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エロゲ転生、姫トラをプレイするで

一応こっちの作品はダンジョンモノなので、

物語上で流血とか殺傷沙汰な表現があるので完全にR-15になります、ご注意を。


今回はとあるエロゲをプレイしてたらなんか頭の中に降って湧いてきたので、そのまま書いてます。

なので設定とかガバガバですのでご了承くだしあ。

 地下深くの洞窟―――通称:ダンジョン―――で全身ローブを着込んでいても見えている朽ち果てた身体が、仄暗く鈍く光る。そんな一体の片腕をなくした人型魔物と4人の男女が対峙している。

 大声が木霊する、それは悲鳴にも似た命令だった。

 「最後! 最後の一撃だ! 愛莉栖アリス!!」

 満身創痍、という言葉で伝わってしまうほどに身体のあちこちに傷を負って血を流す中肉中背の男子が、急かすような、それでいて希望を託すかのような指示を飛ばす。そしてその希望を受け取った、愛理栖アリスという少女、これまた男子と同じく満身創痍な彼女が魔法・・を唱え、願いと共に自身の極大魔法(最大火力)を放つ。

「わかってるわ! アブソリュート・ゼロ!」

 内包していた魔力を解き放ち、粒子一つ一つが爆発する。二本の捻じれた角を持つ紫色の人型巨大怪物が苦悶の雄叫びを上げた。

 雄叫びをあげる、と同時に口からすべてを溶かす灼熱の炎がまさに吐き出されんとしていた。

「イリュージョンコート!」

 神官服を纏った少女が質量をもった全員の輝く分体を生み出す。そして秒を待たずに分体、本体めがけて高熱のブレスが吐き出される。

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」

「~~~っ!!!」

 地獄ですらぬるい灼熱を耐えたところで、魔法や耐熱耐寒などの機能に優れていた服や服はかなり破けてしまい、そこから見える皮膚はところどころで火傷、一部においては炭化。その場に立つのもうやっと、といった状態だ。

「愛理栖…? …桜……? …千花……?」

 安否を信じるために、カラカラとなった声を掛けるも誰も返してはくれない、三人が立っていたであろう場所をみると、すでに地に伏して物言わぬ骸が増産されていた。

 もはやその場に立っているのは一人、焦げ跡や傷跡が三人に残っていた。いや、今ではもう一人になったところだ。

 彼我の差を図り取ってしまったことで、物理的にも精神的にもガラガラと音を立てながら何かが崩れ落ちる音をまるで他人事のよう(・・・・・・・・・)に聞きながら、丸く焦げあがった息もしない「物体」が新しく二つ出来上がってしまった。残っていた一つですら、もはや原型は崩れかけている。

「……ははっ…これだけしても…まだ倒せないんだな…」

 敵を前にして独りごちる男子。

 共にここまで連れ立った命を預けるにふさわしい味方も今は全員が地に臥している。すべてを斬り刻まれて倒れたり、原型が無くなったり、そして化け物に喰われてここにない体も何個かある。そして先ほど最後の二つすらも焦げてしまった。

「エリクサーも蘇りの宝珠もないし…。…ハハ、完全に詰んだわ…」

 これらを一瞬で癒す手段を、彼にはもっていない。正確にはこの世界に無い。死んだらそれで終わりである。

 そんな死んだらすべてが終わるこの世界で彼は呆然とする。そんな姿を見て怪物は嘲笑する。まさに「お前のその顔がみたかった」とでも言わんばかりだ。そして冥府に送り続けてきた凶爪を前に、すべてがスローモーションに見えている彼が今できることはなんだろうか。

 見ているのは後悔だった。

 育て方を間違えた?

 パラメータが足りなかった?

 イベントをこなしてなかった?

 いや、もうそんなことは関係ない。この戦いに「リセット(やりなおし)」なんてものは存在しない。

「クソ…ッ! クッソォォオォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!」

 そしてその凶爪を避けることなく、彼は彼の想いや意志覚悟、積み重ねてきた全てを断末魔ごと引き裂かれた。




―――GAME OVER―――




 目の前に映る黒い背景とおどろおどろしいフォントで書き塗られた、何度も見たことのある(・・・・・・・・・・)文字(・・)

 やるせなさが募り、ゲームから逃げるように中断させてからかぶっていたVRギアを外して絶叫する。

「……ま、ま、また負けたぁぁぁぁ!!!」

 画面の前に座る大学生は手足を放り投げるかのように弛緩させて嘆いた。そこに映る文字はここ数日で何度もみた「負け」の証明。

 くやしさと苛立ちとでキーボードをたたきたくなる衝動を抑える。手元にあるノートにまた「戦術とターン数と行動と敵のパターン」を書き込んでいく。

「マジでこのボスの倒し方わからねぇ…」

 一週間前に発売された美少女ゲームでV(ヴァーチャル)R(・リアリティ)対応PC専用ソフト「舞姫❀トラベラーズ」というソフト。公式略称は『姫トラ』と呼ばれ、ゲームジャンルの分類としては「ダンジョン探索型VRRPG」にあたり、通常の会話やイベント、分岐でどのヒロインのルートへ進むか、といういわゆる通常の「美少女ゲーム」に合わせて、ゲーム要素である「ターン制RPG」を混ぜ合わせたゲームである。

 発売してからまだ一週間しかたってはいないが、この時点でもファンからの評価はかなり高く、シナリオやグラフィック、音楽やRPGにおけるモーションやゲーム性もトップレベルではある。そしてオカズとしてもオールジャンル幅広く揃えてあり、ニッチな層までも範囲を広げていたりする。ゲームとしてもエロとしても申し分ない完成度の高いゲームであると、もっぱら評判である。評判ではあるが、全ユーザーが100点をだせるかと言えばそうではない。往々にしてどのゲームにも欠点はあるが、このゲームにも例外には漏れなかった。

 それは何かというと、

「…難易度ルナティックすぎるだるるぉ!!」

 ゲームの難易度、そして美少女ゲーム系によく登場する「選択肢」が、このゲームの難易度調整に拍車をかけていた。

 このゲームに登場するヒロインを参考とすれば、関係が進み、女の子に「告白をする/告白をしない」という選択肢が出てきたとしよう。

 ここで多くのユーザーは、分岐後でのみ取得できるイベントスチルを想定した場合、殆どのユーザーは初見では「告白をする」という選択肢を取ることが多い。開発者もそこまで意地の悪いことはしない。特に純愛系であればなおさらだろう。

 だがこのヒロイン、ただカノジョになるだけでは「ハッピーエンド」に進むことは一切できない。何度か断ったうえで専用の話を聞くことで、漸く「ノーマルエンド」の条件を満たせるのだ。しかしその後でも選択肢を間違えてしまうと「鬱エンド」や「寝取られ強制妊娠エンド」、果てはヒロインのDEAD END.が待ち構えていたりなど、そう簡単にハッピーエンドを迎えさせるつもりはないぞ? という、どこぞの心がときめいてしまうメモリアルが如く、開発陣の意地の悪さが要所で見受けられるのだ(我々の業界ではご褒美です)。ちなみに友情エンドもあるが、ここでは割愛しよう。

 そしてこの選択肢で正しいものを選択した次は「レベル」や「ダンジョン」という、探索の壁というものが存在する。

 当たり前の話ではあるが、攻略レベルが足りていなければ、ボス戦で勝つことは厳しい、不可能ということもある。ではレベルを上げたらどうなる? と言っても、このゲームは「戦闘中でも経験値が上昇し、レベルアップを行う」仕様だ。

 それだけであればまだ希望はあるが、もう一つ厄介な仕様は「あまりにも敵と味方のレベル差が乖離する場合、経験値が最大100%減る」ということが平然と発生していたりする。

 簡単にレベルアップできる小技で有名な「メタル〇ライム狩り」「はぐれメタル呼び」「マド〇ンド増殖」というものも、このゲームでは使用できない。

 通常の敵からダンジョンの罠や意地の悪いマップまで、果てはレベルをカンストしただけでは絶対に倒せないラスボスの強さまで。

 たとえどのように攻略を進めようが、手を変え品を変え、多くのプレイヤーが挑み、そして挫折をしてきた、誰しもが超えることのできない難易度。

 そして超絶ハードモードを軽々とぶち抜く難易度にしているのが、

「味方が死んだらそれで終わり」

 という、現代に慣れきってしまった「ゲームオーバー=即復活」という、設定難易度が甘めのゲームとは異なり、どちらかと言えば、このゲームは「特定のイベント以外で味方が死んだら生き返ることができない」という、どこぞの竿、ゲフン。

 つまりロマ〇ガ3やウィ〇ードリィと同じ仕様でありながら、敵を倒せば復活したり復活の呪文で~などという仕様はない。

 正真正銘『死んだら終わり』である。

 とはいっても、

「まぁ、ゲームだから」

 紳士のプレイヤーであれば、何度もあきらめずにプレイするのみである。

「復活の呪文もないからやっぱり回復はケチっちゃだめだなぁ…」

 攻略指南書はいまだどのサイトでも確立してないため、自分で手探りの状態から始めないといけない、だがそれがいい、という矜持もある。

「よし! もっかい最初からやり直すか!」

 そうしてもう一度画面に向き直り、終幕の黒塗り(ゲームオーバー)から再開の白塗り(ゲームスタ-ト)へ変え、ヒロイン勢のタイトルコールが流れる。そして最初からゲームを始めた。

 今度こそ、魔王を倒すために…。恋人ヒロインのために…。己のハーレムのために!!



 ―――舞姫❀トラベラーズ―――

一応言いますが、個人的な圧倒的ヒロインは主人公の妹です。

いいよね、ロリ。


本当は主人公かヒロインの名前を「悟 (さとり)」にしようとしましたが、偏見に偏見を重ねて熟考した結果辞めました。小五ロリって考えた人、すごいわね。

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