魔女と家なき子 その1
東京地方裁判所。今、この裁判所では痴漢事件の審議が行われていた。
被告人は無罪を主張しているが、日本の警察や裁判制度の性質上刑事告訴された場合、有罪判決が言い渡される確率は99.8パーセントと言われている。
つまり、残りの0.2パーセントで勝負しなければならないのである。
そして、判決は──
「主文、被告人加藤憲弘を無罪とする──」
「おっしゃァァァァァァァァ!」
被告人は、その場で立ち上がって喜んだ。
「これも全て愛坂先生のおかげです。ありがとうございました」
そう言い加藤は、恵に深々とお辞儀をする。
「いや、私も冤罪だと立証できて良かったです」
「いや〜、なんと勝てた──」
恵は、やりきった顔で箒に跨って飛んでいた。ふと下を見ると、公園の上空を飛んでいた。
「ん?」
恵は、地面に敷いた段ボールの上に座る白い髪をした子供を見つけた。
「何かしら?」
気になったので降下し、箒を降りて少女に近づく。
すると、そこに居たのは腰の中程まである白い髪をした小学校低学年ぐらいの小さな少女がいた。着ている服は汚れだらけで、体型も少し痩せていた。
「あなた大丈夫?」
恵が声をかけ、手を差し伸べようとすると少女はその手を強く払った。
「ほっといてよ!」
少女は嫌がるように言った。どこか警戒しているようにも見える。
恵は、今度は優しく頭を撫でようとした。
「そう怒らなくても──」
「うるさい! この偽善者!」
少女は、恵にそう言い放った。これには、恵も怒りが爆発した。
「あなたね! 言っていいことと悪い事があるでしょうが!」
「世の中に本当に心から良い行いがしたいって言う人なんて居ないよ!」
少女がそう言い放った。恵も負けずと言い返そうとする。
しかし──
「すいません、ちょっと良いですか?」
「はい? あ」
恵が振り返ると、そこには二人の警察官が居た。
「あなた、子供を怒鳴りつけていたそうですが──」
「いや、私は──」
恵が振り向くと、少女は悲しげな表情で走り去った。
「嘘──」
「詳しくお話を──」
「ですから私は!」