レジスタンス蜂起
2049年1月30日。中東アフリカ地域のレジスタンス組織に対する大日本帝国の支援が実を結び、遂に複数箇所でレジスタンス蜂起が開始されたのである。
『中東アフリカ地域でのレジスタンスによる不正規戦の指導は、大日本帝国の誇る特殊部隊により行われた。2049年1月30日に中東アフリカ地域の複数箇所でレジスタンス蜂起が開始されたが、その準備は前年の2048年10月26日から始まっていた。大日本帝国は中東アフリカ地域のレジスタンス支援に海軍連合艦隊の領海警備担当の攻撃型原子力潜水艦海神級1隻を使い秘密裏に輸送を行ったのである。
大日本帝国海軍の保有する潜水艦は攻撃型・戦略型共にレーザー核融合炉を搭載し、超電導電磁推進で航行可能な原子力潜水艦である。レーザー核融合炉による大馬力を利用した電磁推進が可能で、スクリューが存在しないウォータージェットのように海水を船尾から吐き出す為に、キャビテーションノイズが発生せず無音で高速航行が可能になっている。しかもその最高速力は150ノットとなっており、凄まじい速さを誇るのである。それを利用してヨーロッパ合衆国の隙を突いて輸送する事になったのだ。空軍の輸送機を利用してHALO降下も計画されたが、隠密性では潜水艦からゴムボートに乗り込んでの上陸の方が高い為に、その方法が取られた。だが後々に行う支援作戦では空軍輸送機によるHALO降下や、武器装備の空中投下も計画されていた。
レジスタンス支援作戦の先発として送り込まれた部隊は何を差し置いてもレジスタンス組織との合流と常駐が任務であった。そして具体的な作戦指導を行い、不足するものは全て空軍輸送機を用いて補給する事になった。先発として大日本帝国が送り込んだのはI3(帝国情報捜査庁)の特殊工作員と、大日本帝国陸軍特殊部隊の第1レンジャー連隊・陸軍特殊戦部隊、大日本帝国海軍特殊部隊の特務陸戦隊から選抜された人員であり、その先発部隊は見事にレジスタンスと合流を果たした。そしてその後は空軍輸送機を駆使し陸軍の帝国特殊作戦群と海兵隊の海兵特殊作戦群も追加で派遣された。I3と大日本帝国軍特殊部隊が直々に指導を行い、装備等も提供した為に中東アフリカ地域のレジスタンスはその能力を上昇させた。
そして練度十分との判断によりレジスタンス蜂起が決定し、2049年1月30日に中東アフリカ地域のヨーロッパ合衆国基地に対して一斉に攻撃が加えられたのである。ヨーロッパ合衆国にとっては完全に予想外のレジスタンス蜂起という事態であった。』
広瀬直美著
『新世紀最終戦争』より一部抜粋