008. Fly Sky(1)
「とりあえず、逃げよう!私、あいつらに追われてるの!」
姿はまだ見えない。でも見たことない攻撃。轟く爆発の音。一体何が起きてるんだ?
「あっ、やばい。俺、脚が動かせない」
「あっ、そうだ。ヒース骨折してたね」
ドンと遠くからなった後、空に甲高いピューという音が聞こえた。ヒースにはその音がなんなのか分からないが、だんだん近くなっていることだけは分かった。
そして、何がが近くの木に落下して、爆発した。炎が上がり、爆風で目が開けられない。
「うわっ!!」
ヒースが両目を瞑った。瞬時にティーシャはヒースを抱えて走り出した。ヒースは体が浮いた感覚がして、目を開けると、ティーシャがものすごい速さで森を駆け抜けていた。
周りの景色がまるで線のようで、木々から溢れてくる日光がキラキラとティーシャを輝かせていた。
ティーシャはヒースを一旦地面に置いて、背負い、ヒースとティーシャを布で縛り上げた。
「よし!これで森を駆け抜ける!舌噛まないように、気をつけろー!」
ティーシャはニヤリと笑う。対してヒースは不安で仕方がなかった。無事に生きてこの場を乗り切れるのか??
そしてまた全速力で駆け出した。なんという速さだ。どんな運動神経しているのだろう??
後ろを振り返ると、鉄の塊に身を包んだ者たちが剣や弓、槍を持って進行してきた。鎧は銀色に光輝き、およそ20人くらい居る。
「な、なんだあれ??」
「あー!くそ!巻けたと思ったんだけどな!足跡もしっかり消したはずなのに、どうやって私を追いかけてきたんだ!くそ!」
ティーシャは降ってくる砲弾を見ずにそのまま走り切って逃げていく。
ドンドンと爆発音が鳴り響き、炎があちこちで上がっていて爆風が吹き荒れる。衝撃波が体の骨の髄にまで響き渡っている。
「あいつら容赦無いな!!こっちは子供背負ってるんだけど??」
ヒースは後ろの光景にとても驚いていた。これが当たればおそらく死ぬだろうと悟った。ヒースは驚きのあまり、気を失った。
「ヒース??ちょいちょい!!ヒース!しっかりして!気絶してると舌噛み切っちゃうよ!」
走りながらティーシャはヒースのお尻を思いっきり叩いた。
「んぉあ!!!いてぇー!」
ヒースは目覚めた。お尻がヒリヒリとしている。
「目覚めてよかったー!やばいやばい!!早く逃げないとー!」
ティーシャは速度を上げていく。鎧を纏う集団は早くは追ってこない。しかしながら、砲撃が鳴り止まないので、急いで走っている。
ティーシャは倒れてくる木を避けて、飛んできた枝をはらう。ヒースは目を見開いて猛スピードで飛んでくる石や枝を避けている。この時に、目が良くて本当に良かったと、ヒースはつくづく思う。
その瞬間、すぐそばの木に着弾し、爆発した。その衝撃で枝や石が飛んできた。ティーシャは守りの態勢になってなんとか凌いだが、ヒースは顔にそれらが直撃した。
「痛い!!」
目の上を切って出血している。
爆風で二人の体は浮いた。
「大丈夫?ヒース!」
すると、飛んできた石でティーシャとヒースを縛り上げていた紐が切れた。
それに気づいた時、地面が突然無くなった。