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新世紀最終戦争  作者: 007
第0章 前史
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ヨーロッパ合衆国の野望

2028年1月29日。ヨーロッパ合衆国が建設していた軌道基地が完成し、ギリシャ神話から神々の住まう山から『オリュンポス』と名付けられた。。大日本帝国が建設した軌道基地『きぼう』の後追いである為に、総重量2000トン最大長400メートルで宇宙ドックも建設された。そしてヨーロッパ合衆国は大日本帝国に対抗して、恒久的月面基地建設を発表した。ヨーロッパ合衆国は国家統合により全てに於いて決断と実行力が加速していた。

だがそれでもまだ大日本帝国の『第3次宇宙開発計画』は先を進んでいた。『きぼう』の宇宙ドックにて建造されている月往復用大型宇宙船月読命は完成率が9割に達していた。今年中には完成し宇宙空間での試運転が可能になっていたのである。『きぼう』は2023年には総重量2300トンで最大長480メートルにまで拡張されていたが、トラック宇宙基地の完成と往還宇宙船伊邪那美の活躍により5年間に総重量8700トン最大長910メートルまで拡張されていた。H-3ロケットも補助的に活用されており、『きぼう』への物資輸送に大活躍していた。しかも大日本帝国の軌道基地『きぼう』には大日本帝国の宇宙飛行士のみならず、亜細亜条約機構の宇宙飛行士も滞在していた。亜細亜条約機構加盟国は大日本帝国の宇宙開発に協力を表明し、資金援助を行っていた。『参加』では無く『協力』なのは自分達に宇宙開発を行える経済的基盤と技術力が無いのが分かり切っていたからだ。もちろん参加を表明すれば大日本帝国との共同になり、技術支援も受けられるだろうが今そのような事に大日本帝国を煩わせるのは得策でないと結論付けられていた。これは亜細亜条約機構総会で正式に決定された事であり、亜細亜条約機構加盟国は資金援助のみの協力を行うだけとなった。大日本帝国も参加国が増えれば切磋琢磨する事で宇宙開発が加速するかもしれないと考えたが、未だに亜細亜条約機構加盟国でロシア連邦しか衛星打ち上げ能力が無いという事が分かっている為に、参加されても時間の浪費と感じていた。そこへ自分達から資金援助のみを表明され、IAXAとしては安堵の溜め息をついた程であった。

そしてその資金援助のみに自粛する亜細亜条約機構加盟国の面子の為に、大日本帝国は各国の宇宙飛行士を『きぼう』に招待した。もちろんその宇宙飛行士が存在しない加盟国の為に訓練をIAXAの施設で行い、H-3ロケットで『きぼう』へと打ち上げられた。そしてその間も往還宇宙船伊邪那美により『きぼう』のモジュールと、月往復用大型宇宙船月読命の建造資材は輸送され続け作業は進んでいた。しかも亜細亜条約機構加盟国の資金援助により当初の計画より進捗は加速されていた。その資金援助も各国の宇宙飛行士の誕生と『きぼう』への滞在で各国国民の支持を高め、年々増額されていた。それはヨーロッパ合衆国の成立により亜細亜条約機構総会で大日本帝国への支持と支援を強化する事が決定され、資金援助は更に増額される事になった。大日本帝国も帝国議会でヨーロッパ合衆国に対抗する為に第3次宇宙開発計画の予算増額を決定し、宇宙開発競争は更に加熱していった。


ヨーロッパ合衆国は軌道基地オリュンポスで月往復用大型宇宙船『アルゴー』の建造を開始した。アルゴーもギリシャ神話に登場する大型船から名付けられた。ヨーロッパ合衆国は大日本帝国と違い往還宇宙船は開発出来なかったが、それを補う為にアトラス5ロケットを大量産し打ち上げを次々と行った。ヨーロッパ合衆国としては国家統合を果たした利点を最大限に活かした結果であった。とてもヨーロッパ連合の時には出来なかったペースであり、大日本帝国に遅れている宇宙開発に追い付け追い越せとして全力を挙げて取り組んでいた。ヨーロッパ合衆国は何としても大日本帝国よりも優位に立つのを目標にしていた。

何故そこまで大日本帝国に対抗するのか、であるがそれはやはりアメリカ合衆国が崩壊したのが最大の理由であった。特に第二次世界大戦後の東西冷戦でアメリカ合衆国率いる西側陣営に属しており、ある意味でアメリカ合衆国の意向に従っていたのが東西冷戦下のヨーロッパ各国であった。それは東西冷戦が終結し東欧諸国もNATOに加盟してもNATOの事実上の盟主がアメリカ合衆国である以上は、何も変わらない状態となっていた。その後アメリカ合衆国が大日本帝国の好景気による進出に対抗し、日米対立に発展していくとやはり当初はアメリカ合衆国への支持をヨーロッパは明確にしていた。そして新世紀日米戦争が勃発するとイギリス等は参戦を表明した程であった。だが初戦の空母決戦でアメリカ合衆国が完膚なきまでに敗北した事で、ヨーロッパにある種の野望が生まれた。アメリカ合衆国が崩壊すれば再びヨーロッパの栄光ある時代が訪れるのではないか。そうなると後は早かった。大日本帝国へ弾薬・ミサイル・砲弾等の支援を行い、アメリカ合衆国が北海道釧路市に対して核攻撃を行ってからは、大々的に大日本帝国への支援を開始した。アメリカ合衆国本土上陸が行われると、西海岸に直接輸送船団を派遣したりもした。

そしてヨーロッパの目論見通りアメリカ合衆国は崩壊。ロッキー山脈以西はアメリカ西岸連邦として分離独立し、残されたアメリカ合衆国も東海岸全域が核攻撃を受けて無条件降伏した。アメリカ合衆国に直接手を下さずにヨーロッパは、野望を達成したのである。その後は大日本帝国のさらなる飛躍は想定外であったが、今やヨーロッパ全域は国家統合を果たしてヨーロッパ合衆国となったのである。負ける筈が無い。それがヨーロッパ合衆国の合言葉になっていた。

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