支援攻撃
2048年10月26日。叶総理の命令を受けて大日本帝国軍は行動を開始した。海軍連合艦隊は15個機動打撃群にアラビア海への出撃を命令した。更にはアメリカ西岸連邦海軍、中華連邦海軍も大日本帝国に集結しており、連合艦隊の指揮下に入りアラビア海を目指す事になった。
そして空軍は保有する全ての47式ステルス戦略爆撃機飛鳥と47式ステルス掃射機飛鳥改による支援爆撃を命令した。その命令を受けて大日本帝国全土に配備されていた47式ステルス戦略爆撃機飛鳥と47式ステルス掃射機飛鳥改は一斉に離陸し、一路イランを目指して飛行を開始した。
『大日本帝国空軍は保有機数2万機を誇る大規模な空軍であった。輸送機が3000機、早期警戒管制機や空中給油機等の支援機が2000機で、47式ステルス戦略爆撃機飛鳥が3000機(作戦により飛鳥改として掃射機として運用可能)、45式ステルス戦闘攻撃機閃光を1万2000機、それぞれ保有していた。
既にロシア戦線への45式ステルス戦闘攻撃機閃光の派遣が行われ、3000機が展開していた。そして大日本帝国空軍は今回のイラン戦線爆撃に、保有する47式ステルス戦略爆撃機飛鳥を全て投入する事を決定した。正確には47式ステルス戦略爆撃機飛鳥としては1500機、47式ステルス掃射機飛鳥改としては1500機との半分ずつに分けた。機体が共通化されている利点が最大限活かされた結果となっていたのである。
大日本帝国を出撃しイラン戦線に接近した47式ステルス戦略爆撃機飛鳥と47式ステルス掃射機飛鳥改は、ヨーロッパ合衆国空軍の早期警戒管制機に探知された。ステルス機に対しては大日本帝国とヨーロッパ合衆国共に、探知技術は驚異的に高まっていた。お互いに世界規模での偵察衛星網を作り上げ、その偵察衛星には熱探知・気流探知といった機能も組み込まれていた。
ジェットエンジンからの排気熱と、超音速巡航能力で機体が常にマッハで飛行し続ける事による気流の変化は、どちらも軽減しようとしても発生するものであった。
その為にそれらを探知するセンサーが偵察衛星には組み込まれていたのである。そしてレーダー自体も探知能力は向上しており、ステルス機への対抗策は備わっていた。
ヨーロッパ合衆国空軍は早期警戒管制機の指示により、スクランブルを行おうとしたがそこへ大日本帝国陸軍が再び発射した、46式島嶼防衛弾道ミサイルが降り注いだのである。弾道ミサイルは早期警戒管制機も探知したが、その速度はあまりにも早過ぎた。地上基地もリアルタイムでデータリンクされていたが、為す術は無かった。
世界最高の命中率を誇る46式島嶼防衛弾道ミサイルは、文字通りピンポイントでヨーロッパ合衆国空軍基地に降り注いだ。管制塔や滑走路・格納庫は次々と破壊され、その機能を完全に奪い去った。それにそもそもがクウェートやイラクの空軍基地であった為に、仮想敵国として基地の情報収集は行われていたのであった。
空軍基地は機能停止に陥ったが、それでも尚数十機はスクランブルに成功していた。そしてステルス戦闘攻撃機ニヴルヘイムは、早期警戒管制機からの連絡を受けて敵は47式ステルス戦略爆撃機飛鳥だけだと知らされた。
それを聞いたパイロット達は勝利を確信した。護衛機なしで戦略爆撃機だけなのである。ヨーロッパ合衆国も47式ステルス戦略爆撃機飛鳥は、47式ステルス掃射機飛鳥改として運用可能な事は分かっていた。
だが大日本帝国空軍が47式ステルス掃射機飛鳥改を実戦投入した事が無い為に、その能力を把握していなかった。それに見た目は両方共に同じであり、どれが戦略爆撃機で掃射機なのかも判断出来なかった。
上昇を続けるステルス戦闘攻撃機ニヴルヘイムは空対空ミサイルの射程に到達すると、各機がロックオンを行いミサイルを発射した。するとロックオンした機体のウェポンベイが開くと、猛烈な勢いで20ミリレーザーガトリングガンが発射されたのであった。
あまりの弾幕にステルス戦闘攻撃機ニヴルヘイムが発射した空対空ミサイルは、全弾呆気なく叩き落されたのである。呆然とするステルス戦闘攻撃機ニヴルヘイムのパイロット達であったが、47式ステルス掃射機飛鳥改は散開するとウェポンベイを開いた。
47式ステルス掃射機飛鳥改は1機辺り88門のレーザーガトリングガンを搭載しており、それが1500機132000門のレーザーガトリングガンがステルス戦闘攻撃機ニヴルヘイムに向けて発射された。
それはまさに虐殺であった。一斉に発射されたレーザーガトリングガンにステルス戦闘攻撃機ニヴルヘイムのパイロット達は、何の回避行動も出来ず何が起きたかも理解出来ないままに撃墜された。あまりの弾幕に爆発した機体は破片さえも粉々にされる始末であった。
脅威を排除した事により47式ステルス戦略爆撃機飛鳥はイラン戦線のヨーロッパ合衆国陸軍に爆撃を開始した。ロシア戦線でヨーロッパ合衆国空軍は燃料気化爆弾攻撃を行ったが、イラン戦線では大日本帝国空軍による燃料気化爆弾攻撃を受ける事になったのである。』
広瀬直美著
『新世紀最終戦争』より一部抜粋