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新世紀最終戦争  作者: 007
第6章 猛る炎
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対応策

国防大臣は対応策についての説明を始めた。



『戦後開示された記録によると、国防大臣はシャーロット大統領に対して2つの対応策を提示したのである。大日本帝国に対する本土空襲と通商破壊戦であった。2つの対応策であったが、目的はただ1つ。大日本帝国の兵站線破壊が目的であったのである。

第三次世界大戦に於いて大日本帝国は亜細亜条約機構の、後方兵站基地として機能していた。世界最大のGDPを誇る大日本帝国はその国土に広がる工業地帯に於いて、凄まじい速度と規模で大量生産を行っていた。生産される軍需物資・兵器はロシア戦線とイラン戦線に展開する大日本帝国軍、そして亜細亜条約機構軍の補給を支えていた。もちろん今や亜細亜条約機構各国も重工業国家が多数存在しており、軍需物資の生産を行っていた。だが大日本帝国の生産規模はやはり群を抜いていたのである。

そうでなければロシア戦線の780個師団1560万人、イラン戦線の380個師団760万人もの陸軍は維持出来なかったのである。何一つ生産に寄与しない消耗する事しかしない兵隊の群れを維持するのは大変な事である。何もしなくても3度の食事が必要であり、いざ戦闘となれば尋常では無い軍需物資を消費した。もちろん国家が国家たる基本は国防にあり、軍は何よりも維持されなければならない組織であるので、致し方無い出費ではあったのである。

話が逸れた。大日本帝国が後方兵站基地として機能しているのは、紛れも無い事実であった。大日本帝国で生産された軍需物資は、ロシア戦線には空軍の輸送機と海路で運ばれそこからシベリア鉄道を用いてそれぞれ輸送され、イラン戦線には空軍の輸送機と海路で輸送されていた。

ヨーロッパ合衆国にとっては亜細亜条約機構の後方兵站基地である大日本帝国への直接攻撃は、第三次世界大戦の戦況に大きな影響を与える事になったのである。だからこそ国防大臣はシャーロット大統領に対して、大日本帝国への直接攻撃を対応策として提案した。

そして大日本帝国への直接攻撃と同時に通商破壊戦も提案していた。大日本帝国は尖閣諸島沖の海底油田に加えて、海底熱水鉱床(金・銀・銅・亜鉛・鉛)とメタンハイドレートが日本海周辺に埋蔵されており、それらの採掘を行っていた。しかも太平洋の南鳥島周辺の海底にはレアアースとマンガンノジュールが埋蔵されており、それらも採掘を開始していた。そして大日本帝国の電力に関しては太陽発電衛星の大量打ち上げにより宇宙空間からの送電により賄っており、大日本帝国本土の電力は既に85パーセントが太陽発電衛星からの電力であった。その為に産出される石油等は発電所以外の用途に殆どが使用されていた。大日本帝国が実は資源大国であった事になり、更には亜細亜条約機構加盟国も凄まじい資源大国であった。中華連邦は埋蔵量がすでに判明している鉱物が153種あり、総埋蔵量は世界3位を誇っていた。石炭・鉄・銅・アルミニウム・アンチモン・モリブデン・マンガン・すず・鉛・亜鉛・水銀等々主要な鉱物の埋蔵量は全て世界有数であった。石炭埋蔵量は約9000億トン以上もあり、鉄鉱の埋蔵量も約500億トン以上で、石油・天然ガス・オイルシェール・レアメタル・リン・硫黄等の鉱物資源も大量に埋蔵されていた。ロシア連邦も石油・天然ガス・金・プラチナ・パラジウム・ニッケル・バナジウム・銅等の鉱床を有し、オーストラリア等を筆頭に亜細亜条約機構加盟国の国々が何かしらの資源を有していた。

これらの膨大な資源は各国共に自国での生産に利用すると共に、輸出を行い亜細亜条約機構各国は海路が活発であった。太平洋を始め日本海やインド洋等の、亜細亜条約機構の聖域となっている海はあらゆる種類の船が行き交っていた。その中で大日本帝国は軍需物資の大量生産を行い、あらゆる種類の船を用いて輸送を行っていたのである。それは船を用いた輸送の方が圧倒的に効率が良いからであった。単純にマンモスタンカーやコンテナ船は輸送を行うのに20名前後で済むからである。

その為に第三次世界大戦勃発後の海路は凄まじい規模での活躍があった。その活発な海路に国防大臣は目をつけ、通商破壊戦を提案したのであった。』

広瀬直美著

『新世紀最終戦争』より一部抜粋



対応策を提示されたシャーロット大統領はその案を承認する事を即座に決定した。大日本帝国本土への空襲はステルス戦略爆撃機アスガルドだけでは無く、燃料気化爆弾弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイルの使用も許可した。ステルス戦略爆撃機アスガルドと大陸間弾道ミサイルの併用は大日本帝国の高度な防空システムに配慮したものであり、それを撃ち破り攻撃を成功させるには飽和攻撃しか無かったからである。

通商破壊戦には残存する攻撃型原子力潜水艦20隻の全てを投入する事を命令した。シャーロット大統領としてはもはや海軍機動部隊は艦隊保全主義を採らないといけないと考えていた。アラビア海海戦の完敗はシャーロット大統領に海軍に見切りをつける事になっていたのである。そんな海軍に利用価値があるとなれば、使わない手は無かった。

そしてこの2つの妨害により時間を稼ぐ間に、人造人間生産を強化する必要があったのである。

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