エロゲ転生、こう…第六感がピーンって。
…って、一撃かよ!? どんだけ攻撃魔力高いんだよ…。ワンちゃん俺よりも高いんじゃね? というかゲームの時は半分までしか減らなかったはずだろ?
……あれか、ゲームとリアルじゃ違うってことか。
確クリで当てたことと弱点属性をついたことで倒すことができた。ただ…地に伏せて手を突き出しているようだ、まるで最後の攻撃をしますよー、とでもいうつもりかね。果たして気づいているメンバーはこの中に…。
「みなさんお疲れ様でしたわ」
「おつなのですー!」
「お疲れさまー」
「ふふ、お疲れ様です」
「…………?」
女の子グループは気づかず、ギリ瑛士が不思議に思ったくらいか…。その瑛士も違和感はあっても正体までは気づけないってところか。まぁそうだよな…初見で見抜けるなら大したもんだわ。俺でも気づかなかったし、確かVR対応時の特別演出だったっけか。3Dモードの時は羽ばたいて逃げる演出だったけど。ほぼ高確率で起こるだろうイベントに合わせて、魔法発動の準備をしておくか。
そしてみんなが気を抜いた絶妙なタイミング。石像が起き、構えていた手を押し出し、壁に挟んで潰そうと最後の攻撃をしてきた。攻撃の対象は…固まっていた俺を含む全員。
なのでこっそり準備していた風魔法で対抗する。
「兄ちゃん!」
「任せとけ。…風の槌魔法!」
破壊ができなくとも、魔法で少しは誘導ができる。しかも遠くでずらすことができれば、攻撃を逸らすことは可能だ。
迫る石の手を、横殴りのような発動で押しのける。妨害された手は直線状に向かう進路から逸れて無人の道を突き進み、壁に激突して消滅する。手が消滅するのに合わせて石像も塵となって崩れ落ちた。
「兄ちゃんありがとう」
笑ってはいるけど…ちょっとだけしょんぼりしてる瑛士。一応コイツもコイツで動けるようにしてたみたいだけど、想像の斜め上で対処が不可だったって感じだな。ちょっとは成長した、ってことか。
それなら…。
「今度は戦闘技術だけじゃなくて魔法も鍛えて行こうな。一緒に頑張ろうぜ」
「うん! 全部守れるように…僕頑張るよ!」
「えぇと…助かりましたわ。瑛士さんと…」
瑛士がちょっとだけ反省しているところで横から口を挟まれる。お嬢はどこか忙しなさそうにもじもじしている。
「優月。凛堂優月だ、お嬢」
「お嬢…コホン、まあいいですわ。私は立花愛莉栖と申しますわ。あなたも、ありがとうございます」
「いえいえ! 最後は何もできませんでしたけど…」
「謙遜はしなくてもよいですわ。あなたたちがいなければ今頃はいなかったかもしれませんし」
お嬢はこう言ってるが、アインストダンジョンの上層では倒せなかったときは全員気絶したままワープポイントに飛ばされるだけだから…まぁ、別に死ぬわけではない。と、思う。
ただゲームとは違い、生きている今となってはワープポイントに戻るということが行われない…と思う。何かあってからじゃ遅いし、彼女たちがいなければ、確実に取り返しがつかないことになっていただろう。
「で? 遅れた理由は…このガーゴイルくん?」
「えぇまさにそうですわね。撤退しようにも後ろにしか道はなく、前の扉以外にほかの道がありませんでしたので」
「ほーん…」
ん…? なんか引っ掛かるな…RTAの時は2Dでやるから壁抜けワープを多用しまくったから気にしたことなかったけど…果たしてそうだったか…?
…思い出せないからあきらめよう。
「どこかで見ている先生方にはきちんとご説明いただきましょうかね。あとで」
「え、見てるの!? 兄ちゃんよく気付いたね?」
ノー天気だなぁ…うちの弟超かわいい。
「まぁ道すがら教えるよ。あとの3人は…大丈夫そうだね」
3人と俺が話するのは後でもいいべ。今は瑛士と顔合わせと好感度が稼げれば…。
「あぁぁぁっ!!」
「「「「っ!?」」」」
「兄ちゃん?」
「宝箱! 宝箱を取りにいかないと!」
「そんなに慌てる必要ある? というか来る途中で見たかなぁ…?」
やっべ…。
まぁここを出るのが4人ってことなら問題ないベさ。
「とりあえず行くぞ! 宝箱が俺を待っている!」
「あ、兄ちゃん! み、みなさんあともう少しですから、あと敵はもういないので体調整えながら……って、兄ちゃん早いよ!?」
……戦線離脱完了!
いやねぇ…? あの、一人だけかかわりたくない方がいらっしゃるもので……えぇ、ハイ。とりあえずHP回復薬は確保できたぜ!
ちなみに宝箱は道すがらにあるので、彼女たちが拾うことはできなかった。
☆★☆★☆★
「ふぃ~…みんなおまたせ」
「残りのメンツもそろそろ到着するぜ…ほぐっ!?」
扉を開けて全員にそう伝えると、千花わんこが突進して腹部に体当たりをかましてきた。そしてすかさずホールド。
千花わんこからは逃げられない!
「お兄ちゃぁぁぁん! 無事ですか!? 服が汚れてます! 何があったんですか!?」
「どうどうどう…。ちゃんと説明するから落ち着きなさいな」
「うぅぅぅ…」
あかん、割と拗ねてる時のハッグやコレ。
「ごめんな千花、今度はちゃんと連れてくから、な?」
「本当にそうしてください。どれだけ押さえつけるのに苦労したか…」
「悪かったなかえで。自重できそうなら今度からするわ」
「できないのですから役に立たない政治家みたいな言い訳はお控えください」
「へぇへぇ」
相変わらずの口の悪さに内心笑いつつ、千花を持ちあげて男どもの輪に向かう。
「で? 彼女たちは無事なのか?」
中央で腕を組みながら静かに目を開けて問うてくる晴臣。
クールでそっけないやつだけど、ストーリーが進むごとに仲間を大事にするシーンが垣間見える。情に厚いのはもとからだったんだな…。
ちなみに晴臣の足元には正座をしながら泣いている忍術使いがいる。無視。
「あぁ、大丈夫だろ。もうすぐ到着するはずだぞ」
「ふん、ならいい」
「のう凛堂よ、どうして彼女たちは連れてこなんだ?」
「おん? ここダンジョンぞ?」
「「?」」
「あの元凶催した担任の先生の言葉をよく思い出してみ?」
あの先生、ちゃんと「4人以上では進めない」って言ってたはずやで?
ほら、回想シーンやで、頑張れ。
「お前らがうるさかったな」
「声があまり届いてなかったと思うが…」
「二人のせいだと思うよ? 兄ちゃん」
「優月様が甘やかすからですよ」
「はい! お兄ちゃんのなでなでは最高でした!」
「アウチ!」
そりゃアカンかったわ。
「あの先生4人以上では進めないって言ってたんだけどな、恐らく扉が開けられないとか敵が強くなるとか、そんな感じで妨害が入るんじゃないのけ?」
ってこと。
この説明は本来レバーを下げたあとの先生モノローグで説明されてる。けどこの世界で説明はされなかった。つまりどこで説明されるかはわからない。なら今のうちに話をしてもいいんじゃなかろうか。
「うーん…なるほど~…」
「ふむ…一理あるな」
「そういうことであれば、なんとなく理解はできるな」
「確かにこのダンジョンで4人は多いですからね」
回転が速いか頭の良い組が理解できたようだ。
「ほぇ? そうなの?」
「あァ? んなもん気にしてらんねぇよ」
「……シクシク…」
おつむが弱いわんこ、思考停止の直情ヤンキー、それどころじゃない忍者。
うーん、原作通り。
「ここが…ゴールですの?」
「ふぇぇ~…、やっと着いたぁ…」
最後の4人が大広間に到着したようで、全員の視線が扉に向かった。
「あら、みなさんもう到着しているんですね」
「待たせちゃってごめんね!」
武器を仕舞いながらこちらに来るのがさっきまで共闘していた女子~ズ。
うーん? あの後戦闘あったの?
「みんなお疲れ様! あの後モンスターってでてきた?」
うーん。瑛士ストレート。
「いいえ、瑛士さん方のおかげでなんとかなりましたわ」
「よかった~、ちょっと遅かったから心配だったんだけど、みんなで警戒してきたらこの時間だよね!」
「っ、えぇ、そうですね」
無邪気な瑛士に振り回されるお嬢。あ、これアレや、フラグ入る手前のアレや。
兄ちゃん、黙っとるで…。
「でもよかった~、みんなが無事で!」
ほーん。
1…2…3…。ちびちゃん以外は全員瑛士を見てら。
ん? ちびちゃんの鼻にティッシュが詰まってる。……あっ。アレか。アレのせいか? 悪いことしたなぁ。
「あの…間宮さん。よく私たちが手こずっていたことがよくわかりましたね…?」
「そうそう、結構タイミング良かったから、びっくりしちゃったよ」
女子に囲まれる瑛士。ぽりぽりとほほを掻く(18歳以上の)男子。それをかわいがる同世代の女子(おそらく18歳以上)。うーん、スチルスチル。
いやタンマ、これ俺のほうにくるんじゃね?
まてまてまて…! フラグを俺のほうに建てるんじゃないッッ!!
こっちを見ろォォォ! 瑛士ィィィィィ!!!!!
あ、瑛士がこっち見た。
(全力で誤魔化せ!)
(あい!)
「がんばったよ! こう…第六感がピーンって!」
「「「(かわいい)」」」
良いのか瑛士…。頼んだ俺がいうのもなんだけども…。
でも女子チームからの評価はちょいっと上がったみたいだから…結果オーライ…か?
「ふふ…ではそういうことにしておきますわ」
「う、うん!」
立ち絵とかなら多分汗マークは出てるな。
……あとでおやつ買ってあげるから…な? な?
ようやく合流しました。




