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花言葉とともに

作者: るた
掲載日:2021/06/11

初投稿です。よろしくお願いします。

ほんのり百合描写があります。

社会人1年目。奮発して買ったレディースのスーツも着慣れな始め、仕事にもそこそこ慣れた時期、中学校以来連絡を取っていない友人から連絡が来た。


3年ぶり、元気にしてた?


私と彼女は幼稚園からの幼なじみで小学校の頃はいつも周りに親友なんだねと言われるほど仲が良かった。親友という響きが照れくさかったがとても嬉しかったのを覚えている。


中学に進学した後も、同じクラス、同じ部活だったが部活のキャプテンで成績優秀な彼女と比べ、惰性で部活を行い、家に近いゆるい高校を目指していた私ではかなり性格や生活に違いがあった。


「美衣、おはよう」

「おはよう」


そんな私にも明るく笑顔で話しかけてくれる彼女と私は本を読むという趣味が似ていたということもありいつも仲良く学校生活を送っていた。


私と彼女の仲が変わったのは1年生の冬ごろ。教室から部活に行く体育館への道、たまたま彼女と一緒に行くことになった。


「私、鍵とってくるね!!」

「分かった」


「あれ?美衣だ。なにしてるの?」

「絵里奈が鍵取ってくるの待ってる」

「そうなんだ、先に行っちゃおうよ」

「そうだね」


流されやすい性格だった私は、私と一緒に行かなくても彼女は困らないだろうと思い、特に何も考えずに職員室に鍵を取りに行っている彼女をおいて、そのまま声をかけてきた子と体育館に向かったのだった。


彼女は明るくクラスの誰とでも仲が良かったし、いつも体育館をはやく開けるため1人で行ったりもしていた。私と一緒に行かなくても大丈夫だと、そう思っていたのだ。いつもの彼女だったらこんなことをしても明るく許してくれていたのに、


「美衣!どうして先に行っちゃったの?」

「え??」

「もういいよ!!」


だから、鍵を開けた彼女が私に駆け寄って、怒ったのか分からなかった。彼女は人気者で、私じゃなくてもいいはずなのに。一緒に居た子も普段見ない彼女の様子にとても驚いていた。ただただ困惑していた私たちをおいて彼女は練習を始め、その後すぐにいつもの彼女に戻っていた。私は彼女が怒った理由を聞くことが出来ないまま、私と彼女の距離が少しずつ離れていった。


「絵里奈、県大会だって!?おめでとう!」

「ありがとう〜!頑張るね!」


近くで聞こえる彼女とその友人の会話。彼女が部活で県大会に行くことになったらしい。あまり人に興味が無い私は部活内の情報も風の噂程度しか知らないが、彼女のことだと話は別だった。


「美衣ちゃん、私英検受かった!!」

「なにそれ?」

「英語の試験のことだよね!受かってて本当に良かった〜!!」


小学校の頃、英検がなにかも分からなかった私だったのに、笑顔で彼女が1番に報告してきてくれた。私に1番に報告したかったという。人気者の彼女が1番に報告する相手に私を選んでくれたことが、とても嬉しかった。


そんな彼女が私に報告してくれなかった、報告する義務なんてないし、彼女が報告するのを忘れていただけかもしれないが、そんな些細なことで私はすごく動揺してしまい、目の前が真っ暗になった気がした。なんで教えてくれなかったの?なんて質問は、いつも彼女から受け取る側の私には到底できないことだった。


いつも受け身だった私は、話す機会が減ったり、遊ばなくなったりと、私と彼女との距離を感じ始めても、自分から歩み寄ることはせずもやもやを抱えているだけだった。


そんな中、中学2年生の時にあがり、思春期が顕著に現れ始め、クラスでの話題が恋愛の話ばかりになった頃、その時期にとてもモテるかっこいい男の子がいた。彼は優しく、休み時間は年相応にはしゃぎ、スポーツ万能な男の子だった。女子とあまり話さないイメージがあったのも好印象だ、などと女の子たちの間でよく話題になっていた。


そして、彼は私の幼なじみ、彼女のことが好きだった。そして彼女も彼のことが好きだった。年相応に恋をしていた私は、その事を知ってしまった時、失恋のショックで1日学校を休んだことを覚えている。授業中、2人ともちらちらと相手を見つめ、2人で話している姿はとても幸せそうだった。噂が流れ、誰がどう見ても両思いだったのに彼らは付き合うことはしなかった。


「2人の噂って本当なの??」

「絶対絵里奈のこと好きだよ〜」


友達にそう言われている彼女は彼とは友達だから、といって切なく笑うだけだった。


私と彼女は距離が少し離れたとして仲が良く、話すことはあったが、彼女は自分から自分の恋愛話をすることはなかったし、私から振ることがなかったため、私は彼女の恋愛話を噂で聞く程度だった。


結局彼女と彼は両思いで、私は告白することなく失恋することになってしまったが、中学卒業しても2人が付き合うことがなかったため、特に悲しむことはなかった。


そして私と彼女はそこそこ仲のいい幼なじみ兼友達のまま卒業したが、彼女から連絡が来ることもなかったし、私も連絡しようとは思わなかった。でも私は新しい恋を始めることが出来ないでいた。


そんな関係だった私に彼女が連絡をしてきたことは驚いたし純粋に嬉しかった。東京の大学に進学していた彼女は近々地元に帰ってくるらしいので会うことになった。地元の噂では中学の頃両思いだった、彼と最近やっとくっついたらしい。曰く、すれ違いが続き、お互い両思いだったことに気づいていなかったらしい。


この噂は地元に残っている彼から出た噂なので、真相は彼女に聞くとしよう。きっと彼女は昔のように大事な報告があったら、また私に1番に伝えてくれるだろうから。彼女が幸せそうに恋の話をしてくれるのであれば、昔のように聞こう。彼女が幸せだったら、そうしたら私はきっと次の恋に進めるだろうから。


ふと、カフェのテーブルの上に乗っている本の栞を持ち上げる。紫のライラック。彼女に私らしいと言われて私が愛用しているものだ。この栞も4年ほどの付き合いのため少しくたびれている。栞をテーブルに置き、カフェの入口で私に向かって3年ごしの変わっていない笑顔で手を振って駆け寄ってくる彼女に笑みを零し、私は読みかけの本に栞を閉じ込めた。




読んでいただきありがとうございました。

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