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新世紀最終戦争  作者: 007
第6章 猛る炎
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膠着状態

アラビア海海戦の概要は瞬く間に、世界中を駆け巡った。大日本帝国海軍連合艦隊機動打撃群の圧勝は、世界を熱狂させた。海戦史上最大の戦果である。新世紀日米戦争での海戦を上回り、人類史上最大の飽和攻撃も行われたのである。大日本帝国国防省は海戦の模様を収めた映像を、動画投稿サイトの公式チャンネルに投稿。瞬く間に数億回に及ぶ再生数を記録した。連合艦隊も公式チャンネルにて別角度からの映像を投稿し、こちらも数億回に及ぶ再生数を記録した。

だが歴史的大勝利の裏で、亜細亜条約機構海軍は甚大な被害を受けていた。なんと言ってもタイ海軍・大韓民国海軍合同編成の機動打撃群が全滅したのである。まさに大打撃であった。その他の亜細亜条約機構海軍も沈没艦は出なかったが、多数が大破し中破した艦艇も続出した。無傷の艦艇は極僅かであった。

大打撃を受けた亜細亜条約機構海軍はイラン戦線支援を中断し、インドの海軍基地に撤退した。インドのみならず、タイ・ロシア連邦・中華連邦・アメリカ西岸連邦の海軍基地は大日本帝国の支援により、イージス原子力戦艦大和級も接岸出来るように改修工事が行われていたのである。

ドックも入渠出来るように改修工事が行なわれており、インド・タイ・ロシア連邦・中華連邦・アメリカ西岸連邦は、自国の海軍規模より巨大な軍港設備を保有するに至ったのである。維持費は大日本帝国が出しており、万が一の場合の修理補給拠点となる事が求められていた。その成果が今回のアラビア海海戦の撤収には活かされた。インドの海軍ドックに入渠した艦艇は修理作業に入った。


大日本帝国海軍連合艦隊機動打撃群は亜細亜条約機構海軍を攻撃した、ヨーロッパ合衆国海軍機動部隊の攻撃型原子力潜水艦の掃討を開始した。イージス原子力空母赤城級から発艦した5式艦上対潜哨戒機と、攻撃型原子力潜水艦海神級の連携により5隻は追い詰める事が出来た。

そして雷撃と43式対潜ミサイルにより、撃沈する事に成功していた。だが5隻は逃しており、撃沈する事は叶わなかった。しかし地中海方面に退避するのを確認した為に、撃退には成功したと判断を下していた。その後大日本帝国海軍連合艦隊機動打撃群は、インドの海軍基地に寄港し補給作業を行う事になった。

ヨーロッパ合衆国海軍機動部隊を全滅させ被害無しの完全勝利であったが、VLSはほぼ全て撃ち切る状態になっていたのである。超電磁砲も大量に撃ち込んだ為に、兵装を全て補給しないといけなくなっていた。この結果大日本帝国海軍連合艦隊機動打撃群は補給整備の為に2週間、亜細亜条約機構海軍は修理の為に半年間は、それぞれ行動不能になったのである。



アラビア海海戦が終結した事を受けて、大日本帝国帝都東京首相官邸地下の危機管理センターでは叶総理により対策会議が開かれていた。なんとも言い難い状態であった。ヨーロッパ合衆国海軍の10個機動部隊を全滅させて、大日本帝国海軍連合艦隊機動打撃群は無傷。完全勝利の筈であった。

だが亜細亜条約機構海軍はタイ海軍・大韓民国海軍合同編成の機動打撃群が全滅し、大多数がドック入りする程の被害を受けていたのである。その為に危機管理センターは歓声に湧いている状態でも無く、かと言ってお通夜のように悲しみに包まれる状態でも無い、微妙な空気感に包まれていた。

その状況で叶総理は国防大臣に対して、太平洋の推移について尋ねた。空気を変える為の質問だと判断した国防大臣は即座に答えた。

第三次世界大戦開戦以来、脅威では無いとして放置されていたヨーロッパ合衆国の太平洋領土があった。ヨーロッパ合衆国イギリス州のピトケアン諸島、フランス州のニューカレドニア・フランス領ポリネシア・ウォリスフツナ・クリッパートン島である。それらの領土はニューカレドニアがある程度の大きさはあったが、それ以外の島は小さくヨーロッパ合衆国としても軍を一切駐留させていなかった。

大日本帝国と亜細亜条約機構に対する楔としては非常に活用的であったが、如何せんヨーロッパ合衆国からは遠過ぎた。それに周りが亜細亜条約機構により完全に包囲されており、兵站線の維持は困難を極めた。その為にヨーロッパ合衆国は軍を一切駐留させる事をしなかった為に、太平洋はヨーロッパ合衆国領土がありながら大日本帝国と亜細亜条約機構の聖域になっていたのである。

だが開戦となればヨーロッパ合衆国が何かしらの行動を起こす可能性があった。その為に大日本帝国が支援を行い、ヨーロッパ合衆国フランス州クリッパートン島にはアメリカ西岸連邦軍が、それ以外のヨーロッパ合衆国太平洋領土にはオーストラリア軍が空挺降下作戦を行い、全島を占領したのである。

地理的に近い国々に大日本帝国は任せる事にし、これにより太平洋は名実共に完全に大日本帝国と亜細亜条約機構の聖域となったのである。

完全制圧を報告した国防大臣に、叶総理は満足そうに頷いた。だが空気感はまだ変わっていなかった。もう気にする余地は無いとして、叶総理は対策会議を進める事にした。


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