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エロゲ転生、おいお前ら!フラグを立てに行くぞ!

 そして15分が経ったが、最後の一組がなかなかに来ない。

「えっと…いないのは女性だけのチームかな?」

「みたいだな」

 えっと…、いないのは金髪ドリル(ですわ)猪突猛進(ちびスケ)男装の麗人(ボクっ娘)清楚系ド畜生(ヒーラー)だな。

 強い敵がぽこじゃか出てくるわけでもないんだけど…。

 女子しかいないから迷ったりとか…。

 まさか女子だけチームになったときに発現するイベントに絡まれた?

「…その可能性はあるか」

「ん? 兄ちゃんどうしたの?」

 瑛士か…。

 …フラグは立てておく(俺だけが巻き込まれる)に越したことないか(のは納得いかない。)

「瑛士、戦闘準備だ」

「え? 今何か…」

「瑛士、戦闘準備だ」

「いや、その前に…」

「瑛士、戦闘準備だ」

「あ、うん、わかった…」

「瑛士、戦闘準備だ」

「…気に入ったの? そのフレーズ」

「瑛士、戦闘準備だ」

「……」

 勝 っ た な !

 何も疑わずに剣を腰に下げる瑛士(ゴリ押し)。

 このボスは全員揃わないと出てこない仕掛けだし…かといってあっちの敵さんたちは…男装の麗人(ボクっ娘)清楚系ド畜生(ヒーラー)がいるからなんとかなるか。

 殲滅力も考えたら過剰ともいえないけど…女性限定イベは強敵を退ける感じだし。

 …なら一層のこと瑛士に…。

「…突撃式使い捨て絆創膏作戦か」

「なんのこと!?」

「おっと。今は気にするな」

「今は!? ねぇどういうこと!?」

「ふぅ。おしゃべりはここまでだ。行くぞ」

「ちょっ、兄ちゃぁん! 待ってよぉー!」

 誤魔化し…という名の強引に会話を切り上げてイベントをこなしにいく。

 と、その前に。

「千花とかえでは待機! 戦闘警戒を解くなよ!」

「えっ、お兄ちゃん!?」

「かしこまりました。お気をつけていってらっしゃいませ。優月様」

 飛び出そうとする千花の肩を掴んで押さえつけるかえで。

 後ろから瑛士が追いかけてきていることを確認して別の扉から外を出る。

 強敵を倒すイベント戦闘のようなものだから

 そしてこのイベント、漢PTか混合PT、もしくはソロだとイベントは起きない。しかも男だけのPTは道中でやや強敵がでるかモンスターハウス(大量の敵がでる部屋)に遭遇する。イベントスチルもみれないのでよほどのことがなければ大体の紳士たちは男PTルートを選ぶことはない。

 ちなみにいうと、このイベント、女性だけの戦闘時スチルが一枚見えるだけで、リアルで考えたらスチルが見ることができないので行く必要はなかったりするんだが…それはそれ、これはこれ。

 ……だってみたいじゃん? そのシーン。生で。

 ダンジョン探索という名の聖地巡礼っしょ!


☆★☆★☆★


 扉を強引に開けて駆け出し、離れないようについてくる瑛士。

 向かう方角やマップについては問題なく、一分のズレも起きてない。見慣れた…というよりか懐かしい光景のなか、進む。

 女性ルートは寄り道をしなければまっすぐ進むだけのルートだから忘れることはない。

 …いや、スチルがほしかったから何度も逆走しただけなんだよ。途中で回復薬とかアイテムとかあったけど、それはついでなんだよ。

 ほんとだよ。

「はっ、はっ、兄ちゃん兄ちゃん」

「ふっ、ふっ、なんだ?」

「急に戦闘準備とか、はっ、ふっ、この先で先頭でもあるの?」

 走りながら横から瑛士だが、何も説明しないで来たからそう思うのも仕方ない。

 ただ…今説明するのは……。

 ん、決めた。

「もしかしたら、の可能性だ。ふっ、んっ、だから、何もなければいいんだけどな」

 ちょっとだけ悪いとは思うが、元来のように説明半ばで進めることにした。

「~~~~~~~~!!!!」

「!?」

「ちっ」

 予想より早く、フロアに女性の悲鳴が響く。

 まだ折り返しまで来てないのにちょっとマズイかな…。たぶん宝箱とかまだ拾われてないし…ここ先に拾った方がいいか?

 まだヒールの回復量は心もとないし…、…分岐先で戻ってくるならロスは2分か。

 ……いや、人命救助が先で…いや、でも分岐まっすぐだし…。

「兄ちゃん! 分岐どっち!」

「わからん! からまっすぐ行くぞ!」

「あい!」

 すまん、宝箱…帰りに寄るから…。

 HP回復薬…ごめんよ…。



 悲鳴が聞こえてからほどなくして、俺たちは到着できた。

 しかし女の子PTのうち一人は倒れてもう一人が膝をついている。そして残りの二人が魔法を唱えようとしているこの状況は最悪に近く、全滅のカウントダウンの開始一歩手前と言っても過言ではない。

 前衛がほぼ倒れているに等しい現状じゃ、後衛魔法使いたちは力を発揮できないから。

「っ! 行け瑛士!」

「あい! うりゃぁぁ!」

 すぐさま指示をだすと、まだ声変わりしていない女の子っぽく聞こえなくもない声で瑛士が亀裂(突撃)する。

 ガキンッ! という金属と鉱石がぶつかる音。

「ナイス! そのままタンクだ!」

「あいッ!」

 間に合えば瑛士に任せても問題ない。最低限の命令を下して現状把握に努める。

 鉱石で身を固めた飛行生物(ガーゴイル)と相対している瑛士のすぐ後ろ。地に伏せている猪突猛進(ちびスケ)は…おそらく気絶か? それをまもるようにして男装の麗人(ボクっ娘)が手持ちのレイピア(刺突用剣)を握りながら膝をついている。

 膝をつくってことは…スタミナ切れだろう。荒い呼吸が証拠だ。

 遠くでは焦りながら金髪ドリル(お嬢)清楚系女の子(神官)が詠唱を唱えているけど…。

(それじゃだめだ)

 魔法の紋章からして金髪ドリル(お嬢)炎の強撃魔法(ファイアランス)を、清楚系女の子(神官)状態異常万能回復(アストラルヒール)を唱えているけど、お嬢は2秒で神官は8秒が発動までの時間に足りていない。

 ならまだ道具を使う方が早いだろうに。

炎の強撃魔法(ファイアランス)は維持! 状態異常回復(アストラルヒール)は破棄してスタミナ回復(クロノスヒール)行動力上昇(ヘイスト)を…」

 とは言ったけど、そもそもスタミナ回復(クロノスヒール)速度上昇(ヘイスト)を覚えるのは中盤手前あたりだったか。

 それなら…。

「どっちも覚えてないなら攻撃力上昇(ウェポンアップ)防御力上昇(ガードアップ)でいいから! 瑛士に掛けてくれ!」

 それだけ指示を出して下げていたホルダーから気付け薬とスタミナポーションを取り出して、二人の元へ駆ける。

 瑛士は……。

「やっ! ハァッ!」

 打ち合いにもギリ耐えているようだから、まだもうちょっと行ける。

炎の強撃魔法(ファイアランス)ッ!」

「GRUAAAAA!!!」

 それに援護射撃もある…が知っている火力ではない。

 いくらか弱い。……もしかしてイベントをこなしてない可能性もありそうだ。

 …安定しないか威力が弱くなった魔法を使うのは効率が悪い。

「ナイスだお嬢! 魔法は出だしの早いボールでいいから、そのまま火属性で攻撃してくれ!」

「わっ、わかりましたわ!」

 焦りはあっても俺たちの援軍のおかげか? お嬢もいくらか気を持ち直したみたいだ。

 少しすれば落ち着きも取り戻せるだろうし、あれなら持前の頭脳を生かせるだろう。

 それならあとはこっちの問題を片付けないとだな。

「すまん、またせたな。これ飲めるか?」

「っ、あぁ。キミは…」

「いいから話は後だ。早く飲んで一旦離れるぞ!」

「わ、わかった!」

 何か言いたげだけど、そんな時間も余裕もない。

 さっきから瑛士がちらちらとこっちをみて、戦いづらそうにしてるし。

 早く離れてタンクの役割りに戻してやらないと。

 ちびスケは…仕方ない、持っていくか。

「よいしょ…っと。ほら行くぞ! 瑛士、あと30秒!」

「あい! 任せて兄ちゃん!」

 急いでその場を離れて二人の元に駆ける。

「お前たち、大丈夫か?」

「っ、えぇ。問題ありませんわ」

「助かりました」

「…無事でなによりか」

 あちこちに擦り傷や打撲痕は見受けられるものの、全員が五体満足だった。

 とりあえずは間に合ったと言えるな…。

「で、こいつには…」

 ポーチからげ…気付け薬を取り出して、近くの地面に振りかける。

 店売りのものであれば飲ませるのが良いらしいが…、さすがに…女の子供相手に白い液体をぶっかけるのはちょっと…。

 え? この液体がなんで白いかって? バカ言うんじゃないよ。そこは察しなさいよ。

「びぇぇ!? くさっ! すっごくなまぐさいですよぉぉぉ!?!?」

 ドロッとした液体…ではなく水分を多量に含んだ液体が頭からかかり、滴った水が顔にかかったところで女の子が起きた。

 カッ! と目を見開いたかと思えば、ぴょこんと勢いよく跳ね上がった猪突猛進(ちびスケ)は鼻と喉を抑えている。

 ゲーム時には劇薬までの嗅覚は備わっていなかったし、実際に使うまでは俺も効果は知らなかった。

 うん、やっぱりよく効くなぁ…こっちまでクサイ刺激臭が届いてくるわ。

 って、そうじゃない。今は急がないと。

「お嬢とヒーラーはこれ(MP回復薬)を飲んで。さっさと作戦を立てて」

「ま、待ってくださいまし」

「いーや、待たないね。時間が押してんだ。瑛士の手伝いにもいかないといけねぇんだ」

「で、ですからあの敵には…」

「いいな、時間は俺たちが稼ぐから、お前がラストアタックを決めろ!」

「っ!?」

「プライドとかメンタルとか、トラウマだとか抱えてるものとか。そんなことはこの際どうでもいい!」

 確かにこのお嬢には後ろ暗い過去がある。目を覆いたくなるような過去が。でもこの場においては抱えているものはそういったものじゃない。

 抱えるのは仲間の命だ。

「お前が! やるんだよ!!」

 この敵に決定打を与えられるのは、現状では間違いなくこの女だけなんだ。

「頼むぞ、お嬢」

「っ、え、えぇっ! お任せくださいまし」

 腹を括った彼女は…口をキュッと引き締めて頷いていた。ん、問題ないな!

 ヨシッ。

 ……あれ? これ…俺の方がフラグ立ってないか? …気のせいだと願いたい。


びぇぇ。

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