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041. 最強夫妻【レナーver.】

同ホール内、レナーとラハートが戦っている所にライアンとマイヤースの激闘による衝撃波が微かに届いてきた。お互いこの衝撃波はライアンとマイヤースによるものだと薄々悟った。


「さぁ、私たちも決着の時ね〜」


ラハートは余裕そうなレナーを睨みながら息を上げていた。


もうラハートはボロボロだった。開眼して本領を発揮したレナーの前でラハートの攻撃は無に等しかった。


はだけた服。煤で汚れた顔や体。衝撃による打撲。疲れでラハートからはほとんど光灰は出ていなかった。


対照的に、真っ直ぐ紫色の瞳を向け、気高く佇むレナー。弓を持ち、綺麗な服に身を包んでいた。勝敗はもう目に見えていた。


その姿を見たラハートは歯を食いしばった。泣きそうになる目を擦り、剣を握りしめてまだレナーに向かってくる。


「うりゃー!」


しかし、その攻撃はもう攻撃とは言えなかった。ただ剣を振りかぶって向かってきているだけだった。ガラ空きの腹に向かってレナーは弓を振った。


鋼鉄の弓がラハートの腹に直撃する。ラハートは腹を押さえてまた倒れ込んだ。


悔しさのあまり、ラハートの目からは涙がこぼれ落ちた。


「……反逆者なんているから、この世の中は不幸になるのよ。神に祈り、神の言う通りに生きていればいいだけなのに。みんなで楽に生きられるのに。なんでこんなことするの……?」


ラハートは俯いて言った。


「私たちは、神を必要とせず、人間が人間のために生きられる社会にしたいと思ってる。過ごしやすい、誰も食に困らない、そんな世界」


真面目な口調でレナーは語りかける。


「……神の言うことを聞いていれば、楽に生きられるのに……」


レナーはその言葉を聞いて、疑問に思う。


「楽に生きられることが、幸せなの?」


レナーは上を見上げて言った。


「私はそうは思わない。私の幸せって思う瞬間は、みんなが笑っていて、楽しそうで、温かいご飯を食べている。それとか、下の子達の成長を感じたり、愛している人と同じ時間を過ごしたり、そういう心があったかくなる瞬間ね。それを味わっていける世の中にしたいの。私はもう十分なのだけれど〜」


ラハートはレナーの言葉を聞いてさらに歯を食いしばった。


「そう言う綺麗事が大っ嫌いなの!!!」


ラハートはまた剣を振って立ち向かってきた。その時、レナーは弓を地面に落とした。そして、手の平でラハートの腹を打ち抜いた。


「きゃ!」


そして、自分の腕にラハートの首をかけ、ラハートを地面に薙ぎ倒した。


ラハートは苦しそうにもがいている。抵抗するのをレナーは余裕そうな表情で押さえている。


「……どうする?まだ、続ける?」


レナーはラハートの瞳に問いかけた。すると、ラハートは抵抗をやめた。レナーは腕をどかして、立ち上がる。


すると、ラハートは地面に倒れ込んだまま、仰向けで泣き始めた。溢れる涙を何とか止めようと、目の上に腕を押し付けている。


レナーは立ち上がって言った。


「女の子だから、顔に傷はつけてあげなかったわよ♡」


ラハートはその言葉を聞いてさらに泣き始め、声をあげていた。


「感謝しなさい。以前の私なら、あなたを殺していたわ。でも最近、人を殺せない子がチームに入ってきたの。その子は人を殺すことにものすごく抵抗を感じている。初めは疑問だったけど、考え直してみればそれが普通の反応で、私たちがおかしかったのだと最近気づいた。だから、私たちは人を殺さずに平和を勝ち取ろうと少しずつ考え方を変えていくことにしたの。だから、あなたは殺さないでおいてあげる。私たちの仲間に感謝しなさい〜」


それだけ言い残して、レナーはまた走り出した。皆が行った奥の方へと向かっていく。遅れをとるわけにはいかない。


レナーも無傷。敵を圧倒する強さを見せつけた。少年兵団支部幹部に無傷での完全勝利。


まさに最強。RBのリーダー格、二人の最強夫妻の、幹部に対して完全勝利というこの活躍は後々伝説となって語られる。

第一巻完結まであと五話です。最後までお付き合いください。

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