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新世紀最終戦争  作者: 007
第0章 前史
19/262

更なる対立

もう前史はこの話で終わらし、次回から漸く本編に入ります。

20年が経過した。その間の2040年に大日本帝国は『紀元二千七百年記念行事』を開催。神武天皇即位紀元(皇紀)2700年を祝う盛大な式典が開催された。2040年は年初の橿原神宮の初詣生中継に始まり、建国記念日には全国約11万もの神社において大祭が行われ、展覧会、体育大会など様々な記念行事が全国各地で催された。そして11月11日に皇居外苑で盛大なる紀元二千七百年記念式典が開催された。内閣総理大臣を始め内閣閣僚国会議員、行政府に関わるもの全員と軍首脳陣も出席し、亜細亜条約機構加盟国からは政府首脳陣だけで無く国家元首である王族も直々に出席した。更には対立が続くヨーロッパ合衆国からも各王族が対立を越えて、純粋な祝賀行事として出席していた。これはヨーロッパ合衆国も祝電を送る対応を行っており、新冷戦に於ける両陣営が成し遂げた唯一の平和的行事となった。

2048年となった世界は大日本帝国率いる亜細亜条約機構と、ヨーロッパ合衆国と中東アフリカ諸国の激しい対立状態に陥っていた。大日本帝国とヨーロッパ合衆国は共に軌道基地と月面基地を建設し、月での資源開発に勤しんでいた。大日本帝国は2034年にヨーロッパ合衆国は2038年にそれぞれ月面基地を完成させた。そして両国は地球での対立を月にまで持ち込むのは賢明で無いとして、2038年9月3日に『月平和開発条約』を締結した。大日本帝国が月の北半球側に、ヨーロッパ合衆国が月の南半球側に、月面基地を建設していた為に月の赤道上で分割し南北をそれぞれの境界とする事になった。それぞれの領土としなかったのは、1967年発効の『宇宙条約』が理由であるが、ある意味で妥協の産物ともいえる条約となったが、ここまで対立が激化している現状では最善の方法でもあった。この条約により宇宙開発競争は一応の決着となった。もちろん大日本帝国のIAXAとヨーロッパ合衆国のESAは次なる計画を『太陽系全域への進出』と決めていたが、流石にそこまでなると費用面で膨大な出費になる為にそれぞれの政府が計画の実行を先送りにしていた。実際問題として恒星間航行技術が確立されていない現状では、地球と月の往復が精一杯であった。


『月での資源開発が平和に行われる中で、地球では激しい対立が続いていた。宇宙開発競争は引き分けとも言える決着になった為に、大日本帝国とヨーロッパ合衆国は軍拡競争で更に対立していた。大日本帝国は2023年からの[第7次国防力整備計画]、2030年からの[第8次国防力整備計画]、2042年からの[第9次国防力整備計画]で史上最大規模の軍事力を保有するに至った。これ程までに大規模な軍拡を行いしかも亜細亜条約機構加盟国にも技術支援を行い、全体としての戦力の底上げを図っていた。その為に太平洋からインド洋に至る[自由で開かれた平和なインド太平洋]と呼ばれる大日本帝国の戦略が成功した事の証明であった。その結果それら地域は大日本帝国と亜細亜条約機構の[聖域]とも呼ばれていた。

対するヨーロッパ合衆国も度重なる軍拡により世界で唯一、大日本帝国に対抗出来る軍事力を保有するに至った。かつての国が州になった事で、ヨーロッパ合衆国は凄まじい経済成長を遂げた。今までは輸出等という形になっていたが、国家統合により大日本帝国と同じ内需主導型経済にヨーロッパ合衆国は変貌した。唯一の懸念材料であった資源的問題も、中東アフリカ諸国との接近により解決され生産性も向上された。そして拡大した経済規模に応じて、大規模な軍拡が実行された。ヨーロッパ合衆国という人類史上初めての地域国家統合により成立した国は、その名に恥じぬ軍備を有する事になったのである。そしてヨーロッパ合衆国は今や味方である中東アフリカ諸国にも技術支援を行い、大日本帝国と亜細亜条約機構に対抗して凄まじい軍拡を行った。

大日本帝国と亜細亜条約機構、ヨーロッパ合衆国と中東アフリカ諸国は新冷戦と呼ばれる対立状態になり、その両者が雌雄を決するのは定められた宿命でもあったのである。』

広瀬直美著

『新世紀最終戦争』より一部抜粋


凄まじいまでの軍拡競争は両者にとってはある種の保険になっていると思っていた。特に大日本帝国と亜細亜条約機構はその節が強かった。かつての冷戦で米ソが冷戦のまま終われたのは、相互確証破壊の理論が成り立っていたからである。つまりはお互いが保有する核兵器が相手のみならず自国、そしては世界が崩壊する危険性を孕んでいたから早まった事態にならずに冷戦として終結したのである。だがそれも新世紀日米戦争で核兵器の実戦使用のハードルは大きく下がった。そして大日本帝国とヨーロッパ合衆国共に『純粋水爆』と呼ばれる、レーザーによる核融合反応を引き起こす大量破壊兵器を保有するに至った。

この状態のまま大日本帝国とヨーロッパ合衆国は激しい対立状態に陥っていたが、意外な方向から両陣営は更に対立を深める事になったのである。

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