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新世紀最終戦争  作者: 007
第8章 思惑
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報復に向けて

2049年1月24日午前7時。ヨーロッパ合衆国による報復策として、ヨーロッパ合衆国月面基地占領作戦が始動した。



『作戦は始動したが実際に行動に移せるのは暫く時間が必要であった。何せ作戦始動の2049年1月24日午前7時の時点では月面基地に海兵両用作戦部隊400人を送り込んだ月読命は、未だに軌道基地きぼうへの帰還途中であったからである。当時の月往復用大型宇宙船月読命の搭載していたスクラムジェットエンジンでは、飛行時間が片道で10時間は必要であったのである。恒星間航行技術が確立された今となっては地球から月へは、かつて地球に於いて飛行機で大陸を移動するのと同じくらい気楽になったが、当時の技術力では片道10時間は寧ろ最速であった。だからこそ大日本帝国は月面基地への侵攻に対する報復として、ヨーロッパ合衆国の月面基地占領作戦を実行する事にしたのである。

地球からの命令により軌道基地きぼうでは慌ただしく準備が行われていた。トラック宇宙基地からの伊邪那美によるピストン輸送によって、海兵両用作戦部隊はその全員が地球から宇宙空間である軌道基地きぼうに移動していた。そしてきぼう内と大日本帝国帝都東京首相官邸地下の危機管理センターはデータリンクによる遠隔会議を行い、月面基地防衛成功と報復としてのヨーロッパ合衆国月面基地占領作戦が伝えられた。占領作戦を伝えられた海兵両用作戦部隊の兵士達は、危険を伴う任務ながらその重要性を認識し、更には月面基地ともデータリンクによる遠隔会議で司令官自らが作戦の意義を説明すると、全員は危険を顧みない決意で作戦を実行する事にした。

海兵隊での訓練課程で軍人としての宣誓を行った兵士達である。大日本帝国軍はその訓練課程で軍人として訓練を受けるに辺り、[軍人たる宣誓]を行う事になっている。その宣誓は大東亜戦争敗戦後の再軍備に際して規定され宣誓の最後はこのようになっている。[事に臨んでは危険を顧みず、身をもって任務の完遂に務め、大日本帝国国民の負託にこたえることを誓います。]軍人として危険を顧みず任務を遂行しようという心意気が宣誓に現れていたのである。

その為に作戦は滞り無く海兵両用作戦部隊の兵士達に周知され、後は月読命の帰還を待つのみとなった。そして作戦始動から3時間後に月読命は無事に軌道基地きぼうに帰還し、宇宙ドックに入渠すると燃料補給・点検整備・操縦士の交代・海兵両用作戦部隊兵士の搭乗と数多くの成すべきことを同時進行で開始した。全ての準備を完了した月往復用大型宇宙船月読命は2049年1月24日午前11時、再び軌道基地きぼうを発進しヨーロッパ合衆国月面基地占領作戦が本格的に始動した。』

広瀬直美著

『新世紀最終戦争』より一部抜粋

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