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魔女と家なき子 その2

「やっと帰れた──」

 恵はぐったりした様子で、事務所の上の階の家に入った。

「下で何か食べよ」

 恵が事務所を構えているビルは、恵が所有する持ちビルで4階建ての構造になっており、1階はどっかの怪しげな不動産屋、2階は飲食店になっている。

「らっしゃいって、愛坂さん」

「醤油ラーメン一つ」

 店に入った恵は、丸坊主の店主に醤油ラーメンを注文しカウンター席に座る。

「どうしたんでぇ? 浮かない顔してよ」

 威勢のいい店主に聞かれ、恵はただ

「なんでも──」

とだけ返した。

「へい、ラーメンお待ち」

 店主がラーメンを出し、恵は割り箸を割って食べ始めた。

 麺を啜っていると、店に置いてあるテレビから流れた番組が耳に入った。

「西田総理は就任後10年は、『消費税増税で財政赤字を埋めるつもりは無い』と発言したのにも関わらず、サラリーマンの控除の引き下げや走行距離税の導入を検討。一方、年々進む少子化や増加傾向にある子供の貧困、児童虐待に関しては──」

「児童虐待──」

 恵は、その言葉がやけに耳に残った。

「西田かぁ〜 いい加減辞任くれねぇかな〜」

 店主が愚痴を言った。

「そもそも民自党がオワコンなんだよ」

 他の客がそう言う。

「ご馳走様──」

 恵は、静かに小銭を置き店を後にした。

「仕事、片付けないと──」

 事務所のデスクに、重く腰掛けパソコンを起動する。無音だとなんか嫌だったので、動画サイトの音声をバックグラウンドで垂れ流しにした。

 その時もだった。テレビ局公式のニュース動画が流れてきた。

「子供の貧困やいじめ、自ら命を絶った子供は今年は過去最高となり──」

 恵は、ラーメンを食べていた時もそうだったが昼間の少女の事が頭を浮かんでしまう。

 最初は、何処か強がっていたようにも見えたが、あの表情を見ると何かのメッセージを伝えているようにも見える。

「まさか──」

 恵は、昼間の少女を探しに仕事を切り上げ、箒に跨り飛んでいった。

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