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新世紀最終戦争  作者: 007
第6章 猛る炎
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次の一手

大日本帝国本土空襲が失敗した事を受けて、シャーロット大統領は対策会議を開催した。まさかの事態であった。大陸間弾道ミサイルエクスカリバーのみならず、ステルス戦略爆撃機アスガルドまで全滅したのである。しかも大日本帝国には全く被害を与えられなかった。ここまで一方的なものになろうとは、誰一人思ってもいなかったのである。確かに大陸間弾道ミサイルエクスカリバーは全弾迎撃される可能性もあったが、それはいわばステルス戦略爆撃機アスガルド隊の支援攻撃の意味もあった。

もちろん大陸間弾道ミサイルエクスカリバーで大日本帝国に被害を与えられると良かったが、ある意味で全弾迎撃は計画通りだった。大日本帝国が大陸間弾道ミサイルエクスカリバー迎撃に忙殺されていれば、ステルス戦略爆撃機アスガルド隊が本土空襲を行う事が容易になるからである。だが大日本帝国は効果的に迎撃を行った。

その為に大陸間弾道ミサイルエクスカリバーを早期に迎撃し尽くしたのである。しかしそれでもステルス戦略爆撃機アスガルド隊は急遽改修工事を行い、光学迷彩を搭載させていた。これがあれば視覚的光学的に探知される事は無いので、大日本帝国本土空襲は成功したも同然であった。

事実大陸間弾道ミサイルエクスカリバーが全弾迎撃されても、ヨーロッパ合衆国国防省は平然としていた。ステルス戦略爆撃機アスガルド隊の爆撃の成功を確信していたからである。だがその確信は打ち砕かれた。ステルス戦略爆撃機アスガルド隊から悲鳴にも似た連絡が入り、攻撃を受けている事が分かった。急いで偵察衛星の映像を確認したが、そこには突如として空中で爆発する瞬間が映し出されていた。

大日本帝国は光学迷彩で見えない筈のステルス戦略爆撃機アスガルド隊を捕捉し、次々と撃墜していたのである。驚愕すべき映像であった。確かに視覚的光学的に捕捉出来ないといってもマッハで物体が飛行するのだ。気流の流れまでは隠しきれない為に、それに不安を抱く者もいた。だが流石の大日本帝国といえどもそこまで探知出来ないだろうという判断であった。

しかし結果は見事に外れた。その為にステルス戦略爆撃機アスガルド隊は全滅してしまったのである。その情報は即座にシャーロット大統領に報告された。だが意外な事に攻撃の失敗は、シャーロット大統領にとっては想定内であったようで、即座に関係閣僚を集めると対策会議を開催したのである。


シャーロット大統領は極めて冷静に、国防大臣に対して通商破壊戦は何時から開始出来るか尋ねた。本土空襲作戦の失敗はもはや受け入れるしか無く、次の一手を即座に打たなければならない。そうしないとそもそもの目的である、人造人間の増産の為の時間稼ぎが出来ないからであった。それが分かっていた為に、国防大臣も気持ちを切り替えてシャーロット大統領に対して報告を始めたのである。

出撃した攻撃型原子力潜水艦アルプス級は20隻全艦が、マダガスカル州に到着していた。そこで生鮮食品の補充を行っており、数日以内に出撃可能になるとの事であった。旧アフリカ諸国はレジスタンス活動が巻き起こっており、治安が不安定な地域も存在したがマダガスカルは島なだけはあり未だに安定していた。そこにヨーロッパ合衆国は空軍と陸軍を派遣しており、全島を要塞化させる計画であった。海軍の展開も考えて港湾施設の拡張を行ったが、アラビア海海戦の大敗を受けて艦隊保全主義を採ることになった為に危うく無駄になるところであった。

だが通商破壊戦を行う事が決定した為にマダガスカルの軍港は、攻撃型原子力潜水艦アルプス級の展開地点になったのである。補給の為の魚雷や巡航ミサイル・機雷も運び込まれ、ヨーロッパ合衆国の一大拠点となっていた。国防大臣は全ての準備は整っており、生鮮食品の補充が終わり次第出撃可能になると語ったのである。

シャーロット大統領はそれを聞くと、どのような計画で通商破壊戦を行うのか尋ねた。

西太平洋・日本海に広がる大日本帝国海軍の誇る『潜水艦探知網』には最大限の警戒が必要だと、国防大臣は語った。超電導電磁推進の為に150ノットの超高速を発揮可能で、ポンプジェット推進である為にスクリューのキャビテーションノイズも発生しないが、物体はそこに存在しているのである。その為に『潜水艦探知網』はアクティブソナーとしてのものであった。

そこでインド洋から南シナ海周辺までを担当する攻撃型原子力潜水艦アルプス級は徹底的な通商破壊戦を行い、西太平洋から日本海周辺を担当するものに関しては超高速を活かしたヒットアンドアウェイ作戦を行う事になっていた。大日本帝国本土空襲よりこちらの方が、混乱の渦に陥れやすいと国防大臣は語った。

そこまで聞いたシャーロット大統領は国防大臣に対して、準備が終わり次第通商破壊戦を実行するように命令したのであった。

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