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2048年4月10日。叶総理の提案により亜細亜条約機構緊急総会が開催された。
ヨーロッパマフィアが麻薬密売事件の黒幕である事は亜細亜条約機構加盟国にも伝えられており、各国はそれぞれ地下に潜伏するヨーロッパマフィアを摘発した。各国も大規模な取り締まりを行い密輸ルートと売人も壊滅させ、ヨーロッパマフィアも逮捕した。これにより各国も麻薬密売事件は撲滅された。ヨーロッパマフィアの関与が明るみになった為に、叶総理は亜細亜条約機構加盟国各国に対策を協議する事を提案した。その提案を各国が了承した為に全加盟国の首脳が出席しての、亜細亜条約機構緊急総会が開催されたのである。
亜細亜条約機構は全世界のGDPに於いて半分を占め、大日本帝国を筆頭に強大な軍事力を誇る圧倒的な多国籍機関であった。過去に存在したNATOやWTO等よりも軍事的・経済規模は大きく、更には指導力という点でも亜細亜条約機構は優位だった。かつてアメリカ合衆国は『NATOは歴史上最強の軍事同盟』だと断言したが、実はNATOはその規模が故に弱かったのである。30カ国もの加盟国を誇る多国籍軍事同盟だったが、それが最大の弱点であったのだ。それだけの国々が一枚岩になれる筈が無いのである。事実新世紀日米戦争ではNATOとして統一した行動は採れなかった。その為に亜細亜条約機構は新世紀日米戦争後に、明確に大日本帝国が主導権を発揮する事になり、更にヨーロッパ合衆国が成立すると名実共に大日本帝国を盟主とする事にした。もちろん各国の自主独立性は担保されたものであったが、大日本帝国が立場をわきまえて内政干渉的な提案等を行わず、亜細亜条約機構としての統一した利益を考えての提案しか行っていない為に、各国は大日本帝国に付き従う事を享受していた。特にそもそもが新世紀日米戦争で当時世界最強と言われたアメリカ合衆国を完膚なきまでに叩き潰した事により、大日本帝国の軍事力には絶大な信頼が寄せられていた。その為に基本的には亜細亜条約機構加盟国は大日本帝国に付き従う事を国家方針にしていたのである。ヨーロッパ合衆国から『対日追従外交』と言われる所以だが、これまでその方針により加盟国は利益を享受してきた。そして今回の麻薬蔓延に際しても大日本帝国の情報により、ヨーロッパマフィアの関与が明るみになり摘発する事が出来たのである。
叶総理はまずは自国でのヨーロッパマフィア暗躍について語った。神戸組の対立組織を利用して漁船を使って麻薬を密輸し、国内に麻薬を蔓延させていた事。そしてそれは大規模な一斉検挙により判明し、対立組織や売人を撲滅した事によりヨーロッパマフィアが反攻してきた事。その為に戒厳令を発令してヨーロッパマフィアを文字通り消滅させた事が説明された。大日本帝国の断固とした決意が表れた結果でもあった。その説明後に叶総理は各国に麻薬取り締まりの進捗を尋ねた。亜細亜条約機構加盟国にもヨーロッパマフィアの件は伝えられており、各国は警察による大規模な摘発を行った。壮絶な取り締まりを行った事が語られ、ロシア連邦・中華連邦・インド・アメリカ西岸連邦は麻薬の蔓延が深刻であった事から軍も投入しての大捕物となった。だがその努力は報われ、亜細亜条約機構加盟国全体で麻薬密売事件は終息した。
各国の結果を聞いた叶総理は、ヨーロッパマフィアの扱いについて口を開いた。逮捕したヨーロッパマフィア達は自らヨーロッパ合衆国の支援により活動していたと語っていた。当人達も武器や麻薬という物的証拠もある。これを提示してヨーロッパ合衆国を糾弾する事を提案した。各国はその提案に即座に賛同した。ヨーロッパ合衆国の横暴は明らかであり、これを放置していては亜細亜条約機構としての面子が無くなってしまう。それに先に仕掛けてきたのはヨーロッパ合衆国の方であった。向こうから手を出してきた以上は、こちらも黙ったままではいられなかった。
各国首脳は叶総理の提案を満場一致で可決した。まずは亜細亜条約機構総会としてヨーロッパ合衆国への非難決議が採択された。各国にヨーロッパマフィアを使い麻薬を蔓延させ、治安を悪化させる事を企んだ。それを亜細亜条約機構はその組織として一致して、ヨーロッパ合衆国を非難した。そしてヨーロッパマフィアの人員と武器や麻薬の物的証拠が存在する以上は、ヨーロッパ合衆国も無視は出来ない筈であった。
叶総理は亜細亜条約機構加盟国の首脳に万が一の場合は、大日本帝国軍の全力を挙げて安全を保障すると宣言した。そして更に叶総理は今や権威は失墜し、開店休業状態である国連でヨーロッパ合衆国を追求する事も提案した。それに各国首脳は躊躇ったが、最終的には賛同する事を決意した。ヨーロッパ合衆国は徹底的に追求されるべきであり、最終的にどのような事態になるかは想像出来ないが、ヨーロッパ合衆国には自分達の被害は償ってもらう必要があった。




