転換点
前作新世紀日米戦争に引き続き、今日まで投稿し続ける事が出来ました。
今日が今年最後の投稿になります。まぁ明日も新年一発目の投稿しますが……
何はともあれ、今年1年ありがとうございました。
2048年11月19日。イラン戦線は大幅に後退していた。ヨーロッパ合衆国軍による突破戦により、戦線後退を決めた亜細亜条約機構軍であるが首都テヘラン近郊での防衛線構築も、侵攻の勢いは食い止められなかった。その為にイラン政府は首都テヘランを一時的に放棄する事を決断し、防衛線を更に後退させた。ダームガーン・タバス・ケルマーン・ミーナーブを防衛拠点とし南北に防衛線を構築。アフガニスタンとトルクメニスタンへの侵攻を阻止する構えを見せた。アフガニスタンとトルクメニスタンは更に、イラン国境線から内部に掛けて4重の防衛線を構築し万が一に備える事にした。
イランの悲壮な決意が伺えたが、そこに漸く大日本帝国以下亜細亜条約機構各国の陸軍が増援として派遣されてきたのである。最大の派遣数は予備役招集を行い200個師団を投入した大日本帝国となる。亜細亜条約機構としてイラン戦線の主力となっていた、大韓民国陸軍・ベトナム陸軍・タイ陸軍・アフガニスタン陸軍・パキスタン陸軍・オーストラリア陸軍・カザフスタン陸軍・ウズベキスタン陸軍・バングラデシュ陸軍・マレーシア陸軍・ミャンマー陸軍・トルクメニスタン陸軍・スリランカ陸軍・カンボジア陸軍・インドネシア陸軍・フィリピン陸軍も自国での予備役招集を行い、増援部隊派遣に漕ぎ着けていたのである。更には国家規模が小さく陸軍の兵力と予備役も少ない、パプアニューギニア・東ティモール・モンゴル・パラオ・キルギス・タジキスタン・ブルネイ・ラオス・シンガポール・パキスタン・ブータン・ネパール・モルディブ・ニュージーランド・パプアニューギニア・バヌアツ・ツバル・ソロモン諸島・フィジー・キリバス・トンガ・サモア・ニウエ・クック諸島・キリバスの国々も、増援部隊を派遣していた。
そして南北アメリカ大陸からも、カナダ・アメリカ合衆国・メキシコ・ベリーズ・エルサルバドル・グアテマラ・ホンジュラス・ニカラグア・キューバ・ドミニカ・アルゼンチン・ボリビア・ブラジル・チリ・コロンビア・エクアドル・パラグアイ・ペルー・ウルグアイ・ベネズエラが陸軍を派遣した。それ以外の南北アメリカ大陸の国々は軍を保有していなかったり、軍の規模が極端に小さく、派遣するに耐えれない為に派遣は実現しなかった。
だがそれでも増援・新規派遣した国々合わせると、合計で380個師団にまで規模は拡大した。この結果250個師団を派遣したヨーロッパ合衆国軍に対抗出来る事になったのである。イラン戦線での亜細亜条約機構軍の司令官には現地のイラン陸軍参謀総長に代わり、大日本帝国陸軍イラン派遣部隊司令官が就任する事になった。
イラン陸軍は首都テヘラン防衛戦に於いて残存兵力が壊滅状態となり、もはや継戦能力は無かった。国土も3分の2を失っており、再建も難しかった。その為に大日本帝国陸軍イラン派遣部隊司令官に、亜細亜条約機構軍の指揮を任せる事になった。司令官は持久戦を採用する事にしたのである。
ダームガーン・タバス・ケルマーン・ミーナーブを防衛拠点とし南北に防衛線を構築しており、その防衛線を守り抜く事にした。それは完全に防衛を主眼に置いており、亜細亜条約機構軍として進行する事は当面は禁止するものであった。その理由は予備役兵力の枯渇である。
これは第三次世界大戦開戦前には完全に想定されていなかった事態であった。開戦前大日本帝国以下亜細亜条約機構加盟国は、人口による人的資源の差から第三次世界大戦となっても大規模な会戦が起これば、予備役兵力の差からヨーロッパ合衆国に圧倒的に優位になると想定していた。
だがヨーロッパ合衆国は人的資源の劣勢を覆す、人造人間という秘密兵器を投入したのである。これに大日本帝国以下亜細亜条約機構加盟国は衝撃を受けた。かつて二足歩行ロボットは大日本帝国の得意分野である事から、人造人間が開発されていたのは事実であった。当時大日本帝国が想定していたのはAI搭載型であり、ヨーロッパ合衆国のような遠隔操縦型では無かった。だが2024年に発生したAI騒乱によりAI開発を世界的に放棄禁止した事によって、大日本帝国は人造人間開発から同じ二足歩行でも、遠隔操縦型二足歩行戦車である48式二足歩行戦車鋼龍の開発にかじを切った。それはやはり人的資源に於いてヨーロッパ合衆国に優位に立っている為に、人造人間より二足歩行戦車の方が歩兵部隊支援に最適であるとの判断であった。
しかし第三次世界大戦が勃発すると人的資源の差は、ヨーロッパ合衆国の人造人間により完全に優位性が無くなった。大日本帝国とヨーロッパ合衆国共に躊躇無く凄まじい攻撃を行っており、両陣営共に陸軍の被害は凄惨な規模になっていた。
その為に大日本帝国以下亜細亜条約機構は陸軍の予備役招集を行い、予備役兵力が枯渇してしまったのである。