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新世紀最終戦争  作者: 007
第5章 開戦
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レジスタンス支援

イラン戦線への空爆が行われている頃、ヨーロッパ合衆国オマーン州のアラビア海沿岸にゴムボートが乗り上げた。そのゴムボートにはI3(帝国情報捜査庁)の特殊工作員と、大日本帝国陸軍特殊部隊の第1レンジャー連隊・陸軍特殊戦部隊、大日本帝国海軍特殊部隊の特務陸戦隊から選抜された人員が乗り込んでいたのである。

大日本帝国による中東アフリカ地域のレジスタンス組織に対する支援が目的であった。現状では隠密理に行動するのが最優先である為に、大日本帝国海軍連合艦隊の領海警備担当の攻撃型原子力潜水艦海神級1隻に乗り込んで、アラビア海まで進出していた。

大日本帝国海軍の保有する潜水艦は攻撃型・戦略型共にレーザー核融合炉を搭載し、超電導電磁推進で航行可能な原子力潜水艦である。レーザー核融合炉による大馬力を利用した電磁推進が可能で、スクリューが存在しないウォータージェットのように海水を船尾から吐き出す為に、キャビテーションノイズが発生せず無音で高速航行が可能になっている。しかもその最高速力は150ノットとなっており、凄まじい速さを誇るのである。

空軍の輸送機を利用してHALO降下も計画されたが、隠密性では潜水艦からゴムボートに乗り込んでの上陸の方が高い為に、その方法が取られた。だが後々に行う作戦では空軍輸送機によるHALO降下や、軍事支援の一貫としての空中投下も計画されていた。

先発として送り込まれた特殊工作員と特殊部隊は、何を差し置いてもレジスタンス組織との合流と常駐が任務であった。そして具体的な作戦指導を行い、不足するものは全て空軍輸送機を用いて補給する事になった。

今回の不正規戦指導は大日本帝国が行うものでは、過去最大規模のものになる。その為に国防省やI3は大いに張り切っており、意欲は高かった。






『大日本帝国によるイラン戦線への支援攻撃はヨーロッパ合衆国陸軍の人造人間師団を壊滅状態に陥れた。イラン侵攻の主戦力となっていた人造人間師団280個は、47式ステルス戦略爆撃機飛鳥の燃料気化爆弾攻撃とにより270個師団を失う打撃を与えたのである。

機甲師団や機械化歩兵師団も10個失っており、総数で100個師団までに激減していた。

だが亜細亜条約機構軍も被った被害は甚大であった。180個あった師団数は、35個師団にまで擦り潰されていたのである。クック諸島陸軍やツバル陸軍・ブータン陸軍等の小国の陸軍は全滅する被害を受けていた。更には侵攻を受けた当事国のイランも精鋭部隊であるイスラム革命防衛隊も全滅し、被害は大きかった。残る35個師団はベトナム陸軍の5個師団、タイ陸軍の8個師団、ミャンマー陸軍の2個師団、ウズベキスタン陸軍の5個師団、バングラデシュ陸軍の3個師団、パキスタン陸軍の2個師団、イラン陸軍の7個師団、オーストラリア陸軍の3個師団、以上であった。

ヨーロッパ合衆国陸軍、亜細亜条約機構軍双方共に被害が甚大である為に、後退しての体制立て直しが行われていた。ヨーロッパ合衆国陸軍は国内で量産が続く人造人間により増援は即座に編成し、イラン戦線への追加派遣が行われていた。

亜細亜条約機構もイラン戦線への増援の為に各国が予備役招集を本格化させており、着々と予備役兵による師団編成が進んでいた。特に大日本帝国は予備役師団のイラン戦線への投入を決定し、それに続くように各国も編成を急いでいた。

そして大日本帝国海軍連合艦隊機動打撃群が遂に出撃し、イラン戦線支援の為にアラビア海を目指したのである。大日本帝国海軍連合艦隊は更に、ロシア連邦海軍太平洋艦隊・中華連邦海軍・アメリカ西岸連邦海軍・インド海軍・タイ海軍・大韓民国海軍を引き連れての出撃となった。

大日本帝国海軍連合艦隊という文字通り世界最強の外洋海軍を筆頭に、亜細亜条約機構の外洋海軍が一斉にアラビア海を目指す事になった。辞書の定義によれば、外洋海軍の能力とは自国の母港から遠く離れた公海上で運用可能な遠洋航海する艦隊を指し、世界中で活動するものもある。それだけに外洋海軍の整備維持は難しく、国家規模によれば不可能な国々もあった。

しかも公的な言説では、外洋海軍の能力は戦艦や巡洋艦、航空母艦、原子力潜水艦といった象徴的かつ重要な艦艇の運用と同一視される事もあり、ますます外洋海軍の保有は難しいものとなっていた。

だが外洋海軍という用語は個々の艦艇の能力と混同してはならない。例えば、地域海軍の艦艇は短時間であれば外洋で運用できるのである。多くの国は豊富な海軍資産を有しているが、問題なのは必要とされる持続可能な兵站維持能力に欠けている点であった。

その為に陸軍や空軍と違い、海軍の派遣は全ての国々が等しく行うという事にはならなかった。いくら大日本帝国海軍が世界最大の兵站支援艦艇を保有しているとはいえ、何事も限度があった。

ロシア連邦海軍太平洋艦隊・中華連邦海軍・アメリカ西岸連邦海軍・インド海軍は外洋海軍らしく、イージス原子力戦艦やイージス原子力空母を数隻ずつ保有し、兵站支援艦艇を多数を保有していたが、タイ海軍はイージス原子力戦艦を、大韓民国海軍はイージス原子力空母を象徴としてそれぞれ1隻ずつ保有しているに過ぎなかった。その為にタイ海軍と大韓民国海軍は合同編成され、大日本帝国海軍連合艦隊に付き従う事になった。

かつてのフランス海軍のような存在でもあった。だが外洋海軍たる条件はある意味で有しており、イージス原子力巡洋艦と兵站支援艦艇も数隻ずつは保有していた。

派遣する国々は少ないが、この海軍のアラビア海進出が、第三次世界大戦の新たな転換点になったのである。』

広瀬直美著

『新世紀最終戦争』より一部抜粋

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