迎撃戦2
大日本帝国海軍連合艦隊機動打撃群が発射した40式対空ミサイルは、ヨーロッパ合衆国海軍機動部隊艦載機の発射した対艦ミサイル目掛けて飛翔を続けた。大日本帝国とヨーロッパ合衆国のみならず、世界中の軍で配備されているミサイルはもはや全て極超音速ミサイルが主流になっていた。
その為に双方凄まじい速度で飛翔を続け、そして空中で爆発を起こした。40式対空ミサイルはヨーロッパ合衆国海軍の対艦ミサイルに見事に命中したのである。かつての新世紀日米戦争の戦訓を得て改良されたイージスシステムは十分にその性能を発揮した。飛来する対艦ミサイルの99%を迎撃したのである。
残る対艦ミサイルは100発以下となりその残存する対艦ミサイルに、大日本帝国海軍連合艦隊機動打撃群はイージス原子力戦艦大和級の55センチ超電磁砲が猛烈な砲撃を加えた。最大連射で発射される55センチ超電磁砲は的確に対艦ミサイルを叩き落としていた。
僅か数分でヨーロッパ合衆国海軍機動部隊の艦載機による対艦ミサイル攻撃は、一方的に完全に阻止されたのであった。
『イージス原子力戦艦大和のCICでは歓声が上がっていた。6400発という人類史上最大の飽和攻撃を完璧に阻止したのである。司令官も笑みを浮かべながら、艦長と握手を交わしていた。
だがそこへ更なる報告がもたらされた。「ヨーロッパ合衆国海軍機動部隊で、巡航ミサイルと超電磁砲の発射を確認しました!!」担当士官の叫びに司令官は冷静に、艦長に命令した。「抜かりなく迎撃するように。」その命令を受けて艦長が迎撃命令を出すと、再びCICは慌ただしくなったのである。』
広瀬直美著
『新世紀最終戦争』より一部抜粋
大日本帝国海軍連合艦隊機動打撃群はヨーロッパ合衆国海軍機動部隊の新たなる攻撃に屈する事は無かった。空母艦載機による対艦ミサイル攻撃だけで終わらないのは想定されていた。そして再びイージスシステムは威力を発揮するのであった。新たに目標となる巡航ミサイルと超電磁砲の砲弾に対して、VLSから次々と40式対空ミサイルを発射した。
凄まじい速度で飛翔した40式対空ミサイルは次々と巡航ミサイルと超電磁砲の砲弾を叩き落としたのである。そしてその間にイージス原子力戦艦大和級の55センチ超電磁砲が再び発射されたのである。1隻につき3連装6基18門という搭載数を誇り、それが15隻も存在する事から驚異的な威力を発揮した。
その砲撃により更に巡航ミサイルと超電磁砲の砲弾は迎撃されたのである。そしてイージス原子力戦艦大和級の30センチ超電磁砲と、イージス原子力巡洋艦妙高級の28センチ超電磁砲、イージス原子力駆逐艦秋月級・イージス原子力フリゲート占守級の20センチ超電磁砲も砲撃を開始した。それをくぐり抜けた巡航ミサイルと超電磁砲の砲弾は速射性能の高い150ミリ超電磁砲が機関砲並の射撃を開始した。
それをもくぐり抜ける巡航ミサイルと超電磁砲の砲弾には、100ミリレーザー砲が発射されたのである。SF映画に登場する兵器のように、目に見える太さのレーザーを発射すると巡航ミサイルと超電磁砲の砲弾は次々と爆発していった。そしてそれでもくぐり抜ける巡航ミサイルと超電磁砲の砲弾には3式短距離対空ミサイルと1式近距離対空ミサイルが迎撃を開始。これを越えられるとレーザーガトリングガンの出番となるが、この段階でも40式対空ミサイルの発射と迎撃は続いていた。この即応性の高さこそが、イージスシステムの神髄発揮だった。
あらゆる兵器がヨーロッパ合衆国海軍機動部隊の発射した巡航ミサイルと超電磁砲の砲弾を迎撃していたのである。それはどの距離に於いても的確な迎撃となり、死角は無い程であった。圧倒的な迎撃にヨーロッパ合衆国海軍の攻撃はその全てが阻止された。そしてそれが5分も続くと、ヨーロッパ合衆国海軍機動部隊は沈黙したのである。
『永遠に続くと思われたヨーロッパ合衆国海軍機動部隊の攻撃は、唐突に終わりを告げた。VLSから勢いよく発射し続けた巡航ミサイルは途切れていた。超電磁砲も砲口をこちらに向けているが、その砲撃は行われていなかった。
「敵の推定残弾数は?」司令官は担当士官に尋ねた。尋ねられた士官はモニターを見ながら口を開いた。「推定残弾数は10%を切っていると思われます。」その答えを聞いた司令官は私に説明してくれた。
「レーダーに連動した量子コンピューターにより、敵の弾道から発射されたミサイルや砲弾は確認され計測されています。そしてヨーロッパ合衆国海軍機動部隊の艦艇サイズからVLSや超電磁砲の搭載弾数を想定し、先程の推定残弾数を導きます。
かなり多く残弾数を想定していましたが、もしかしたら残弾数無しかもしれませんね。」
そう説明し終わると、司令官は命令を下した。「これよりヨーロッパ合衆国海軍機動部隊に対して、総攻撃を開始する。どちらが真に最強の海軍か、敵に教えてやりなさい。」
大日本帝国海軍連合艦隊機動打撃群の反撃が始まろうとしていた。』
広瀬直美著
『新世紀最終戦争』より一部抜粋