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エロゲ転生、入学できたで。

秘儀!時間跳躍!

 時は過ぎて春。

 舞い上がる桜が祝福するかのように、薄く鮮やかな桃色が視界が染める。

 あれから一回り以上も変わった俺らは、桜の道を歩いていた。

「えへへ…特進科で合格してよかったね、兄ちゃん?」

 隣を歩く幼さしか残らない童顔の男…の娘? いやほんとオトコの娘かコイツってなるくらい、行動が女の子っぽいんだよな。

 よく見たイラストでもあるけど…。でもほんとうにここから成長するんだろうか…心配だ…。

「ん、そうだな…。ルミナスに受かってよかったよ」

 ルミナスと言ったが、この姫トラの舞台ことルミナスの正式名称は聖光学園、英式名称がルミナスハイスクールと呼ぶ。なお、他県に聖光という学園があるが、読みが「私立聖光」か「国立聖光」かで紛らわしいとのことで、もっぱらルミナスで呼ぶことがおおい地元組。なお外部組は聖光学園と正式名称で呼ぶことが多い。とかいう開発事情だとかなんとか。

 クラスの特徴は通常の進学校として体裁を持つ『普通進学科(普通科)』と、国防に当たる専門的な公的機関に向けて人材を育成する『特別進学科(特進科)』、そして国防にあたる公的機関へ専用の道具を作成できる人材を育成する『物理工学科(工学科)』があり、毎年300人が学園の門をくぐることができる。

 特進科に入るにはいろいろ条件があるらしいが、そこはまぁ割愛ってことで。

 実際勉強なんざ受けるもんじゃないし、三人がいなければ受かっていなかったのは間違いないのだ。生前含めると勉強していたのは10年以上も前の記憶になるのだ、必死に記憶から引っ張ってきたにすぎない。

 ほらよく言うだろ、「俺よりラッキーな奴はいない」って。まさにその通りだなって、あの頃は思ってた。

 賽の目を転がしてラッキーになれるほど、この世界は甘くない!(キリッ)

 いやそんなことはどうでもいいんだ。

「でも本当に受かるとは思ってませんでしたね…優月さんが」

「おい」

 いやまぁ…つきっきりで教えてくれた海空かえでには感謝の念は尽きない。覚えが悪いなかもずっと付き添ってくれたんだから、感謝はあれど、非難は一つもない。

 毒舌のキレもあの頃よりも増したけども…。

「むふー♪ お兄ちゃんはやればできるんですから♪」

 俺の隣…瑛士の反対側でドヤ顔をしているのは瑛士妹の間宮千花。兄に劣らず幼さが一切抜けない、美幼女と言っても差し支えない…というかこの妹…だけではなく兄も含めてだが、平均よりも大幅に外見の成長が足りていないのだ。

 ただ…、これはこれで可愛い。むしろ外見はこれ以上成長しないでほしい。(←洗脳済み)

 そして俺、凛堂優月だが、やはりこの10年近く生きてきて思い当たるキャラとか設定に心当たりは浮かばなかった。

 過去エピソードについても今のところ瑛士や千花のエピソードは消化しているから、ゲームの世界通りに進んではいるんだろうけど…。

 そこに俺やかえでは介在しない。

 一応ゲーム通りに進めておいた方がこっちとしてもやりやすい…のかもしれない。

「?」

 俺が何も言わないことで不思議に思ったか、瑛士は首をコテンと可愛く傾げる。

 やめろやめるんだやめてくれ。最近ほんとに女なんじゃないかって疑問しか残らんのだ…。

 実際女じゃないのか? とあるルートによっては逆に女性側から襲われたり、ダンジョン攻略に失敗すると女性と一緒にモンスターに襲われたり、好感度処理のミスによってはホモォエンドで瑛士が襲われることもあったりしたのだ…。

 そういう意味でも、女装したら間違いなく女と10人中10人が答えられるであろうこいつが、女っぽい仕草をするたびに戦々恐々するのだ。

 てか、あるキャラのルートではイベントスチルで女装した姿を見ることができるほか、学園祭シーズンでメイド服を無理やり着させられたところを別クラスのモブ女子に見つかって一方的にライバル宣言されていた。

 ……え? メイド服の瑛士? ……もちろんめちゃくちゃ可愛かったですが…なにか?




 とまぁ、この世界でも、ゲームの中でも。

 つまりは慣れ親しんだ外見に戻った、というのが正しいのか? 数年もこの世界にいれば成長もするか。

 最も、瑛士についてはゲームの中では身長も能力も規格外に成長するから問題はないのだが。終末イベが学年末だから…むしろ最終イベントに合わせるためなんだろうな。

 確かゲームの中盤くらいで詳しくは描写されてなかったけど、シナリオ上では夏休み後くらいで急激に外見が成長してたというエピソードがある。

 確かにイベントスチルの女性対比を見たときは外見170cm以上はあるなとは思ったけど。

 それにその話があったあとからの能力値の成長が著しい。具体的には等倍~1.2倍が最低でも1.1倍~1.5倍、最大値は2.4倍の成長値に変化する。

 一番高くしたのは「幸運値」だったが、もちろんあの(融合)のためでもあったに、失敗した。

 そしてこの世界に来たけど、その理由はいまだにわかっていない。

 あとめっちゃ魔法が上手くなった。まほうってたのしい(思考停止)



 話をもどすが、企画時点で「途中で主人公が急激に成長する」という仕様は公式も発表しているが…隠された仕様に気づくまでは時間がかかった…前半の成長次第で後半の能力の伸びが変わるとかいう仕様。

 本当にクソにしてやられました! どうもありがとうございました! ほんとこのクソ仕様(褒め言葉デス)には手を焼かされた…。

 ……忘れないうちにメモを残しておかないと…ぽろぽろ忘れそうだ。

 ぼろぼろの手帳に書き込む。

「頭は良くないのにまたメモですか? 優月さん」

「お兄ちゃんよく何か書いてるよね~♪ 今度は何を書いたのかなぁ?♪」

「ねぇねぇ兄ちゃん、今後こそ見せてよ~」

 ときたまメモを取るクセが抜けず、何かしらを取るのだが、そのたびに幼馴染~ズに見られている。

 いつものことなのでスルーされるが、瑛士だけは中身が気になるようだ。

「これは秘密のメモだからみせないよ」

「ケチー」

 へちゃむくれて唇を突き出す瑛士だが、美少女が拗ねているようにしかみえないからやめてほしい。

「ほら、バカなことしてないで早く行くぞ。せっかくの入学式なのに遅刻しちゃうぞ」

「あ、まってよ~」

 こうやって別のことをしてしまえば瑛士は忘れる。

 そして同じことをし続けてきたので瑛士に対する良心はもうすでになくなったが、いつまで立っても忘れる幼馴染には不安を覚えるのだ。

 はいマッチポンプマッチポンプ。

 そして呆れてから苦笑いを浮かべ、二人が後を追う。


 俺らの関係は、ここ数年で変わることはなかった。


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