方針
午前10時。時間を掛けて計画されたレジスタンス蜂起が見事に実を結んだ事を受けて、大日本帝国帝都東京首相官邸では叶総理が対策会議を開いていた。レジスタンス蜂起の報は速報で大日本帝国にも伝えられ、中東アフリカ地域でのヨーロッパ合衆国軍基地が効果的に破壊されたのが把握出来た。空軍の偵察衛星も動員し確認すると、中東アフリカ地域各地のヨーロッパ合衆国軍基地から黒煙が上がっているのが確認出来た。レジスタンス蜂起は大日本帝国軍特殊部隊が参加したが、I3が主導して行っていた。何せそもそものレジスタンス支援の目的が、予備役兵力枯渇による徴兵制復活と訓練の時間稼ぎだったからである。その為に参加人数は軍人の方が多いが、主導権はI3にあるという珍事が発生していた。そこで対策会議に於いても作戦経緯の説明はI3長官が行った。
I3長官は中東アフリカ地域に結成された12のレジスタンス組織全てに接触し連携し、特殊工作員と軍特殊部隊の指導によりレジスタンスの能力を向上させるのに成功したと語った。各種支援を行い組織は拡大したが人員面での不足が唯一の懸念事項であったが、今回の蜂起成功により参加者が急激に増加しているとも付け加えた。蜂起が効果的な宣伝になったのである。
参加者が増えている事に外務大臣は、ヨーロッパ合衆国にレジスタンス組織が摘発されるリスクが高まるのではないかと尋ねた。確かに当然の疑問であった。ヨーロッパ合衆国に対する抵抗を行うべきレジスタンス組織が、そのヨーロッパ合衆国に摘発されると意味を成さないからである。その疑問にI3長官は答えた。確かに摘発されるリスクは高まるが、組織の秘匿性はI3と軍特殊部隊が最優先事項で取り組んでおり、その可能性は出来る限り低くしていると語った。
その可能性は常に存在しているが、そこにばかり気を取られていては蜂起は成功しなかったのも事実であった。叶総理はI3長官に作戦を続ける上で今後必要な物を尋ねた。I3長官は躊躇う事無く『資金』だと即答した。レジスタンス組織を維持する為にはなんと言っても資金が必要であったのだ。資金に関しては多過ぎて困る事は無い為に、I3長官は予算の増額を求めたのである。その返答を聞いた叶総理は、財務大臣に予算増額を命じたのであった。