エロゲ転生、ティータイムは楽しめたかい?
「〇〇〇には……アッサム!」という名言がありますよね。
さて、この○には何が入るでしょうか。
※初評価頂き感謝します。
瑛士の息が切れてかけている。
コンビとはいえ前衛に立っているのは瑛士がメインだ。そのため一人で強敵相手に10分近くもタイプに合わないタンクをしているのだから、疲労は尋常じゃないはずだ。まさに周囲をみながら全力疾走しているようなもの。そのうえ敵は修復のようなスキルをもっているため、既に破壊した部位は再生している。
せめて持久戦に不可欠なスタミナ回復さえ覚えていれば、瑛士も少しは楽に戦えたんだけど…レベルが足りなさすぎる。
だからと言って瑛士に魔法を覚えさせるのは得策ではなく、優月と言う別名自由型移動式魔法砲台が今はいるから、後回しで基礎体力をつけさせたけど…今はその判断が恨めしい。
「瑛士、下がれ! 魔法を当てる!」
「はぁっ、はぁっ、あいっ!」
「【水道】! 【氷の弱魔法】!」
速度がそこそこある水魔法が敵の腕に当たり、放った水の上にさらに氷魔法が当たったことで、身体の一部分を凍結させることに成功する。
しかし、石像は腕を振り払うことで凍結を強引に解除。魔法使いのほうを面倒だと思ったのだろう、俺の方に突っ込んでくる。
「けっ、しゃらくせぇ! 【土の防御魔法】」
地面に手を触れ、敵が突っ込んでくる進路上に横切るようにして土属性の壁魔法を生成。厚さがそこそこあるためすぐには突破できないが…、数秒だけは時間を稼ぐことができた。
「GRUAAAAA!!!」
「次は右腕をもらっていこう…【炎の中撃魔法】!」
「GOAAAAAA!!?」
壁を突進して破壊した先で待ち構えていたのは、誘導されて狙い撃ちされた魔法だった。
左手の指さきから迸る炎の雷が狙った先は、凍結して動きが鈍っていた右腕。
「瑛士! 吹っ飛ばすぞ!!!」
「あいッ! 兄ちゃん!!」
今のところは狙い通りに動いてくれている石像がひるんだ隙に。反対側にいた瑛士にタイミングを合わせて、全力スイング。
瑛士の力もあったことで、右腕を破壊し数メートル距離を遠ざけることに成功する。
「は、ふぅー…、大丈夫か瑛士?」
「はぁ、はぁ…。致命傷は、もらってないから…なんとか、ね」
息絶え絶えに答える瑛士は、あちこちに汚れがある。
敵の攻撃よりも躱すときに擦っているのが汚れの原因で、瑛士の被弾はゼロに近い。唯一のダメージは破片が飛んできた時に受け流し損ねた石ころだ。
すでに【ヒール】を掛けてダメージは回復済だが、蓄積した疲労だけはどうしても抜くことはできない。
「お待たせしてしまい申し訳ありませんわ!」
背後から期待していた声が、そして心を震わせる聴きなれたソプラノボイスが耳に入ってきた。そして声の主に安堵した。声からして活力が戻っていて、俺らが心配する必要はもうはなさそうだ。
「ティータイムは楽しめたかい?」
「……。…えぇ、おかげさまで」
みなぎるような自信に溢れたお嬢の言葉に俺と瑛士が安堵した。瑛士は言葉の意味までは伝わってなかったが、それでも援軍がやっと来た、という状況に幾ばくかの安心を覚えたようだ。
「俺たちの手はまだいるかい?」
「でしたら、次の突撃がきましたら数秒で良いですので、何とかして防いでくださいまし。その間にわたくしと胡桃さんで攻撃いたしますわ」
このお嬢は無茶を言うなぁ。
しかし本人の…、いや本人たちの目は据わっている。全員が成功させるための作戦だと、つまり成否の一部は俺たちが止めるところから始まると言っているんだ、このお嬢は。
なるほど。
「了解。そういうことだ瑛士」
「はふ、ふぅ…受け止めればいいんだよね?」
「えぇ。お願いいたしますわ」
「うん、わかった! 任せてよ!」
元気に返事をしてやる気を漲らせる瑛士。
……なんだか子供っぽいと思ったが、そのうち勇ましくなってくれるでしょ(放棄)。
「なら今のうちにバフ掛けとくわ…【エンチャントアタック:炎】【ウェポンアタック】! 【マインドアップ】!」
胡桃には物理攻撃系支援を、お嬢には魔法攻撃系支援の補助魔法をかける。
妨害魔法は今のパーティではかえでしか覚えてないから、俺は魔法の全属性を、瑛士と千花には物理アタッカーと回避盾として4人での戦術を極めに行ったことが裏目に出てしまったのだが、そこは今悔やんでも仕方ない。
「助かりましたわ」
「ありがとー!!」
お嬢は丁寧に礼をしているが、胡桃は元気に飛び跳ねながら槍をぶんぶんと振り回している。
槍が危ない。当たりそうだ。
「…。そろそろか」
「GU! GAAAHHH!!!」
壁が破壊されて石像が姿を現す。所々にひびが入っているためか、動きがやや鈍いようで、最初にあった素早さが見る影もない。
「兄ちゃん…あれって…」
「そうだな、俺たちの攻撃も無駄じゃなかったってことだな」
「みたいだね。よかったよ…」
「それじゃ、ラスト行くぞ。瑛士!」
「あいっ!」
同時に駆け出し、後ろは振り向かずに突っかかってくる石像の拳を互いに左右へ跳んで躱し、持っていた武器をお互いに振る。
「舞姫流…一剣!!」
「シッ!」
紛れもない一撃を両端から一点集中させて、部位破壊を狙う。と、拳は破壊にとどまらず、跳ね返された。
しかしそれをあきらめる瑛士じゃない。
「これで…最後だァ!」
「舞姫流…三剣!! 終われぇっ!」
俺は攻撃の跳ね返りを利用して遠心力を利用したフルスイング。反対側では瑛士が剣を振り上げて拳を下からダメージを与えていた。
全方位からの攻撃によるダメージに耐え切れず、石像の拳を破壊し、敵を足止めすることに成功する。
すかさず、合図を送る。
「ちみっこォ!」
「いっくよー! ふん、さいっ!!!」
その場を離れる俺たちと入れ替わって槍を持って突進してくる胡桃は、俺たちが破壊した手を足場にして空中へ跳躍した。
バトンタッチして攻撃する胡桃の手には、先端が赤白く輝いており、胡桃の代名詞とも呼べる「ふんっ、さいっ!」攻撃だ。ちなみに通常攻撃である。
いろいろ感動はあるものの、浸っている場合じゃないからまた今度見せてもらおう…。
「ちょりゃー!!」
急所ともいえる顔に落下攻撃し、串刺しにすることで亀裂が生まれる。貫くことはできなくても顔だから確クリは入るだろう。実際敵も完全にその場に足止めを食らっている。
気の抜ける声だが、宙から落下してくる攻撃をするあたり、現時点の胡桃はわりと頭が良いのかもしれない。
ん? これ、もしかして失礼になるやつか? でもスカートは考慮されてなさそうだし…。
…まぁいいか。
「準備ができましたわ! 胡桃さん!」
最高威力であるお嬢の攻撃砲台準備が整ったようで、避難命令を出すお嬢。
その足元には真紅の魔法陣が展開されており、掲げた手には炎の槍がゴウゴウと燃え滾っている。
「いきますわ! 炎の強撃魔法ッ!」
掲げた手を振り下ろした炎の槍はまっすぐに飛び、すでに胡桃が風穴を開けたところへ当て、地へ落とす。それ以上は動かないようで石像はその場に伏せた。
答えは「お家に帰るまでがましまろです」を実際にプレイして確認しよう!
ちなみに私、ザッハトルテは食べたことありません。この言葉に他意はありません。本当です。




