エロゲ転生、ほら、魔王軍幹部だってよ。原作さん仕事してよほんまに。
順調に投稿中。
姫トラの制作元に訴えれば勝てますかね?
『ララ・リム・ルミナス・レティス・ローゼンデルク殿
勇者の情報が手に入った。その者の名は間宮瑛士、ルミナス学園1年1組所属だというが、これは本当のことであろうか。まさか其方の学園に入学しているとは、皮肉と嘆けばよいだろうか。月並みではあるが、幾許かの猶予は出たこと。破魔を穿つ時がついに訪れたと言える。
嘘かどうかの判別は其方に一任するが、この情報が誠であれば私からの願いがある。継ぐ者が勇気ある者だと思いたいが、私には判別する術がない。しかし残された時間がその予断を許さないのは貴女も知っているはず。喫緊の課題として此れを報告とする。
ここまでが私からの報告、そして以後は私からの願い。
彼の者が本物の勇者であれば、退魔の祠にある武器を手にさせてほしい。もし使うことができるなら、もうすぐに解かれてしまう封印も容易く閉じることができよう。
封印が解かれると書いたが、おそらく一年以内で魔王が動き始めると予想する。それまでに何としてもその勇者に力を付けさせ、最低でも封印の術を覚えさせるべし。私の抵抗も力が尽きてしまうのがおそらく先になるであろう、勇者が覚えたら魔王へ試す前に私を封印してほしい。少しでも遅れてしまえば、先に私が眷属化してしまうだろう。そうなる前に私のことを殺してほしい。私の親友とこの世界の未来を想うなら、必ず遂げてほしいことを願って。
もし叶うなら、私の同類を……魔の扱いに長けた者を育ててほしい。私のような不幸を後世に残さないために、手遅れになる前に。
八重乃 みやび』
と書いてあった。
…………。
ほぼ確定だ…。人族から魔族へ堕ちた最大の裏切り者と言われていたあのお方の名前は八重乃みやび。そして間違いなく魔王軍幹部の一人で確定。
敵として出てくるときの名前は「赫灼刹騎ヤーバルハ」という名前で、身の丈と同じくらいの大剣を両手に持ちながら「生きた人間をすべて断罪する」ことを己の使命として敵対する魔王の四天王。そして隠された性癖は「生きた人間に流れている血が噴き出る瞬間が最も美しい」という死に立ち会うことを至上としている。生きた人間を断罪というのは表の言葉で隠されたメッセージは「自己の満足を得るために人を殺す刹那的な快楽殺人者」と称された、四天王の中でもかなりヤバイ敵なのだ。もっとヤバイ奴が上に一人いるので、ただ人を殺すくらいならまだセーフだ。闇炎のおっぺぇサキュバスちゃんもまだセーフだが、超級ヤンデレちゃんは完全にアウト。アレの性癖には
話は逸れたが、「魔王軍幹部が生きた人間として生存している」というなら疑問が残る。
そもそもなんであいつがここにいるんだ? 最初で最期に会うのは学園ダンジョンの最下層以下のはずだろ!? それがなんだってあんなところにいるんだよ!
いろいろな質問が頭の中を過るけど、今は理事長との話が優先だからあとで考えるとして、今一度手紙を読む。
前半を要約すれば「間宮瑛士が英雄で、瑛士を筆頭に力を付けて魔王を倒そう。これは急ぎだから最優先事項だぞ」という内容で、後半は「瑛士に英雄の武器を取りにいかせて、英雄の力で封印の手段を身に着けさせろ。魔王は1年以内に復活するみたいだから、元凶を殺すか封印して次世代につなぐかしろ、ついでに魔族に堕ちる前に私を封印するか殺せ。そして魔族の血が流れる俺を育てろ」ってところか?
そしてこの人が言っているのは英雄のことだろう。そして英雄は……。
「間違いないと思います。確定の情報はないですが、少なくとも俺はあいつが英雄だと思っています」
「……なるほどな。あやつの言うことは確かじゃな」
椅子をくるっと回して背もたれをこっちに向けて何やら考えている? らしい。しかし10秒くらいだろうか。時計の針しか聞こえていなかった空間が変化した。
「のう美鈴よ。少しだけ席を外してくれんかの?」
「それは…担任としても承服しかねます」
「そうか? なら別の言い方をしよう。お主はわしの身内になりたいのかえ? 二度は言わんぞ?」
理事長室に入ってから一切として美鈴先生を見ていなかったけど、今先生がどんな顔をしているのかはなんとなくわかった。
「……失礼します」
少しだけ声を震わせながら扉の外にでる。これで室内に残ったのは俺とルミナス理事長の二人。
「さて…余所者は外したぞ問題児。お主が黙っていることをさっさと話せ」
目を逸らしていたわけではないが、瞬きをした直後には先ほどまで誰もいなかった目の前に理事長が立っていた。そして理事長の目が怪しく光り、目の前の空間が徐々に歪んていく感覚を覚える。
「黙っていること…ですか…?」
「とぼけるでないぞ? お主が意図的に隠しているその左腕のことだ」
ちらりと左腕に視線を向けられるが体は動かせず、ルミナス理事長の瞳から視線を外すことができない。まるで「目線を逸らしたら空間に飲み込まれる」と言われてるようで。
「この部屋にはわしの神聖結界を張っておってな。魔族にとっては消滅を願うほどの痛みが全身に走る、そういう効果を付与した空間なのじゃ。お主も感じているであろう?」
感じていたのはこれだったのか…? やけに空気が痛いと思っていたが、言うほど痛みは感じない。どういった理由が原因なのかは不明だけど。
「ほら、はよ吐け」
そうして静かに発動させていたルミナス理事長の十八番である瞳術がさらに強度を増す。理事長の意志に飲み込まれる前に対策は、今ならとれる。意識は捨てず正面から瞳術対策…【身体強化】を発動した。
「……ほう。小僧のくせしてこれを破るか?」
「っ、はっ、は、ぁっ!」
荒い呼吸は続けられるが、何とか逃れることはできた。
「よもや正面から破られるとはのぉ。お主で五人目じゃよ」
「はぁ、はぁ…っ、まさか術に嵌っているとは思っていませんでした」
「わしの瞳術は意志と思念を奪うもの。それに対抗するなら強い意志を持つかわしに負けないほどの魔力を施すか、じゃからな」
遠い目をしながらその破った人間? 達を思い浮かべているだろうけど、それどころじゃない。
「よし、お主の気概は気に入った」
「はぁ…、ふぅ…ず、随分と荒療治ですね…」
「何を言っておろう? あやつからの紙に書かれていたろうに。気付かなんだ?」
えっと…ほかに何が書かれていた?
「…もう少しはおつむを鍛えよ、クソジャリ」
さすがにカチンとくるが、我慢だ。
「さようでございますか、クソババア」
我慢できなかったわ。
「フン。で? お主がここに来たのはどういうことじゃ? よもやあやつから言われただけではなかろう?」
「……あの人は何者なんですか?」
「なんじゃ、そんなことも聞けなかったのか? 臆病者が」
「ぐっ…」
確かに事実だけども、圧倒されて逆う気すら起きなかったけども! その言い方は腹が立つ。
「そんなもんあやつに聞け。ほかに用がないならわしの要件はないぞ、クソガキ」
「……」
言いたいことは飲み込んで、ついでにも言える要件を理事長に聞くことにしよう。
「では二つほど。この紙に書いてあった「私の同類を……魔の扱いに長けた者を育ててほしい」について、具体的な内容を聞かせてください。クソババア」
思わず口からでてしまった! おかしいなぁ? ちゃんと理事長って呼ぼうとは思っていたんだが、おかしいなぁ?
「聞きたいなら年長への敬意を払えよ? クソガキ」
「はい、わかりました! クソババア長!」
「可愛げのないガキだ。みやびの同類ということなら、光魔法と闇魔法を鍛えればいいのじゃよ。魔族の大多数は闇魔法を好む。その反面光魔法は一切使えない。闇に精通すれば魔を理解し魔に長け、光を求めれば魔族を恐れるに足らん」
ってことはいつも通りってことか?
なんかそうじゃない感がひしひしと伝わってくるんだけど…ちょっと考えてみよう。
そもそも、人間と魔族の違いはなんだろうか? 種族が違う、生い立ちも成り立ちも違う、生態系も思想すらも違う。血の色は赤と黒い紫で肌の色も違う。外見も全然違う。あっちは角と羽が生えていてこっちは生えない。そして空を飛べる。使う魔法は同じだが…あれ?
「闇魔法ならほかの人も使えるはずですが…自分たちの使う闇魔法と魔族が使う闇魔法との違いは何ですか?」
「ふむ? そこに辿れるのならわしから伝えるよりも己で考察するのがよかろうて。あえて遠回りすることで見えるものがあるのじゃからな」
「……わかりました。ちなみにその答え合わせは…」
「わしはせぬぞ? はかり知るところではないからの。むしろそれならあやつに返せばよかろう」
「確かにそうですね…早めに答えを見つけて聞きに行こうと思います」
「それがよかろう。ただし、あまり闇を見続けるでないぞ? 堕ちたくなければな」
「…わかりました」
魔法開発の延長線上とか考えたけど、それどころじゃないレベルな気がするんだよな。実際問題、魔族とは何ぞ? を考えなきゃいけないのは普通に頭おかしくなる。魔王をぶっ飛ばすために魔族を知る。敵を知り、己を知れば百戦危うからず、だっけか。でも最終的には禅問答に似たような回答になりそう。卵か鶏か問題。
「それで、もう一つは?」
「忘れてました…。学園ダンジョンの他にも、地方にあるダンジョンへ行きたいので通行権がほしいです」
「あいわかった」
意外とすんなりとおるな。
「却下だ」
「なんで?」
「なんでも何も、お主は今停学中であろうが」
「……そうでした」
そりゃそうだ。バカだな、俺。
「ほしいなら正攻法で取りに来るのじゃ、問題児」
「わかりました」
言い方は腹立つがその通りなので言い返せない。理事長の言い分は正しいのが余計に腹立たしい。
「そういえば問題児。ひとつ聞いてもよいかのぉ?」
「はい?」
質問もほかにすることは思いつかないから帰ろうとしたけど…引き留められた。何の用だろ?
「お主、なぜにして31階層に辿り着いたのじゃ?」
「なんでも何も…30階層の転移部屋に着いたら、先に進めって声が聞こえたからですが?」
あの時を思い出すが、アインストダンジョンをソロ攻略して宝箱を開いたらいきなり声が聞こえた…という流れだったはず。
「なんじゃその珍妙な回答は……脳みそがスッカスカなのかえ?」
この人は何かを申すたびに毒を仕込まなければならない病気なのでしょうかねぇ?
ワイ将、そろそろキレざるを得ないですぞ、常考。
「理事長ほどの穴あき脳みそではありませんが、自分もあの時のことはよくわかってないんですよ」
「チッ、ならもっと詳しく思い出さんかえ」
今舌打ちしたな? ワイ将は大事な生徒やぞ?
「ですから、全30階の講堂ダンジョンをソロで攻略したときに空から先に進めって声が聞こえたんですよ」
「お主…今なんと?」
この人は何を言っているんだ?
「ですからダンジョンをソロで攻略したときに空から……」
「ダンジョンをソロで攻略じゃと!? お主は何を考えているのじゃ!!」
一喝された。
「美鈴から特進科やダンジョンの説明はあったじゃろう! なのに一人で攻略とは! 死にたいのか貴様!」
……?
「死にたいもなにも…十分にマージンを取って安全対策を取れば、あのダンジョン程度は一人で攻略できますよね?」
「……」
そもそもの話、初心者ダンジョン程度で慎重と万全を期しているつもりだし、準備に余念を残さないでアタックしてる。
「そもそもの話、まだ入ったことのないルミナスダンジョンも講堂ダンジョンと同じレベルなのであれば、今の勇者――瑛士の成長も早番頭打ちがくるんじゃないかとは思ってます」
半分は勢いだけど、もう半分は本音でもある。
手紙の内容を見る限りでは魔王が一年以内に復活する、という話はもう確定で捉えて良いはず。事実は知っていてもバックボーンは知らない、という半信半疑の情報が、魔に長けた者のお墨付きで「魔王が一年以内に復活する」と言われれば信用度は違う。
「あのお方の情報を信じるのであれば、少なくとも今のままの瑛士では魔王が復活したところで討伐は夢のまた夢の話ですし、封印すらも――」
「ああもういい! わかった、わかった! お前さんが余程の大阿呆者ということもな」
勇者であるい瑛士を魔王と渡り合える戦力にしなければならない。それも一年以内に。そんな条件を打ち付けられているのだから、チンタラとやっている猶予なんてないんですわ。
いやホンマに。魔法で遊んでるわりにはやることちゃんとやってるんですよ。感情が極稀に何故か暴走してやらかすけども。
フィジカルとメンタルを集中的に育てようと頑張ったけど、結局それ以外しか成長はしてくれなかった瑛士を思い出して泣きそうになるが、今はそうじゃない。体格差という有利不利はあるもののほかの技術はそれなりに育ってくれたので、トントン寄りの順調。
とはいえ……残りはこの一年でどこまで技術とレベル、魔法を覚えられるかが魔王討伐の鍵だが…。
「わかった。今回だけ特例じゃ! お主の謹慎が解けたら一年のうちから各ダンジョンへの申請許可をだすことにしよう。もちろんお主と同じ条件を突破できた奴だけが申請を出せる、という制限は付けるがの!」
考えが変わったらしい理事長はさっきまでとは打って変わって……いや、窶れてか、声に疲れを乗せながら
「ありがとうございます。今のうちに学外のダンジョンに行けるなら、理事長が出す条件は何でもいいので」
「わしとてあやつの報は疑っておらんわ。だが若い命と天秤にかけるものではない。ならば勇者も特例はださぬぞ?」
「それでいいと思います。瑛士は自分たちの希望ですけど…魔王と戦って死んでほしいわけではないですから」
「フン、わしかて……いや、なんでもない。せんもないことを言ったな。忘れろ」
弱い者が何かを言ったところで理想論、力と理想があって初めて民は導かれる。みたいな言葉をどこかで聞いたのを思い出したが、まさにその通りだと実感した。
力がなければ淘汰される、なら力を付けて濁流を泳ぎ切らなければいけない。
せめてその環境だけは作りあげて、この世界が平和に…平穏を迎えられるようにしたい。BADENDや世界滅亡ENDは回避したい。そのために瑛士の力は絶対に必要だ。しかしその瑛士が死んでは元も子もなくなる。そうなればやることは一つ。
死ぬ一歩手前まで追い込んで、一足どころじゃない飛躍で二足三足の足で飛んでもらうしかない。
その条件が今整った。あとはここから情報が整えば瑛士は…瑛士たちは最低限魔王と渡り合う力が付けられる。
「ところでお主、勇者の面倒を見ながら自分を鍛えることはできるのか?」
「……そういえばそうですね?」
「ハァ……わかった」
溜息をつかれた。そりゃそうだ。正直時間が足りない。
勇者の育成と世界滅亡の回避、どっちが優先度高いかと言われたら圧倒的に後者だ。どっちも同時進行できなくはないが、個人的な要望を言えば闇魔法の研究―――魔族の血の転用―――を集中的にやってからにしたい。
と伝えたところ、こう返ってきた。
「それなら協力者を増やすのがよいではないか?」
「それって宛はあるんですか?」
「……あってないようなものじゃ」
目を逸らしながら苦々しく答えてくれる理事長はとっても素直だった。いつもその素直謙虚さを前面に出して謝罪してほしい。
願望が混じったけども、俺もアテは思いつかないし…。
「美鈴先生ではだめなんですか? 1組の担任ですし、あの人も後衛とはいえ戦闘の経験自体はありますよね?」
「む…そう…じゃな…。いやしかし……」
先生の名前をだすと急に歯切れが悪くなった。どうしてだ?
……あっ、そっか。あの人は過去のトラウマが原因で戦闘がだめな後衛魔法のタイプだわ。
「先生がダメそうなら…やっぱり外部協力者ですかね…?」
「そうじゃな。まぁこれは後で考えようぞ」
先生の参戦はすっぱり諦めて他を考える。が、ほかの先生で思い当たることはないなぁ…。無理に頼むこともしたくないし、さすがに十数年で古傷――――過去のトラウマが癒えているとは思えない。たとえ戦闘自体が大丈夫だとしても、突如として起こるフラッシュバックを避けることはできないだろうし、それを直視してパーティメンバーが悲惨な目にでもあってしまえば、それこそ目を当てることができなくなる。社会復帰的な意味で…。
サブヒロイン枠だからそこら辺のバックボーンや前後での戦闘描写は知っていても、今の先生の内情までは知らない。はかり知ることができない。
……取捨選択を迫られる時が近づいてきているなぁ…。
「まあ良い。ともかくお主はしばらくの間、魔族を突き詰めているが良いじゃろう。それとたまにで良いが、あやつのことを見てきてくれんか?」
「わかりました。そのうち自分にもあのお方に用ができそうな気がするので」
「あいわかった。じゃよろしく頼むぞ」
「承知しました」
考えても仕方のないことは切り上げる。なので用事も終わって要件もなくなったらサクッと話を終わらせた。美鈴先生からは時間を捻出してもらった、と言っていたから、余計な時間は使わせないほうがいいと判断して。
なのでササっと扉から出て外で待機していた先生と合流し、少し話をした後に寮に戻って闇魔法を勉強することにした。
そしてこの時の俺は忘れていた、理事長が言っていたアドバイスのことを。
特大な凄惨と代償を払うときがそのうちやってくることを知らないままに。
そろそろ5000文字を投稿のボーダーにしようかなと…。
優月さんは敬語とか丁寧な言葉遣いはできるんですよ。しないだけで。
あと「バカとテストと召喚獣」という少し昔のライトノベルを読んでましたが、学え―――ババァ長って口以外は高スペックなんですよね。
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