警戒態勢
前作の『新世紀日米戦争』の時6月27日から毎日投稿してますが、もう3ヶ月連続になるんですね…
これからも毎日投稿していきますので、宜しくお願いします。
叶総理の結論付けた通りに、ヨーロッパ合衆国はヨーロッパマフィアを利用していた。新冷戦の現状ではなかなかまともに戦争に発展するのは宜しく無いとして、別アプローチを考えてヨーロッパマフィアを利用して亜細亜条約機構に麻薬を蔓延させていたのだ。その方針は成功し見事に麻薬犯罪は急増していた。特に大日本帝国では警察と共闘関係にある神戸組の対立組織に支援を行い、抗争を激化させる事にも成功していた。ヨーロッパマフィアは豊富な資金力により、対立組織は尋常では無い規模の重武装化を遂げていた。そして遂には自爆ドローンを用いて神戸組総本部を襲撃するに至った。だがそこまで過激に行ってしまった為に警察と神戸組が本腰を入れて、対策に取り組む事になったのである。
その事態を受けて大日本帝国に進出しているヨーロッパマフィアは、対策会議を行う事にした。現在大日本帝国にいるヨーロッパマフィアは約130人であった。ヨーロッパマフィアとしては増員して規模を拡大したいが、それ以上はなかなか増やす事は難しかった。理由は単純で大日本帝国は基本的に本土は、日本人という単一民族が1億5000万人も存在しているのだ。新世紀日米戦争の勝利でハワイやグアム等合衆国領有小離島を割譲させ、更に太平洋島嶼国を併合した為に約350万人の住人が大日本帝国の人口に加算された。この元外国人達は大日本帝国憲法と法律が適用される、日本人となったのである。その為にハワイ府等に行けばヨーロッパマフィアもまだ溶け込めたが、大日本帝国本土に白人は目立ち過ぎた。もちろん大日本帝国も観光立国を掲げている為に外国人観光客はいたが、それでも白人というだけで目立つ存在であった。それに大日本帝国の入国審査は世界有数の厳しさを誇り、どれ程精巧に作られた偽造パスポートでも検出し、そもそも正規パスポートでも犯罪歴があれば入国は拒否された。これがなかなか増員出来ない理由であった。
対策会議では今後の行動について意見が分かれた。1つ目は神戸組の対立組織に更なる支援を行い抗争を激化させる、2つ目は今まで行っていた麻薬密売を更に行い麻薬蔓延を広める。この2つの意見であった。この意見に分かれ、結論は出なかった。そこで妥協案として両方を実行する事を決定した。妥協の産物であったが、資金はヨーロッパマフィア本部から送られており豊富であった。それにヨーロッパ合衆国からの直々の依頼で大日本帝国と亜細亜条約機構を混乱させる事を目的にしており、その依頼の達成は最重要事項だった。その為に多少の誤算は目を瞑り、依頼達成を最優先にする事にしたのであった。
『大日本帝国は叶総理の宣言通り、麻薬戦争と言われる状態になっていた。警察は警察庁直轄の指揮により、大日本帝国全土で凄まじい取り締まりを行っていた。その規模は凄まじく至る所で売人の拠点を制圧し、更に売人の元締めも逮捕し、麻薬を流している大元の神戸組の対立組織の1つへも家宅捜索を行った。逮捕者は大量に出たが、肝心のヨーロッパマフィアは逮捕する事が出来なかった。そもそもが地下に潜伏しており、麻薬を流している時も常に裏から手回しするだけで表に出ず、常に裏から活動していた。神戸組が撮影した映像に映っていたのは、実は偶然であったのだ。それだけヨーロッパマフィアは地下に潜伏し、姿を表さずに麻薬を流通させ続けた事になった。だがそのヨーロッパマフィアの手足となる神戸組の対立組織は壊滅的状態となった。警察が一斉に家宅捜索を行い麻薬を押収し、組長以下幹部達も使用者責任により逮捕された。末端の組員も神戸組と共同で徹底的に捜索して逮捕した。これにより売人とその大元は逮捕されたが、やはり黒幕のヨーロッパマフィアが逮捕出来なかったのは痛手であった。警察と神戸組は再び対策会議を行い、今後の方針を話し合う事にしたのであった。』
広瀬直美著
『新世紀最終戦争〜麻薬戦争〜』より一部抜粋
2048年2月20日。首相官邸では再び閣議が招集されていた。神戸組の対立組織は壊滅させ、売人やその拠点も逮捕し潰したがヨーロッパマフィアは依然として逮捕出来ていなかった。そして警察と神戸組は対策会議を行い、その結果を警察庁長官が叶総理に説明していた。対策会議で神戸組が投げ掛けた疑問が、最大の焦点になっていた。ヨーロッパマフィアはどうやって大日本帝国に麻薬を密輸しているのか。これに尽きた。今までは麻薬犯罪と麻薬の蔓延について議論を交わしてきたが、肝心の麻薬密輸については半ば忘れていた。だが法務大臣は入国管理局による世界有数の厳格な入国審査を語り、国土交通大臣は海上保安庁の太平洋と日本海での厳格な海上監視を語った。
大日本帝国は世界に冠たる海洋帝国という島国としての特性を最大限に活かして、入国審査は世界有数の厳格さを誇っていた。ありとあらゆる危険物の国内への持ち込みは摘発され、不審者も量子コンピューターとAIを駆使した顔認証で即座に探知していた。海上保安庁も特に新世紀日米戦争後は予算増額で、事実上の『ヘリ空母』まで建造した。総トン数3万トンの『多目的巡視船』という名目であったが、哨戒ヘリコプターを4機も搭載する立派なヘリ空母であった。それは2048年に於いても変わらず今では『大型多目的巡視船』として総トン数5万トンのヘリ空母を保有している。その為に世界最大の海洋面積を誇る大日本帝国の領海と排他的経済水域を守る組織として、海上保安庁の予算は約3兆円という巨額のものになっていた。叶総理以下閣僚達が首を捻るなか、国防大臣が口を開いた。
海中かもしれません。
その言葉に叶総理はヨーロッパマフィアならやりかねない、として海軍連合艦隊の出撃を命令した。




