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新世紀最終戦争  作者: 007
第8章 思惑
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手詰まり

だが大日本帝国の思惑通りになってしまったとはいえ、現状ではその対応をしないとならず対策は急務であった。シャーロット大統領は中東アフリカ地域での治安回復にどれだけ時間が必要になるのか尋ねた。その質問には誰もが答えに困った。状況が状況だけに早急な対策を行い治安回復を果たさなければならないが、なんと言っても無い袖は振れないのだ。それに急にレジスタンス蜂起という事態になりまずはレジスタンス組織の全容解明から行わなければ、姿が分からない敵を探し回るだけになってしまう。

返答に困る閣僚達を見かねて、陸軍参謀総長が軍人らしく現実を口にし、順調にいっても1年はかかる、と断言した。予想通りの最悪の言葉に閣僚達のみならず、シャーロット大統領の顔も曇った。陸軍参謀総長は更に説明を続けた。順調にいって1年であり、相手が大日本帝国軍特殊部隊だとするとその練度と能力からいってそう簡単に、組織を把握される事は無い事。そうなると最悪の場合はこの戦争が続く限りレジスタンスの妨害は止められず、中東アフリカ地域の組織だった戦争遂行の為の利用が困難になる事。この2点を語った。しかも陸軍参謀総長は中東地域でのレジスタンス蜂起がイラン戦線に与える、直接的弊害があるとも語ったのである。

それはイラン戦線までの兵站線であった。現状ヨーロッパ合衆国本土からイラン戦線への兵站補給は、鉄道を主軸に空軍輸送機と地中海から紅海を経由してアラビア海に至る海路の3つで行っていた。輸送量でいえば海路を用いた輸送船が一度に数万トン前後の物資を輸送可能で、時間でいえば空軍輸送機を用いた輸送機がものの数時間で輸送可能であったが、兵站輸送の主軸は鉄道にあった。海路は輸送量が多いが最低でも2日弱は必要で、空軍輸送機は時間は早いが輸送量は数百トンしか無かった。だが鉄道なら1日弱で重連による輸送で5000トン以上の輸送が可能であった。その為にヨーロッパ合衆国はイラン戦線への兵站線の主軸を鉄道としていたが、その重要な兵站線にレジスタンスが破壊工作を行えばイラン戦線に展開する軍の活動に著しい支障を来すと指摘したのである。

それは重要な指摘であった。国防大臣はそれに気付くとシャーロット大統領に、アフリカ地域よりも中東地域のレジスタンス摘発を優先するように言った。しかしアフリカ地域から産出する戦略資源も戦争遂行の上で必要不可欠であり、その地域を放置する事も許されなかった。その為にヨーロッパ合衆国は完全に手詰まりの状況に陥っていたのである。

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