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作者: 蟲姫夢希

やや分かりずらい部分があるかもしれません。先にお詫び申します。すまんかった

 水とは実に不思議なものだ。一度、全身を沈めてから丁度息が出来るように顔だけをポコッと出しておく。すると、なんとも言えない浮遊感とどこまでも吸い込まれるような落下感が同時に襲い掛かってくる。それは小さな存在をすっぽりと包み込んでひんやりとした感触の中でどこか安心できる温かみを含んだ心地よさが確かにある。この感覚を覚えたのはいつの事だっただろうか。青の視界に白いカーテンが揺らめきウトウトしながら過去に思いを馳せていた。

 私は元より水というものは嫌いだった。全く泳げないし、何より水の触れた時のあの間隔が気持ち悪く感じられた。水泳の授業なぞあった日にはよくプールの際の方で膝を抱えて必死に抵抗していたものだった。しかし、何を思ったのかある日気まぐれに水に飛び込んでみようという気持ちがどこからともなく湧いてきた。夏の痛いほどの熱さを背中に感じながらプールをのぞき込んだ。ライトをちりばめたような水面に顔をのぞき込ませると自らの不安がそこにありありと映し出されていた。そこには、恐怖が広がっているのか?あるいは未知の安心があるのか?子供に特有な好奇心に支配されていくつもあった選択肢は排除され、後にはもう引くことは出来なかった。それほどまでに水というものにその時、魅入られてしまった。

 ポチャンと静かに水に浸かる。足から肩までゆっくりと水に覆われる感覚が不思議にも心地よく感じた。まだイケるな。根拠も特にないが確信を持って、息をめいいっぱいに取り込んで頭まで潜る。一度潜ってしまうともう怖いものなどは吹き飛んでしまった。恐怖をかき消すほどの安心感が何故かここにあると本能的に感じていた。水の中で色んな態勢をとっているうちに異変に気付く。幼いながらにも細胞に刻み込まれている生存本能が警鐘を鳴らす。このままでは死ぬぞ。という声が何度も頭に響くが一体どうすればいいのだ、分からない。鼻と口から小さな泡がポコリポコリとあふれだした。そのうちに大きな泡が出てくるようになり、おもしろく思ったところに、今までとは違うボコりというとても大きな泡を出してしまった。そこからガボガボと水が逆流してきて意識がぼんやりとしてきた。キラキラした水面が薄れる景色の中で宝石のように流れていた。

 ポワンとした波紋が広がる。考え事をする集中力が途切れた。眼を開くと先ほどまでと違って、光は差し込むことなく暗い青になっている。雨か、ぽちょぽちょという衝撃が水面の近くで肌に直に感じられていつもと違う水の雰囲気で楽しい。雨を感じる為に水面に近づいた。


 バチャン!! 激しい水しぶきが上がる。

 「おかぁさぁーん はやくはやくー」

 「コラッ、また靴を泥んこ塗れにして、早く帰ってお風呂にしましょうね。」


 去りゆく親子が通り過ぎた水たまりの中には踏まれて少しひしゃげたような半目開きの男のようなシミがしっかりとこびりついていた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。初投稿です。これから研鑽を積んでまいります。

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