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新世紀最終戦争  作者: 007
第6章 猛る炎
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徴兵制提起

叶総理の命令を受けて国防大臣は、国防省に戻ると法案について話し合う事にした。なんと言っても100年以上の時を経て、徴兵制を復活させるのである。時限立法という形にして徴兵する数は最小限にするのが重要になっていた。最低でも200個師団400万人、欲を言えばその倍を確保したいのが国防大臣以下国防省、陸軍参謀本部の考えだった。

陸軍参謀本部ではロシア戦線イラン戦線での戦況は長引くと結論付けていた。ロシア戦線は冬将軍の出陣により膠着状態に陥り、イラン戦線は防衛線での防衛戦を採用したからであった。しかもヨーロッパ合衆国軍は人造人間を投入しており、消耗しても増援は容易に派遣可能であった。

それに比べて大日本帝国以下亜細亜条約機構各国は、人的資源という観点から優位に立っている筈が追い込まれていたのである。お互いに大規模な会戦や空爆により被害は甚大であり、それを補うのは並大抵の事では無かった。今の所大日本帝国軍は4軍共に大規模な被害は受けていないが、今後の展開によっては甚大な被害を被る事も想定された。その為にまずは軍需庁を通じ軍需企業に対して、大規模な兵器の量産を求めたのである。軍需企業にとっても弾薬やミサイルの量産に次いで、航空機や車輌の大量生産要請であった。要請を受けた軍需企業は期待に応えるべく大量生産を開始したが、問題はなんと言っても兵員の確保だったのである。

武器弾薬ミサイル兵器の量産体制は整い長期戦への準備は整っていた。本来なら現役の常備軍が消耗すれば後退させ、予備役兵力を補充して再編するのが想定されていた計画であった。だがイラン戦線での亜細亜条約機構軍の甚大な被害は、大日本帝国に更なる派遣を行わせる事になった。しかし予備役兵力を全てイラン戦線に派遣したのは、叶総理の判断ミスとも考えられた。だが国防大臣や国防省・陸軍参謀本部も反対しなかった為に、同罪ではあった。

だがロシア戦線とイラン戦線の両方に派遣するのはヨーロッパ合衆国の侵攻の規模が大き過ぎる為でもあり、ある意味で亜細亜条約機構の盟主としては致し方無い事態でもあった。そうでもしないと人造人間を活用するヨーロッパ合衆国の侵攻に対抗出来ず、第三次世界大戦に負けてしまう。まさに第二次世界大戦に匹敵する総力戦に、第三次世界大戦もなっていたのである。


国防省での会議は選抜徴兵制の制度の詳細について話し合われていた。1945年(昭和20年)に徴兵制度が廃止される以前の兵役義務対象者の年齢は、大日本帝国の17歳から40歳までの男性臣民であった。1873年の徴兵令、1927年の兵役法では兵役義務者として20歳以後を徴兵検査対象及び日本軍徴兵対象者とした。それが1943年からの徴兵検査・徴兵の年齢が19歳に低くなり、最終的には上記の17歳からになったのである。

そして今回の選抜徴兵制では18歳〜26歳の男女全員を対象とする事にした。18歳〜26歳の大日本帝国の人口統計は約2800万人となり、大日本帝国の総人口である約2億人の内で約14%であった。その中で最低でも400万人、欲を言えば800万人が必要であり、そう考えると大日本帝国人口の4%の徴兵で済むのである。選択徴兵制である為に18歳〜26歳の男女全員を対象とし健康状態や家庭状況、年齢、職業などによって等級に分類するのである。そしてその順序に従って上位の等級から必要な人員を確保し1年間の軍事訓練後、4年間の予備役に服務する制度とする事にした。

軍事訓練の期間は習得状況に応じて前後する事にしたのである。軍の服務期間は暫定的であり戦争が早く終われば、当然ながら満了を待たずに終了する事になった。100年以上振りの徴兵制である為に、非常に配慮の細かい内容にする事は決定された。特に選抜徴兵制であり軍事訓練を受け服務した兵士は戦争終了後に退役するが、その期間に関わらず老後の軍人年金を与える事にした。更に再就職にも優位になるように企業に配慮する事も決めたのである。

その後も会議は夜遅くまで続いたが、何とか法案としての体裁は整った。その為に翌日国防大臣は早速、閣議に選抜徴兵制法案を提出した。叶総理はその法案に何の修正を加える事も無く、他の閣僚も反対する理由が無い為に閣議決定された。そして選抜徴兵制法案は帝国議会に提出される事になったのである。大日本帝国に於いて100年以上振りの徴兵制が世間に周知された瞬間であった。


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