再戦
2049年8月2日午前8時28分。遂にロシア戦線にて膠着状態が打ち破られた。ヨーロッパ合衆国陸軍350個師団と人造人間師団750個師団の700万人と1500万体が、亜細亜条約機構軍980個師団1960万人に侵攻を開始したのである。
『それは壮絶な光景であった。私の眼前で繰り広げられるのは人類史上最大規模の陸軍による戦闘であったのだ。嘗て古今東西歴史上数多の人物が軍を率いてきた。アレクサンダー大王・ハンニバル・スキピオアフリカヌス・チンギスハン・ユリウスカエサル・織田信長等々、ざっと上げただけでこれだけにもなる。だが今名を挙げた歴史上数多の人物もその率いた軍隊は数万人から多くても数百万人であった。それがどうであろう。今私が見ている前には大日本帝国陸軍以下亜細亜条約機構軍が980個師団1960万人に及び、ヨーロッパ合衆国陸軍に至っては偵察衛星の映像から判断するに更にそれを上回る2000万人以上の規模と見られる軍が展開していたのである。
恐ろしいまでの数であった。あまりの光景に呆然としていた私の側に大日本帝国陸軍総軍総司令官が近付いて来ると口を開いた。「驚くべき光景ですよね。私も困惑していますよ。ですが半年もの膠着状態にあった反動と言いますか、戦力増強の成果ですね。全く恐ろしい光景です。生産を全く行わない汎ゆる資源を浪費するしかない人間が両陣営合わせると4000万人近くも展開しているんですよ。そう考えるとなかなかですね。」そう言うと総司令官は笑顔を見せた。
私が「戦争はお金がかかりますね。」と答えると、総司令官は更に笑顔をみせてくれた。』
広瀬直美著
『新世紀最終戦争』より一部抜粋
ヨーロッパ合衆国陸軍350個師団と人造人間師団750個師団の700万人と1500万体の侵攻は、人造人間師団1500万体を先頭にして怒涛の勢いで開始された。亜細亜条約機構軍がロシア戦線に構築した縦深を確保した地雷原は、ヨーロッパ合衆国陸軍の自走170ミリ超電磁砲アウズンブラや大日本帝国陸軍の地雷原処理車を参考にした地雷原処理車も投入し、各所で次々と爆発され進撃路を確保された。そして先頭を行くヨーロッパ合衆国陸軍の人造人間は、半年前よりも新型が投入されていた。女性を模してGカップにもなる胸があり、そこに小型レーザー砲2基を装備していたがそれが巨大化した。Jカップにもなる胸になりその蓄電池が大型化されレーザー砲の威力が強化されたのである。更に尻にあたる部分も巨大化され蓄電池とパワーアシスト装置が追加され、起動時間と機動力・パンチの威力が大幅に向上していたのである。
更には人造人間本体の装甲も改良され歩兵の銃火器ではほぼ破壊不可能な防御力を有するまでになった。その為にロシア戦線の地雷原を突破してトーチカ群の前にまで侵攻して来た、人造人間に対して行われた十字砲火は決定打に欠けるものになった。それに反して人造人間の爆乳から放たれるレーザー砲はトーチカを次々と破壊し、亜細亜条約機構軍の前線は徐々に食い破られようとしていたのであった。