表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新世紀最終戦争  作者: 007
第6章 猛る炎
130/262

戦略爆撃機迎撃

叶総理は疑問に思っていた。本当に大陸間弾道ミサイルエクスカリバーの攻撃だけなのかと。そこで叶総理は国防大臣に対して、大至急北部方面の空域を警戒し全力で索敵するように命令したのである。

叶総理の命令を受けて歓声に沸いていた危機管理センターは、一気に冷静さを取り戻した。国防大臣は即座に命令を履行し、空軍に対して警戒体制を引き上げるように下した。だがその後は暫く成果は上がらなかった。しかしそこにアメリカ西岸連邦とロシア連邦から、ベーリング海峡を飛行する物体を一瞬検知した、という連絡が届いたのであった。

ステルス技術の進化は大きく、今やレーダーによる探知は難易度が上がっていた。その為に大日本帝国は空軍の偵察衛星や早期警戒衛星を大量に打ち上げていたが、それでも探知するのは難しかった。それ程までにステルス塗料や機体の形状は向上していたのである。もちろん大日本帝国空軍の47式ステルス戦略爆撃機飛鳥と47式ステルス掃射機飛鳥改も同じ事が言える為に、ヨーロッパ合衆国もその捕捉には困難を極めていた。

ロシア連邦とアメリカ西岸連邦からの報告により、ベーリング海方面への索敵が強化される事になった。ここに至り全員が大陸間弾道ミサイルエクスカリバーの攻撃は、ヨーロッパ合衆国空軍ステルス戦略爆撃機アスガルドによる空襲作戦の陽動だと判断した。先の新世紀日米戦争に於ける核攻撃という悪夢を繰り返さない為に、空軍は全力で迎撃を行う事になった。




『空軍の45式ステルス戦闘攻撃機閃光は大陸間弾道ミサイルエクスカリバーの迎撃という一仕事を終えたが、次はステルス戦略爆撃機アスガルド迎撃という大仕事が待っていた。ヨーロッパ合衆国は大陸間弾道ミサイルエクスカリバーの飽和攻撃を陽動として、ステルス戦略爆撃機アスガルドによる大日本帝国本土空襲を計画していたのである。

47年前の核攻撃を再び繰り返さない為にも、空軍は全力を挙げて迎撃作戦を展開した。2式改早期警戒管制機は全力で航空管制を行い、42式司令部偵察機・4式偵察機・2式電子情報収集作戦機も大挙離陸して索敵を行っていた。海軍連合艦隊機動打撃群がインドにいる為に、自分達が全力を出すしかない状況の為に空軍は気合いを入れていたのである。

だがそんな奮闘も虚しく、ステルス戦略爆撃機アスガルドは中々発見出来なかった。ロシア連邦とアメリカ西岸連邦の防空レーダーも一瞬しか検知出来ておらず、どの経路を飛行したのかも予想がつかなかった。空軍の早期警戒衛星も探知出来ておらず、首相官邸地下の危機管理センターは焦燥感に駆られていた。それは大きな危機感の現れだった。何せ向かって来ているのが分かりながらも、ステルス戦略爆撃機アスガルドが見つからないのだ。

国防大臣は叶総理に、ヨーロッパ合衆国が[完全ステルス]を実用化した可能性について語った。[完全ステルス]という聞き慣れない言葉に、叶総理は詳しい説明を求めた。

完全ステルスは国防省に於いても分かりやすい為の俗称として使用しているが、[究極的に完全に目視不可能、レーダー探知不可能の妨害装置]という規定があり、そこで[光学迷彩]を特殊部隊等で運用試験中だと、国防大臣は語った。

光学迷彩は叶総理も聞いた事があり、視覚的光学的に対象を透明化する技術の事である。それが実用化され試験中である事に驚いた。これをヨーロッパ合衆国は応用してステルス戦略爆撃機アスガルドに、機体形状自体のステルス性とステルス塗料のみならず、この光学迷彩に於いて視覚的光学的にステルス性を高めているのでは無いか、そう説明したのである。

もしそうだとしたら恐るべき事態であった。レーダーにも探知出来ず、視覚的にも見る事が出来ない機体が接近しているのである。そのような事は想像したく無いが、軍事的には最悪の事態を想定しないとならない。それは叶総理にも分かる事であった。

その為に叶総理はヨーロッパ合衆国が、見えない戦略爆撃機を投入したという前提で迎撃作戦を組み直すように命令したのであった。』

広瀬直美著

『新世紀最終戦争』より一部抜粋




叶総理が命令した通り、ヨーロッパ合衆国空軍はステルス戦略爆撃機アスガルドに対して光学迷彩を搭載する改修工事を行っていたのである。その効果は如実に現れていた。北極圏を飛行中に一部の機体で光学迷彩が故障するトラブルに見舞われ、ベーリング海峡を飛行中にロシア連邦とアメリカ西岸連邦の防空レーダーに探知されたが、何とか修理を行い光学迷彩を再起動させる事に成功していた。

技術者の説明では、光学迷彩が機能していれば視覚的光学的に探知不可能、そのような能力があるとの事だった。そしてそれは見事に証明されロシア連邦空軍のステルス戦闘攻撃機MiG-52と、アメリカ西岸連邦空軍のステルス戦闘攻撃機F-29がスクランブルして来たが探知される事無く振り切ったのであった。

これを受けてヨーロッパ合衆国空軍ステルス戦略爆撃機アスガルド隊の隊長は、大日本帝国本土空襲の成功を確信したのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ