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新世紀最終戦争  作者: 007
第6章 猛る炎
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対潜戦

囮作戦は計画通り、商船を船団から分離させる事から始まった。船団護衛は大日本帝国海軍の海防艦と哨戒艦にて行われており、各商船会社の商船は船団の中心に集まっていた。連合艦隊機動打撃群はその機動力を活かして縦横無尽に駆け回る、遊軍的扱いで活動していた。空軍の5式対潜哨戒機と海上保安庁も哨戒活動を続けており、ヨーロッパ合衆国海軍の攻撃型原子力潜水艦に付け入る隙は与えていない筈であった。だからこそあえて商船を囮にする作戦が実行されたのである。

囮として利用する商船は急遽改造され遠隔操縦が可能となっていた。囮にする以上は撃沈される危険性が高い為に、乗組員の命を危険にさらすわけにはいかなかったからだ。その遠隔操縦型の商船は船団での航行に煩わしさを感じ、我慢出来なかった商船が突出したというのを演出していた。その為に船団護衛を行う海防艦と哨戒艦は、その突出した商船は守りようが無いとの演出もしていた。

だが見た目だけはそのようにしていたが遠隔操縦型の商船には更に攻撃型原子力潜水艦を捕捉する為にアクティブソナーを装備させていた。そして海防艦と哨戒艦は遠隔操縦型商船とデータリンクを行い、アクティブソナーで攻撃型原子力潜水艦を捕捉次第に攻撃をする構えを見せていた。連合艦隊機動打撃群も常に哨戒を行っており、海上保安庁も哨戒を行い即座に攻撃しようとしていた。見敵必殺がモットーの大日本帝国海軍はその気概を見せようと意気込んでいた。



『商船を囮とする作戦であり非常に大掛かりなものになったが、その決意は双方の思惑もあり見事に成功した。最初に捕捉したのは大日本帝国海軍の方であった。突出した商船に装備させたアクティブソナーがヨーロッパ合衆国海軍の攻撃型原子力潜水艦を捕捉したのである。これには接近したヨーロッパ合衆国海軍にとっては予想外であったろう。

非武装の商船からまさかアクティブソナーが打たれるとは思ってもいなかったからである。この事態にヨーロッパ合衆国海軍の攻撃型原子力潜水艦は急速潜航を行い岩場に紛れ込んだ。

商船とデータリンクを行っていた海防艦と哨戒艦は探知した位置を、空軍の5式対潜哨戒機と連合艦隊の攻撃型原子力潜水艦海神級に通達した。対潜ミサイルを発射したかったが、射程外であった為に見送られた。急報を受けて近くに展開していた5式対潜哨戒機1機と攻撃型原子力潜水艦海神級2隻が探知位置に急行した。最初に探知した商船は囮役を十分に演じる為に、ヨーロッパ合衆国海軍の攻撃型原子力潜水艦を探知した方向とは逆に舵を切った。そして全速力を発揮して逃走しようとする構えを見せていた。

暫く待っても攻撃を受ける事が無かった事からヨーロッパ合衆国海軍の攻撃型原子力潜水艦は、搭載するレーザー核融合炉の出力を発揮して最大速力の150ノットにまで加速した。商船の位置はパッシブソナーにより捕捉し続けており、攻撃態勢に入ろうとしていた。驚異的な速度差もあり僅か25ノットで航行する商船相手には150ノットを叩き出すヨーロッパ合衆国海軍の攻撃型原子力潜水艦は即座に魚雷の攻撃圏内に追いついた。

そして攻撃準備を行い魚雷発射管を開いたその瞬間に、海中と水面両方からアクティブソナーが発信され位置を特定されたのである。大日本帝国海軍の攻撃型原子力潜水艦海神級が海域に近付き魚雷発射管の開口音を探知し、大日本帝国空軍の5式対潜哨戒機がソナーブイを投下しアクティブソナーを起動させた、それぞれの瞬間が見事に合致した成果であった。

探知された事に気付いたヨーロッパ合衆国海軍の攻撃型原子力潜水艦は魚雷発射管を閉じて攻撃を中止し、急速潜航を行い退避行動に移った。だがそれは僅かなタイミングで手遅れであり大日本帝国海軍の攻撃型原子力潜水艦海神級は魚雷を発射し、大日本帝国空軍の5式対潜哨戒機は対潜ミサイルを発射したのである。いくらレーザー核融合炉を搭載する超電導電磁推進潜水艦といえども、即座の150ノットまでの加速は不可能であり急速潜航と加速を行っている所へ魚雷と対潜ミサイルが命中した。

ここに大日本帝国はヨーロッパ合衆国による大規模な通商破壊戦に打撃を与える事に成功したのであった。』

広瀬直美著

『新世紀最終戦争』より一部抜粋



囮作戦は大成功を収めた。各海域でヨーロッパ合衆国海軍の攻撃型原子力潜水艦は面白いように囮に食らいついたのである。これにより大日本帝国は一気に10隻ものヨーロッパ合衆国海軍の攻撃型原子力潜水艦を撃沈する事に成功した。あまりの被害にヨーロッパ合衆国海軍はシャーロット大統領直々の命令により通商破壊戦の中止を決定。先のアラビア海海戦の敗北に加えて通商破壊戦も失敗した事から、シャーロット大統領は海軍を本国周辺の沿岸防衛のみに使う事を決心したのであった。

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