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エロゲ転生、学園生がエロ本を持つのはデフォなんです。先人偉人童貞その他諸々証明してくれます。

学園生活の始まりだゾ。

 全員が寝静まった深夜。

 とある目的のため俺は外に出たいが、玄関から外にでると間違いなく警報が鳴ってしまう。

 つまり窓から外に出るしかない。しかし…監視カメラがあるのかどうか…。

「むーん…」

 まぁこういうときの探知魔法よね。

 ただ今回は正確さが欲しいから詠唱付きで…。

「無なる構えを我に示せ…【機械探知(サーチマシン)】、その先を我に見せよ…【視力強化(シービジョン)】」

 無属性に位置する「機械だけをピンポイントで空間把握できる魔法」と「視力を強化する魔法」を発動する。

 ゲームの時は魔法を使うとだいたいがそのターンに発動できる。大型魔法だろうとゲームの時はターン発動可能な点は、きっと「無詠唱でできるようになることで1ターン発動が可能になった」ことを「おぼえた」って説明してるに違いないね。

 しかし現実となった今は無詠唱でもない限りは瞬間発動ができない。そのためにどんな小さい魔法でも、慣れるまでは一小節とか二小節必要らしい。もちろん様々な理由で詠唱短縮することは可能だ。

「いつ思っても魔法に詠唱必須とか致命的だよなぁ」

 敵の前でのんびり魔法唱えていられなんだ。いい的だってばよ。

「寮周辺でこっちに向いてる監視カメラらしきものはなしと。…囲いて立てる音は無し…サイレントフィールド」

 そして周囲一メートルの範囲で音を立てる魔法を唱えて全身を覆える黒いマントを羽織って窓から脱出する。

 人影らしきものもなければ、見える範囲にも監視カメラは見つからない。これなら簡単にたどりつけるだろう…。

 さて、俺が今向かっている場所だけど……残念ながらクラスメイトの寝室ではない。

 目的は学園の裏門、その奥にある洞窟。

 ゲーム時代では大変お世話になった裏門入口の洞窟、通称「秘密基地」だった。いやぁ、この名前を広めたときはすっごい快感だったなぁ…。

 何度目かの攻略時に手が詰まってVRモードで遊んだ時にたまたま見つけてしまったのが運の尽き。一応公式に確認したところ「仕様」という回答が返ってきたため、緊急で生動画配信を行ったのは懐かしい記憶だ。あれが10年近く前なのだから時がたつのは本当に早い。

「次は寮前……はこっち側に向いてるのか。駄目だな」

 さすがに寮の入口はカメラがあるみたいで、この道は断念して反対側へ回り込む。さすがに入口は片方側からだけで、こっち側は死角となっていた。

 気分はスニーキングミッション。キム○クの如く、アクションコマンドではなくリアルアクション。

 ……あれ? これ裏門じゃなくて西門から出たほうが早そうな…。変更!

 こっちには別の科が所属する部室という名の工房。ここは早朝だろうと深夜だろうと時間お構いなしに稼働中らしく、いくつかの工房から明かりが漏れていた。

 …今は用事がないのであっちはスルーしましょう。機械も西門を向いているため南西に位置する特進科の学園生寮は完全死角のため、明らかなデッドスペースとなっていた。

「【身体強化(ブースト)】」

 さすがに身体強化魔法(ブースト)は何度もお世話になったため詠唱省略。無詠唱にしないのは保険のためである。

 そして2メートル近くあった鉄柵を軽々と飛び越えて校舎抜けに成功した。

 しかし…、いちいち西門まで遠回りするの面倒だ。透明化と録画機能を誤魔化す魔法を時間を見て開発でもするかね。その前に探索魔法と盗賊技能を育てなければならないので、移動と阻害用の魔法はほかの手段があるため限りなく優先度は低いけど…。

 そんなこんなで秘密基地に到着。当たり前だが入口は巧妙に隠蔽されているため初見で見つけることは難しい。

「さて、入口はどちらかな? ってね」

 けど一度でも見破っているのであれば難しいことはない。

 ここに必要なのは盗賊技能レベル15近くで、盗賊の鍵開けと忍び足と感知、さらには罠探知という4種の技能。

 厳密にいえば裏門に何かがあるという噂などから情報を得た後、「裏門で感知を行って封鎖されている扉を見つけた後、盗賊の鍵開け技能を使って封鎖されていた扉を開き、中にある無数の罠を、音を立てずに潜り抜ける」というイベントをソロでこなす必要がある。

 なんでこんな面倒なことをしたのか、という理由についてはいたって簡単で、過去にダンジョン出禁になった忍(シノビ)系統の先輩がどうにかしてダンジョンに潜れないか検討した結果、「先生に見つからない場所から裏口入門しちゃえばいいじゃん!」という発想に至り、工房の人間と結託して簡易転移門を設置したのが理由だ。

 最初に知ったときはその行動をしてるから出禁になったんじゃねぇの? って思ったけど、そのおかげでこうやって堂々と卑怯な手を活用できるのだから、文句は言うまい。

 ちなみに言うまでもないが、忍(シノビ)系統の先輩とは赤城忍のいとこのことで、特進科OBで当時は学園きっての問題児とも揶揄されていたらしい。そして忍の個別ルート友情イベントで正規エンディングに進むには、この危険満載秘密基地を完全攻略する必要があるのだが……。今は攻略する必要がないので途中の転移イベントを熟せれば用はもうない。

 男の低人気キャラはこういう扱いになっちゃっても仕方ないね。でも嫌いじゃないんだよ、あいつ。憎めない奴だし、とあるダンジョンでは無双と言っても過言じゃない力を発揮できるし、忍スキルを極めたら回避性能はトップレベルに躍り出ることができるから、最終的には回避盾としてかなり優秀になるのよ! ただ最終盤でだから、その頃には最終PTも確立して編成を変える必要がなくなっているのだけども。

「よし、鍵開け完了! あとは扉を隠蔽して…これで誰も入ってこれないね」

 そんなこんなを思いながら作業を終えた。そして誰もいないことを確認し、扉に隠蔽を掛けてから閉めれば誰もこの秘密基地のことは認知できない。まさか俺よりも盗賊レベルが高い奴なんているわけがない。怖いのは教師が見回りしていたときだが…この学園でも最大で58と上級の壁と言われたレベル60の手前のため、深夜だったり周りが暗かったりとこっちに有利な条件ばかりのため、運が悪くなければ見つかることは早々ない。

「ってことで元気に探索していきまっしょい!」

 フォー!

 忍び足、無駄であった。が、ゲームの時と罠の配置は変わらなそうなので一安心。罠と言っても隠されている罠については、うっかり発動してしまっても足が絡まるツタが這い寄って来たり、鋳つぶされた矢が放たれたりという侵入者を拒む程度。安全の中の安全。

 とはいってもこっちは一人。ちょっと注意すればこれぐらいなんてことはないのだ。そうだそうだ。盗賊レベル様様ですわ!

 ただしあからさまに見えている罠や最後の偽装トラップは除く。これに関しては遜色なしに危険度は高いため要注意。

「さて…あともうちょいだけども、こっからがやべぇんだよなぁ」

 危険エリアに突入したことで違和感程度だったヤバイ匂いが危ない匂いに代わり、様相も完全にトラップ満載だと伝えてくれている。

 見た目程度じゃ変わらないというのに。

 これ見よがしに出ている赤いボタンも若干盛り上がった土も、平坦な道すらも何もかもがブラフ。そしてそれよりも一番恐ろしいのは一つ発動すると次々に罠が発動していくという、誤ったら最後の時限爆弾を抱えて突破しなければならないRTAの領域へと突入一直線な連鎖式トラップだ。

 なのでここからは慎重に進まなければならない。

「ここの攻略法は…ブラフをすべて踏み抜いていくこと」

 今までとは攻略が変わって、安全地帯は死中に活を求めるようなもの! と言わんばかりに用意されたブラフを伝って移動する。

 ………珍しくも命がかかってる状況で慎重に行動したことで、危なげなく休憩ポイントという名前のゴール地点へ到着した。

 ……いやちょっと待てよ?

「確かここにも罠があったよな…」

 メモ帳を取り出して確認ッ! …やっぱりだ…あぶねぇ…。

 ってこれ、恥ずかしい奴じゃね…? あの人の痴態を口にしなきゃいけないとかなんて罰ゲームよ。でも言わないことには何も始まらない。

「ダンジョン出禁になっても勝手に侵入しちゃうもんね! やーい! ざまーみろってんだ!」

 …………。

 羞恥と沈黙が戦うことおよそ3秒未満。かちゃりと音を立てて扉が自動で開錠した。

 相変わらず酷いキーワードだ…。

「……これが一番気力を持っていかれた気がするなぁ」

 そうぼやきつつ扉には一切触れないで侵入。もちろん足音は立てていない。立てたら最後だ。

 扉が閉まったことを確認して物色を開始する。もちろんOB忍先輩よりもレベルが低いため、丁寧に隠された掃除用具入れの奥底に眠るロリ系エロ本や本棚の裏へ巧妙に隠された見た目普通な学園生と低身長系後輩おにゃのことにゃんこらするようなえちち本、傷をつけないよう慎重に床の板の隙間に挟み込むように隠された肌色成分たっぷりな同人誌、というものが見つかることはない。

 机の上に置いてあったお目当ての赤青黄色と三種のグラデーションがかかったルミナスダンジョン転移結晶と中に白い羽がある透明なビーズ玉が付いた帰還の腕輪を手に取った。

「効果は確認できないけど、結晶の中身はセーフティで光っているから問題なく使えそうだな」

 たぶん。

 過去に一度、凛堂家で発動前の結晶を見た時も同じ輝きをしてたし、似たようなものだと…思いたい。まぁ実験はこの場所から帰ってからにしよう。

 っと、忘れてた。

《転移結晶は頂いていきます。御用のある方は持ち主を見つけて連絡ください。卒業までには返します。PS.忍へ もしこれ見てたらごめんね! 先に頂いたゾ☆ 4/6》

 日付はすでに変わってるから翌日だったね、書き直しておこう。

 よーし、それじゃあやることも終わったし…。

「『転移』!」

 キーワードを発動すると腕輪が光って中身の羽が回転しだす。視界がぐにゃりと歪み、視点がブラックアウトした次の瞬間には秘密基地の入口に立っていた。

 隠蔽効果は続いていて放置で問題なさそうなので、このまま帰ろうとしましょうかね。おとなしくこっそりソロソロ。

 特段問題が起こるはずもなく窓から帰宅し、メモ帳と一緒に転移結晶と腕輪を箱にぶち込んでガッチガチに隠蔽とトラップと特殊施錠を施しておき、軽くシャワーを浴びて寝た。

 明日からはさらに忙しくなるぞー!


学園生活が始まると思いきや、生活初日の未明な時間から活発な奴♂がいるみたいですな。


この作品にはインムなんて要素はございませんゾ。

どちらかといえば、リスペクトしているのは「生徒会役員共」のほうだゾ。

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