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エロゲ転生、(落とし)穴に挿入ったで。

タイトルの「挿入ったで。」は「はいったで。」と読みます。

特別な意図はありません。

「いやぁ~、大変そうだねぇ…こんなところでみんなと競い合わなきゃだめだなんて~」

 正面の台の上、壇上で威風を放つ壮年の男が口上を述べているなか、隣に座る瑛士がこっそりと話してくる。

 周りのギラついた雰囲気をみて思ったひとことなのだろう。

「はっ、微塵も思ってないくせに」

「うーん、でもみんなすごそうなのは本当だし…」

 頭を動かさずに周りをみるが、確かに何人かオーラを感じる人はいる。

 あいつとかあの人とか…あ、まだあいつは転校してきてなかったか。

「なんで兄ちゃん、女の子のほうばっかり見てるの?」

「まぁまぁ、気にすんなって」

 そら男なんてみる気が起きないからに決まってるでしょうに。

 というか仲間になれる男の奴らは視界内じゃなくて後ろに座っていることを確認済み。

「それよりも瑛士、めぼしい奴はいたか?」

 瑛士の選択眼が気になるところだ。

「めぼしいやつ? 気になる人ってこと?」

「あぁそうだ。男でも女でも、こいつやりそうだなっていう雰囲気、オーラがある奴は?」

 うーん、うーん、と悩みながらあたりを見回す瑛士だが、自分の列の端っこを見ようとして、顔が近づいてくる。

「わ、近っ!」

「そこ! 静かになさい!」

 壇下で司会ブースに立つ女性から叱責が飛んでくる。見ているのは瑛士のほう…だから俺が怒られてるわけではない。

「あぅ…すみません…」

 へこへこと隣で頭を下げる瑛士。

「…まぁ、悪かったな…まぁこの話は後に回すか…」

「…うん…」

 堂々と居座れば俺じゃないって雰囲気出せるのにな。

 こういうところは原作通りに真面目だよなぁ。

 ……いや、原作よりもちょっと気弱な気が…。いや、気のせいか?




「み、みなさん…い、一組のみなさん、集まってますかぁ?」

 今は入学式後、講堂にいるのは一組の十二人と言うことになるらしい。

 残っているのは多種多様の制服ではなく、藍色のブレザーとスラックス、スカートの人を着た人だけ、つまりは一組の特別進学科(特進科)だ。

 そんな同じ衣装を纏った多種多様の表情をした俺らに、むちむちの身にパンツスーツを纏わせた栗髪ウェーブの、いかにも|幸が薄くて気が弱い女性《無自覚系ダメ男製造機》が声をあげる。

「あ、集まってますねぇ?(汗) わ、私はぁみんなの担任の先生ですぅ!」

 なんか頑張ってるなぁ…。

 目の前であのセリフが見えるなんて…かなり感動だ。当の本人はカンペらしき出席簿を手に持っている。……がんばれ先生…。

「で、では、これからお、オリエンテーションを始めますぅ…」

「お、おりえん、てーしょん…?」

「こんなこと聞いてなくてよ? パンフレットにも書かれてませんし…」

「ンなところで何をするってんだァ?」

 千花とおなじちびっこ、金髪の縦ロール、ヤンキーといった風情の面々が次々に疑問を口にする。

「つっ、ついてきてくださぁい!」

 俺らの話はまったく聞かず、あえて無視をして背を向けて歩く先生。向かう先は、壇上。

「ついていくんだって♪ ねぇお兄ちゃん? 一緒にいこ?♪」

 腕に抱き着いて歩き出す千花。

「ん? あ、いいぜ。瑛士もかえでも行くぞ」

 いつもの二人を追従させ、あの人の背中を追う。

「あい!」「えぇ」

(なんであなたが仕切るんですかねぇ…?)

「ん? 何か言ったか?」

「いいえ何も?」

 何か言いたそうだけど…まぁ気にしたらダメだな。よし、行くか。

「…んだァ? アイツら」

「わたくしたちも行きましてよ?」

 一応全員が先生の後を追従して壇上に登った。

「えぇとぉ…みなさん上りましたねぇ~?」

 全員がたどり着くとクルリと振り向いたぱっつぱつのスーツ先生が、全員を見やると満足そうに頷く。

「すみませんが教官、オリエンテーションの内容も含めてご教示頂けますでしょうか?」

「もっ、もちろんですよぉ~。一組のみんなに適性があるかを確認するのがオリエンテーションでぇす!」

 うん、それな。

 それはわかるんよ。

 ほら、みんなも同じ顔してるぞ。ほら先生、続きをいうのじゃ。ほれ。

「オリエンテーションの内容ですがぁ…んぇ? あれぇ…ちょっと待ってくださいねぇ…?」

 奥で仕掛けを発動するための装置をいじくっている。

「あれぇ…? ど、どっちでしょうかぁ…?」

 もちろん、原作通りに手間取っている先生様。上半身を地面までさげてぴっちりしたスーツに食い込んだ諸々がムフフでフォカヌポゥ。

 これにはオーディエンス(全 俺)もほっこり。ちな、隣と後ろにはブリザードな。

「あぁ? なんだ?なにしてんだァ? おい、セン公なにを―――」

「えぇとぉ…確かぁ…このレバーを…ん、よっ、こいしょっ!」

 ――ヴォンッ!――

 レバーを引いた瞬間、俺らの立っていたフローリング板が消えた。

 立っていられたのはもちろん魔法のおかげだ。だが、それは仕掛けを解いてしまえば隠れていたものが現れる。

「なっ!?」

「穴が!!」

「落ちるぅぅぅ~~~~!!!!!」

 隠れていた穴が顕現、俺らを含めて重力に逆らうことはできないため、全員が穴に向かって直下する。

「ッッ!」

「お兄ちゃぁぁぁん!!!」

「…ふぅ」

 思い思いに全員が叫ぶ中、足元にかけていた魔法を解いた。

「いやっふー! 行ってきまー!!!!」

 このあと何がおこるか(チュートリアルは)理解しているので、気楽にアトラクション(・・・・・・)を楽しむことにしようかね。

「(…いってきます? あのこ…どうして…?)」

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