


開催された亜細亜条約機構緊急総会で叶総理は、早速情報を開示した。その情報は加盟国各国を驚かせる内容であった。更にロシア連邦も国境地帯のヨーロッパ合衆国陸軍が活発に動き出しているのは確認している為に、その情報は裏付けされた内容である事も分かった。問題はヨーロッパ合衆国の目的である。何を目的にして軍を動員しているのかであった。普通に考えると軍事演習だと思われた。だが首脳会談に於けるシャーロット大統領の戦争も厭わないという発言を考慮すると、まさかの侵攻という事態も推測された。

そうなればこの新世紀冷戦に於いて自動的に第三次世界大戦へと発展してしまう。果たしてヨーロッパ合衆国にそのような覚悟があるのかが重要であった。その為に各国は軍事演習の可能が高いのではないかと、楽観的な意見を述べた。それが現実的であり軍事演習は新世紀冷戦に於いて、お互いが示威行為としてはやり尽くしている事だったからである。だが叶総理はヨーロッパマフィアを取り締まるという、今や形ばかりの行為についても考慮する必要があると語った。

そのヨーロッパマフィア取り締まりという形ばかりの行為により時間稼ぎを行い、実はヨーロッパ合衆国は戦争準備を行っているのではなかろうか。そう叶総理は言ったのである。それについては一部の加盟国から賛同の声があがった。そう判断すればヨーロッパ合衆国の無意味な経過報告についても理解出来るからであった。経過報告は亜細亜条約機構加盟国にも送られていたが、あまりにも結果が出ていない事に不満は強まっていた。

それらを加味するとやはり時間稼ぎという叶総理の意見は現実的だと加盟国各国は思い直した。だがもしそうなら人類が過去経験していないような、大規模な戦争が勃発してしまう。カナダ以外の世界は完全に二分されているので、第三次世界大戦は決定的になってしまう。そうなれば世界はどうなってしまうのか分からなかった。だが現時点でのヨーロッパ合衆国の行動を考えると、戦争は避けられそうになかった。

そこで叶総理は亜細亜条約機構全体として最悪の事態を想定して、軍の動員を開始する事を提案した。特にロシア連邦に対してはそれは提案というよりも、要請に近かった。ロシア連邦国境の軍が活発に動き出している以上は、ヨーロッパ合衆国がロシア連邦侵攻を画策しているのは明らかであった。そうなるとロシア連邦は侵攻を受ける事になり、生半可な状態では被害は甚大なものになってしまう。

その叶総理の提案に当然ながら、ロシア連邦は全面的に賛成した。最悪の場合自国に侵攻されるとなると、もはやなりふり構っていられなかった。その他の加盟国も最悪の事態を想定し、亜細亜条約機構緊急総会は叶総理の提案を賛成したのである。

そうなると後は早かった。亜細亜条約機構緊急総会を終えて帰国した叶総理以下、各国首脳達は即座に軍に対して動員命令を下した。驚く軍人達に各国首脳達はヨーロッパ合衆国に対抗する為だと付け加えた。

世界は驚くべき速度で、第三次世界大戦へと突き進んでいたのであった。

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