叶総理演説
2049年1月25日午前3時。ヨーロッパ合衆国大統領官邸報道官による記者会見への対抗として、大日本帝国帝都東京首相官邸にて叶総理による記者会見が行われた。
『今回大日本帝国は月で行われた人類史上初の地球外戦闘に於いて、圧倒的な勝利を収めヨーロッパ合衆国月面基地を占領するに至りました。ヨーロッパ合衆国大統領官邸報道官は地球上での戦いをこれ以上月で続けるのは人類の尊厳に反するとして、シャーロット大統領の英断により月を一時的に大日本帝国に委ねる事にし、最終的には奪還するのは確定であり、それまでの一時的措置に過ぎないと一方的に宣言しました。このような難癖をつける程までにヨーロッパ合衆国は落ちぶれてしまったのであります。そもそも今回の月面での戦いはヨーロッパ合衆国が1967年発効の宇宙条約と、2038年の月平和開発条約を一方的に無視した事から始まったのです。そもそも月平和開発条約締結は大日本帝国が月の北半球側に、ヨーロッパ合衆国が月の南半球側に、月面基地をそれぞれ建設していた為に月の赤道上で分割し南北をそれぞれの境界とする事にした条約です。その後は月の赤道上を地球に於ける非武装地帯として、構造物の建設や申告無しでの侵入を禁止する事にしたのです。月をそれぞれの領土でも無く軍事力を配備しないのは、1967年発効の宇宙条約が理由でありそれを大日本帝国もヨーロッパ合衆国も遵守している筈であったのです。
ですがヨーロッパ合衆国はその2つの条約を破ったのです。月分割線を侵犯し侵攻してくる月面車の為に、私達は海兵隊の海兵両用作戦部隊を月面基地へ送り込む事を決定し、往還宇宙船伊邪那美と月往復用大型宇宙船月読命を使い全力で援軍派遣を行いました。そしてその結果援軍派遣は間に合い月面基地に迫っていたヨーロッパ合衆国陸軍部隊の撃退に成功し、更には逆侵攻によりヨーロッパ合衆国月面基地を占領するに至ったのであります。そしてその結果月は大日本帝国が完全に掌握する事になりました。ヨーロッパ合衆国月面基地は大日本帝国の管理下になり、今後は海兵両用作戦部隊の軍政下に入ります。これは今が戦時中である為の暫定措置であり、正式な対処は戦後に行います。
月での戦いは終結し、地球上での戦いが更に過熱する事になります。ですがヨーロッパ合衆国という傍若無人な振る舞いを続ける無法者国家は何としても滅ぼさないといけません。大日本帝国国民の皆さん、亜細亜条約機構加盟国国民の皆さん、対ヨーロッパ合衆国大同盟参加国国民の皆さん、必ずや第三次世界大戦に勝利しましょう。』
叶真理亜内閣総理大臣演説より一部抜粋